
- 「マンションを売るために不動産会社に相談したら、『媒介契約』って言われたけど、何のこと?」
- 「『一般』『専任』『専属専任』って種類があるらしいけど、どれを選べば高く売れるの?」
- 「それぞれの契約で、私にどんなメリットやデメリットがあるんだろう?」
- 「契約内容によって、不動産会社の動きって変わるのかな?」
不動産の売却や賃貸を検討しているあなたは、今、そんな疑問や不安を抱えていませんか?
不動産取引における「媒介契約」は、あなたの物件の売買を不動産会社に依頼する、まさにその「スタートライン」となる大切な契約です。
この契約の内容や種類によって、あなたの物件が「いつ、いくらで」売れるか、そして不動産会社のサポート体制が大きく変わってきます。
しかし、普段聞き慣れない専門用語ばかりで、どれを選べば良いのか迷ってしまうのも当然です。
本記事では、この媒介契約の重要性について、あなたが抱える疑問を解消するために、以下の点を徹底的に解説します。
- 媒介契約とは何か? その基本的な役割と重要性
- 一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約、それぞれのメリット・デメリットを徹底比較
- 結局、あなたの物件を**「高く売る」ためにはどの媒介契約が最適なのか?**
- 各契約における不動産会社の義務と、あなたの権利
この解説を読んで、あなたの不動産売却を成功させるための第一歩として、最適な媒介契約を見つけるヒントを掴んでください。
媒介契約とは?不動産売買に必要な基本知識
戸建てを売却しようと考えたとき、まず不動産会社に相談しますが、その際に必ず耳にするのが「媒介契約」という言葉です。
なんだか難しそうで、身構えてしまうかもしれません。
しかし、媒介契約は決して複雑なものではなく、あなたの大切な家を安全に、そして確実に売却するための土台となる重要なステップです。
媒介契約の役割と仕組み
媒介契約とは、不動産会社にあなたの家の売却活動を正式に依頼するための「委任契約」です。
この契約を結ぶことで、不動産会社は法的な責任をもって、以下のような売却活動を行います。
- 買い手探し:
広告活動や、不動産業者間のネットワーク(指定流通機構/レインズ)への登録などを行い、購入希望者を見つけます。 - 価格交渉・条件調整:
購入希望者との間で、価格や引き渡し時期などの条件を調整します。 - 契約手続きのサポート:
不動産売買契約書の作成や、重要事項説明など、専門的な手続きをサポートします。
媒介契約は、売却が成功して初めて報酬(仲介手数料)を支払う「成功報酬型」の仕組みなので、安心して売却活動を任せることができます。
契約しないと売却できないの?
結論から言うと、媒介契約を結ばなくても、個人間で家の売買を行うことは法律上は可能です。
しかし、これは非常にリスクの高い選択肢です。
専門家である不動産会社のサポートなしに個人で売却を進めるには、以下のような大きなハードルが伴います。
- 買い手探しが困難:
専門の広告ネットワークがないため、購入希望者を探すのが非常に難しくなります。 - 法的手続きの複雑さ:
不動産売買契約書の作成、重要事項の説明、物件の引き渡しなど、専門的な知識が必須となる手続きをすべて自分で行う必要があります。 - トラブルのリスクが高い:
契約不履行や、引き渡し後の物件の欠陥(瑕疵)を巡るトラブルなど、予期せぬ問題が発生するリスクが非常に高くなります。
そのため、多くの場合、専門的な知識と豊富な経験を持つ不動産会社に媒介契約を通じて依頼するのが一般的です。
媒介契約は、安全で確実な売却を実現するための、必要不可欠なプロセスと言えます。
媒介契約の種類と特徴:メリット・デメリット(注意点)
媒介契約には、不動産会社との関係性や、売却活動における制約の度合いによって、主に3つの種類があります。
どの契約を選ぶかによって、売却活動の進め方やスピード、得られるサポート内容が大きく変わってきます。
それぞれの特徴を理解し、ご自身の希望に合った契約を選ぶことが、売却を成功させるための重要な鍵となります。
一般媒介契約とは?複数社に依頼できる自由度
一般媒介契約は、最も自由度が高い契約です。
複数の不動産会社と同時に媒介契約を結ぶことができ、ご自身で買い手を探すことも可能です。
一般媒介契約のメリット
一般媒介契約は、自由度の高さが最大のメリットです。
複数の不動産会社と契約できるため、多くの会社が競争して買い手を見つけてくれることを期待できます。
また、ご自身で買主を探せるため、知人に売却する場合などにも適しています。
一般媒介契約の注意点
注意点としては、不動産会社の熱意が分散しがちなことです。
売却が成功しない限り報酬が発生しないため、積極的に広告活動を行わない会社も存在します。
また、不動産会社からの活動報告義務がないため、売却状況が見えにくくなる可能性も考慮が必要です。
専任媒介契約とは?売却スピードとサポートのバランス
専任媒介契約は、依頼できる不動産会社を1社に絞る契約です。
一般媒介契約とは異なり、ご自身で買い手を見つけることはできますが、その場合でも仲介手数料を支払う必要があります。
専任媒介契約のメリット
専任媒介契約は、担当者の熱心なサポートと売却スピードのバランスが最大のメリットです。
