賃貸併用住宅は「売りにくい」傾向はあるものの、売り方を間違えなければ高値売却も十分可能です。
一般住宅と違い「自宅+収益物件」の評価になるため、査定と説明が複雑になりやすいのが原因です。この記事では、売却で失敗しないための具体策を実務ベースで整理します。
「入居者がいるまま売れるの?」「価格はどう決まる?」「税金やローンが不安…」
賃貸併用住宅は検討項目が多いため、売却を考えた瞬間に不安が増えるのは自然です。
「入居者がいるまま売れるの?」「価格はどう決まる?」「税金やローンはどうなる?」
賃貸併用住宅は検討項目が多いため、売却を考えた瞬間に不安が増えるのは自然です。
賃貸併用住宅は「自宅+賃貸収入」という魅力的な仕組みですが、売却の場面では一般住宅とは異なる特有のポイントが存在します。
賃貸部分の収益性、入居者の有無、住宅ローンの残高、税金の扱いなど、
考えるべき項目が多いため、売却を検討した途端に不安を感じるのは当然のことです。
本記事では、賃貸併用住宅の売却を検討する方に向けて、次の内容をわかりやすく解説します。

この記事を読むことで、賃貸併用住宅の売却を「不安」から「自信」に変えるための知識が身に付きます。
賃貸併用住宅の売却が難しいと言われる理由とは?
賃貸併用住宅は、一般住宅とは異なり「住むための住宅」と「収益を生む投資物件」という、2つの側面を持っています。
そのため売却時には、
- 自宅としての居住価値
- 賃貸部分の収益性(家賃・利回り・入居状況)
この2つを同時に評価される点が特徴です。
評価項目が多い分、査定方法が複雑になりやすく、不動産会社によって価格差が生まれやすいのも賃貸併用住宅の特徴です。
逆に言えば、収益資料や管理状況を整理することで、購入希望者の安心感が高まり、売却成功率を上げることも可能になります。

賃貸併用住宅とは?
「自宅を持ちながら賃貸収入も得たい」
そのニーズに応えるのが賃貸併用住宅です。
賃貸併用住宅とは、1つの建物の中に自宅用スペースと賃貸用スペースが併設された住宅のこと。
例:
・1階=賃貸 / 2階=自宅
・半分がオーナー宅 / 半分が賃貸
など、設計はさまざまです。
住む場所と賃貸経営を同時に運営できるため、昨今は若い夫婦や共働き世帯の選択肢として人気が高まっています。
家賃収入で住宅ローンの負担を軽減できる
賃貸併用住宅の最大のメリットは、賃貸部分の家賃収入で住宅ローンの返済を補えることです。
家賃収入が安定していれば、実質的な返済額が下がり、家計の負担が大幅に軽減されます。
また、将来的に地価が上昇すれば、資産価値の向上にもつながります。
ライフスタイルに合わせて活用方法を変更できる
賃貸併用住宅は、ライフステージに応じて柔軟に活用できます。
- 子どもが独立したあと賃貸部分を広げる
- 在宅ワークスペースとして活用する
- 将来親を呼び寄せて同居できる間取りに変える
ひとつの建物内で「住む」「貸す」を自由に調整できるのが大きな魅力です。
賃貸部分は経費計上できる場合がある
賃貸併用住宅では、賃貸部分に関して
修繕費・管理費・減価償却費を経費計上できます。
賃貸部分の面積割合に応じて必要経費にできるため、税負担を抑えながら運用可能です。
一般住宅よりプライバシーを確保しにくい
同一建物内にオーナーと入居者が住むため、
プライバシー確保が難しいケースがあります。
- 生活音が気になりやすい
- 共有部分で入居者と顔を合わせることがある
- 来客が多い場合、入居者に気を使う場合がある
管理や入居者対応の負担が発生する
オーナーは賃貸経営者でもあるため、以下のような管理業務が発生します。
- 賃貸管理(家賃回収・更新手続き)
- 設備トラブル・修繕対応
- 騒音・迷惑行為などのクレーム対応
住宅ローン審査が厳しくなる場合がある
新築時や購入時に利用できるローンの種類は限られ、
賃貸部分が大きい場合は通常の住宅ローンが使えないこともあります。
売却の際にも、賃貸部分の収益が評価に影響するため、
査定方法が複雑になるのが特徴です。
賃貸併用住宅が売りにくいと言われる理由とは?
賃貸併用住宅は一般住宅と比べて売却難易度が高いと言われます。その主な理由は、次の4つに整理できます。
購入希望者が一般住宅より少ない
賃貸併用住宅は「自宅+賃貸経営」を前提としているため、
購入するのは以下のように特殊なニーズを持つ層です。
- 家賃収入でローンを抑えたい人
- 投資と自宅を兼ねたい人
- 将来的に二世帯・三世帯を考えている人
- 小規模不動産投資家
つまり、「普通にマイホームを探している一般層」には向かないため、
購入者を見つけるまで時間がかかる傾向があります。
収益性の評価が難しい
賃貸併用住宅の価格は、住居部分+賃貸部分の両方を評価して算出します。
しかし賃貸部分の価値は以下の要因で変動します:
- 空室率
- 家賃設定の妥当性
- 修繕履歴・管理状況
- 利回り(収益還元法)
これらが複雑に絡むため、買い手が慎重になり、成約まで時間がかかる傾向があります。
管理の手間を敬遠されやすい
購入者は「住みながら大家業」というスタイルに抵抗を持つケースも多いです。
とくに、
・賃貸管理に慣れていない初心者
・クレーム対応を避けたい人
は敬遠しがちで、これも売れにくさにつながります。
査定額にばらつきが出やすい
賃貸併用住宅は査定方法が難しく、以下の2つを組み合わせて価格を出します。
- 住宅部分=戸建てとしての実勢価格
- 賃貸部分=収益還元法(利回り計算)
この「2つの価値をどう足し合わせるか」が業者によって異なるため、
査定額に数百万円以上の差が生まれることも珍しくありません。
賃貸併用住宅の売却で失敗しやすいケースとは?
賃貸併用住宅は「売りにくい」と言われますが、実際には物件そのものよりも売却の進め方で失敗するケースが多いのが実情です。