契約が1社に限定されるため、担当者があなたの家の売却に集中してくれます。
また、2週間に1回以上の販売状況の報告が義務付けられているため、売却の進捗を常に把握できます。
専任媒介契約の注意点
注意点としては、依頼する不動産会社選びが非常に重要であることです。
信頼できる会社を選ばなければ、その会社の販売力やネットワークに左右されることになります。
担当者の対応力や会社の販売実績を事前にしっかり確認することが大切です。
専属専任媒介契約とは?最も手厚いサポートと制約
専属専任媒介契約は、3つの媒介契約の中で最も制約が厳しい契約です。
依頼できるのは1社のみで、ご自身で買い手を探すことも禁止されています。
すべての取引を依頼した不動産会社を通す必要があります。
専属専任媒介契約のメリット
専属専任媒介契約は、手厚いサポートと売却の確実性が最大のメリットです。
1社との契約で、売主自身が買主を見つけることもできないため、不動産会社は全力を尽くしてくれます。
また、1週間に1回以上の報告義務があり、常に密なコミュニケーションが取れるため、早期売却を最優先する人には最適な契約と言えます。
専属専任媒介契約の注意点
注意点としては、売却活動の自由度が全くないことです。
すべての窓口が1社に集約されるため、他の会社の査定額と比較する機会がなく、販売活動を全面的に任せることになります。
そのため、信頼できる会社選びが何よりも重要になります。
| 比較項目 | 一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 |
|---|---|---|---|
| 複数社に依頼 | ○可能 | ×不可 | ×不可 |
| 自己発見取引 | ○可能 | ○可能 | ×不可 |
| 報告頻度 | 報告義務なし | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
| レインズ登録 | 任意 | 7日以内 | 5日以内 |
| 契約期間 | 制限なし | 3ヶ月以内 | 3ヶ月以内 |
あなたに最適な媒介契約はどれ?ケース別の選び方
3種類の媒介契約の特徴が分かったところで、次に考えるべきは「自分にはどの契約が合っているのか?」という点です。
これは、あなたの売却の目的や物件の状況によって答えが変わってきます。
焦って選んでしまうと、
- 「もっと高く売れたかもしれない」
- 「なかなか売れずに時間が過ぎてしまった」
といった後悔につながることも。ここでは、よくある4つのケース別に、最適な媒介契約の選び方を具体的にご紹介します。
ケース1:とにかく早く売りたい場合
転勤や住み替え、相続税の支払い期限など、売却までのスケジュールが決まっている方には、不動産会社からの手厚いサポートが期待できる契約がおすすめです。
- おすすめの契約:
専属専任媒介契約 または 専任媒介契約 - 理由:
★1社に任せることで、その会社が責任を持って集中的に販売活動を行ってくれます。
★1週間または2週間に1回の活動報告が義務付けられているため、進捗状況を正確に把握し、次の戦略を立てやすいです。
ケース2:時間をかけても、できるだけ高く売りたい場合
「売却を急いでいないので、納得できる価格でじっくり売りたい」という方には、不動産会社の販売戦略を比較検討できる選択肢が向いています。
- おすすめの契約: 専任媒介契約 または 一般媒介契約
- 理由:
★まずは信頼できる1社と専任媒介契約を結び、3ヶ月間じっくりと販売活動をしてもらうのが王道です。
★もし物件が人気エリアにあるなど自信がある場合は、一般媒介契約で複数社に競ってもらうことで、より良い条件の買い手が見つかる可能性もあります。
ケース3:自分で買主を見つける可能性がある場合
親族や知人、ご近所の方など、すでに購入を検討してくれている人がいる場合は、その可能性を潰さない契約を選ぶ必要があります。
- おすすめの契約: 専任媒介契約 または 一般媒介契約
- 理由:
★この2つの契約は、売主が自分で買主を見つける「自己発見取引」が認められています。
★専属専任媒介契約は自己発見取引が禁止されているため、このケースでは絶対に選ばないようにしましょう。
ケース4:人気エリアで、物件に自信がある場合
駅近の人気エリアにある、築年数が浅い、デザイン性が高いなど、物件そのものに強い魅力があり、多くの買い手が集まると予想される場合には、売主が主導権を握れる契約が有利に働くことがあります。
- おすすめの契約: 一般媒介契約
- 理由:
★複数の不動産会社が同時に販売活動を行うため、買い手同士の競争が生まれ、結果的に高く売れる可能性があります。
★不動産会社のモチベーションが下がるリスクよりも、物件の魅力が上回る場合に有効な戦略です。
| こんな人におすすめ | 一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 |
|---|---|---|---|
| 早く売りたい | △ | ○ | ◎ |
| 高く売りたい | ○ | ◎ | △ |
| 自分で買主を探したい | ◎ | ○ | × |
| 人気物件の所有者 | ◎ | ○ | △ |
媒介契約前に知っておきたい注意点
媒介契約は、あなたの不動産売却を正式にスタートさせる大切な契約です。