こうした失敗を避けるためには、売却前の「準備」と「専門会社の選定」が重要になります。
賃貸併用住宅の売却を成功させるポイント!
賃貸併用住宅は売却が難しいと言われる理由がありますが、ポイントを押さえれば高値売却も可能です。
ここでは失敗しないための10の実践ポイントを紹介します。

複数の不動産会社へ査定を依頼する
賃貸併用住宅の査定額は、不動産会社ごとに数百万円の差が出ても不思議ではありません。
理由は以下のとおりです。
- 収益還元法を使うかどうか
- オーナーチェンジ物件の取り扱い経験
- 賃貸経営の知識量
必ず複数社査定+賃貸併用住宅を扱う会社を選びましょう。
賃貸併用住宅の売却実績が豊富な不動産会社を選ぶ
このジャンルは一般の仲介会社では経験不足なことも多く、
・査定がズレる
・売却戦略が弱い
・賃貸部分の説明ができない
といった問題が起こりがちです。
「賃貸併用住宅専門」または「投資物件専門」の会社を選ぶことで、
売却スピード・価格が大きく変わります。
家賃や賃貸契約の情報を整理する
収益性を客観的に見せる資料を揃えましょう。
- 家賃明細
- 入居者属性(職業・入居期間など)
- 敷金・礼金の情報
- 管理委託費用
- 過去のトラブル対応状況
情報が整っているほど購入者は安心し、売却スピードが上がります。
修繕履歴やメンテナンス履歴をまとめる
賃貸併用住宅は「建物全体の状態」が重要視されます。
そのため、
修繕履歴・点検記録・リフォーム履歴はすべて開示した方が有利です。
特に以下の項目は評価が上がりやすいポイントです。
- 屋根・外壁工事
- 給排水設備の更新
- エアコン・給湯器の交換
- 共有部分の改善
オーナーチェンジ物件として売却する選択肢を検討する
入居者退去を待って売ることもできますが、以下の理由で非推奨です。
- 空室期間の家賃収入がゼロになる
- 退去交渉・補償が発生する
- 相場より安くなる可能性がある
むしろ、満室の方が収益性がアピールでき、高値売却につながるケースも多いです。
相場や収益性を踏まえて売出価格を決める
購入者は「自宅探し」ではなく「投資視点」で物件を見るため、
利回り(収益性)が価格判断の軸になります。
参考:
利回り = 年間家賃収入 ÷ 賃貸部分の価格
利回りが高いと魅力的な物件として評価され、問い合わせも増えます。
譲渡所得税など税金の仕組みを理解する
賃貸併用住宅の売却で最もややこしいのが税金です。
住居部分と賃貸部分で以下のように扱いが変わります。
- 譲渡所得税は「賃貸部分」だけ課税されるケースがある
- 所有期間で税率(39.63% or 20.315%)が変わる
- 取得費・減価償却費の扱いが複雑
税金を理解していないと、思わぬ納税額で手取りが大幅に減ることもあります。
住宅ローン残債の確認を行う
賃貸併用住宅でも、ローンが残っていても売却は可能ですが、
売却金額で完済できるかがポイントです。
- 売却価格 > ローン残高 → 返済して売却可能
- 売却価格 < ローン残高 → オーバーローン(追加資金が必要)
自宅部分の内見対策を行う
賃貸部分を見せられない場合でも、オーナー自宅部分の印象=物件全体の印象になります。
清掃・片付け・簡易的な修繕は必ず対応しましょう。
売却後の住み替え計画も考えておく
売却後に必要となる支出を事前に把握し、
次の住まい・引っ越し費用・再購入計画などを早めに準備しておくと安心です。
賃貸併用住宅の売却の流れを解説!
賃貸併用住宅の売却は基本的な流れこそ一般の不動産と同じですが、賃貸部分をどう扱うかが大きな違いです。
ここでは、売却に必要なステップを順番にわかりやすく解説します。