しかし、内容をよく確認せずにサインしてしまうと、後々「こんなはずではなかった」と後悔する事態になりかねません。
不動産会社との良好なパートナーシップを築き、安心して売却活動を進めるために、契約を結ぶ前に必ず確認しておきたい注意点を3つのポイントに分けて解説します。
契約書の必須チェック項目
媒介契約書は法的な効力を持つ重要な書類です。担当者からの説明を受けるだけでなく、ご自身の目で以下の項目が明確に記載されているかを必ず確認しましょう。
| チェック項目 | 確認するポイント |
|---|---|
| ✅ 売出価格 | 事前に合意した金額が正確に記載されているか。 |
| ✅ 媒介契約の種類 | 「一般」「専任」「専属専任」のどれか、意図した契約になっているか。 |
| ✅ 仲介手数料 | 金額(上限は法律で定められています)と、支払うタイミングが明記されているか。 |
| ✅ 有効期間 | 契約の開始日と終了日が明確になっているか。(専任・専属専任は最長3ヶ月) |
これらの項目に不明な点があれば、納得できるまで質問し、理解した上で署名・捺印することが大切です。
トラブルを避けるための確認ポイント
契約書に書かれている内容だけでなく、売却活動をスムーズに進めるために、担当者と事前に認識を合わせておくべきポイントがあります。
具体的な販売活動の内容
- どのような広告(ウェブサイト掲載、チラシ配布など)を行ってくれるのか、オープンハウスは実施するのかなど、具体的な活動計画を確認しましょう。
広告費用の負担について
- 通常、広告費は不動産会社が負担しますが、特別な広告を依頼する場合など、費用の負担について事前に確認しておくと安心です。
不動産会社の「囲い込み」に注意
- 「囲い込み」とは、不動産会社が自社で買主を見つけて両方から手数料を得るために、他社からの購入希望者の紹介を意図的に断る悪質な行為です。
担当者に「レインズ(不動産業者間のネットワーク)に登録後、他の不動産会社からの問い合わせにも誠実に対応してもらえますか?」
と確認するだけでも、不正の抑止力になります。
参考ページ
契約解除や契約更新のルール
万が一の事態に備え、契約の終了に関するルールも理解しておく必要があります。
契約の有効期間
- 専任媒介契約と専属専任媒介契約の有効期間は、法律で最長3ヶ月と定められています。
契約更新
- 契約期間が満了しても、自動で更新されることはありません。更新を希望する場合は、改めて書面で手続きを行う必要があります。
契約解除
- 不動産会社の活動に明らかな問題がある場合(例:報告義務を怠るなど)は、契約を解除できます。ただし、自己都合で契約を解除する場合は、それまでにかかった活動費用を請求される可能性があるため、契約書に記載された解除条件をよく確認しておきましょう。
記事まとめ|媒介契約を理解して納得の売却を
不動産の売却は、人生における大きな決断の一つです。
専門用語が多く、手続きも複雑に感じるため、不安な気持ちになるのは当然のことです。
しかし、ここまで解説してきた「媒介契約」の仕組みを理解することで、その不安は自信に変わります。
媒介契約は、単なる手続きではなく、あなたの売却活動の方向性を決める羅針盤であり、不動産会社との信頼関係を築くための大切な約束事なのです。
媒介契約の仕組みを知ることが高値売却の第一歩
不動産売却の成功は、ご自身の希望に合った媒介契約を選ぶことから始まります。
- 早く確実に売りたいなら、不動産会社が責任を持ってくれる専任・専属専任媒介契約が有利に働きます。
- 人気エリアの物件で、時間をかけても最高値を目指したいなら、一般媒介契約で競争を促す戦略も有効です。
このように、どの契約を選ぶかによって、売却のスピードや価格、そして不動産会社との関わり方が大きく変わります。
ご自身の状況を客観的に見つめ、戦略的に契約を選ぶことこそが、納得のいく価格での売却を実現するための最も重要な第一歩です。
契約前の比較と確認で安心の取引を
最適な媒介契約を選んだら、最後に大切なのが「契約前の最終確認」です。
安心して売却活動を進めるために、以下の3つのステップを必ず実行しましょう。
| ステップ | 確認するポイント |
|---|---|
| 1. 複数社を比較する | 査定額だけでなく、担当者の人柄や販売戦略を比較し、信頼できるパートナーを見つける。 |
| 2. 疑問点は全て質問する | 契約内容や販売活動について、少しでも不明な点があれば、納得できるまで質問する。 |
| 3. 契約書を隅々まで確認する | 売出価格、仲介手数料、契約期間など、重要な項目が合意通りかをご自身の目で確認する。 |
これらの準備をしっかりと行うことで、後々のトラブルを未然に防ぎ、安心して不動産会社に大切な家の売却を任せることができます。
本記事が、あなたの納得のいく売却への確かな一歩となることを心から願っています。
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元メガバンク融資課出身、バブル時代に不動産コンサルティングに従事し、2000年、会社設立後、底地ビジネス・事務所の立ち退き裁判等も経験した宅建士と共に立ち上げ、現在、不動産にまつわるサービスの紹介、口コミ・筆者の感想を加え紹介しています。