市場調査と価格設定を行う
売却プロセスは、「市場分析」と「売却価格の設定」から始まります。
賃貸併用住宅の場合、査定の際に自宅部分+賃貸部分の収益性を評価する必要があります。
- 近隣の売買相場
- 賃貸部分の入居状況
- 年間家賃収入(満室・空室)
- 利回り(収益還元法)
- 建物の状態・修繕履歴
これらを元に、「住居としての価値+投資物件としての価値」を合算し、売り出し価格を決定します。
査定方法が複雑なため、不動産会社によって査定額が大きく異なるのが特徴です。
物件資料を準備して売却活動を開始する
次に販売活動の準備に入ります。
賃貸併用住宅の場合、一般住宅より準備する書類が多いのが特徴です。
- 間取り図・建物図面
- 過去の修繕履歴
- 賃貸部分の賃貸借契約書
- 家賃明細・年間収支
- 管理会社の契約内容(委託している場合)
- 入居者の情報(氏名は不要/属性・入居期間)
賃貸経営に関する資料が豊富なほど、購入希望者に安心材料を提供でき、
売却スピードが早まりやすく、高値も狙いやすいという特徴があります。
内見対応と買主との条件交渉を行う
問い合わせが入ったら、購入希望者による見学(内見)を行います。
賃貸併用住宅の場合、以下の点が一般住宅と異なります。
- 賃貸部分は入居者の了承がないと見学できない
- オーナー自宅部分だけを見学するケースが多い
- 収益部分は資料で説明するケースがほとんど
収益性や入居者対応について不透明な点があると、購入者が不安を感じやすいため、
先に「収益資料」「運営状況」を見てもらうことが成約率UPの鍵になります。
売買契約と引き渡しを進める
価格と条件が合意すれば、売買契約を締結します。
賃貸併用住宅の場合、以下の項目を契約書に盛り込むことが多いです。
- 賃貸借契約の引き継ぎ(オーナーチェンジ)
- 敷金の承継(買主に引き継ぐ)
- 管理会社の契約継続または変更
- 引き渡し時の入居者への通知
契約後は引き渡し日までに所有権移転手続きを行い、すべて完了となります。
賃貸併用住宅は事情が複雑なため、不動産会社の経験値が売却スピードを大きく左右します。
賃貸併用住宅の売却体験談・口コミは?
※以下は、賃貸併用住宅の売却で実際によく見られるケースをもとにした参考例です。物件の立地・築年数・入居状況によって、最適な売却方法や結果は異なります。
賃貸併用住宅の売却を検討する際、もっとも参考になるのが「実際に経験した人の声」です。
ここでは、公式サイトや口コミサイト、SNS等の内容をもとに、代表的な体験談を紹介します。

しかし転勤が決まり、急遽売却することに。
当時は入居者が住んでおり、不安が大きかったのですが、事前に情報提供し、新しい住まい探しもサポートしたことでトラブルなくスムーズに売却できました。
「入居者対応」が鍵になると痛感した経験でした。

複数社に査定を依頼したところ、査定額に大きな差があり驚きました。
最終的には、賃貸物件の取り扱いに強い不動産会社に依頼し、無事に売却完了。
ローン残高の精算も含めて、事前の資金計画がとても重要です。

賃貸部分があるため、税金の計算が一般住宅より複雑だと知りました。
不動産会社と税理士の両方に相談し、必要な資料を整理したおかげで、予想より高い価格で売却できました。
税金の知識は本当に大事だと実感しました。
体験談からわかることは、賃貸併用住宅の売却は「経験豊富な不動産会社の選定」「入居者対応」「税金の把握」が成功の鍵という点です。
賃貸併用住宅の売却に関するFAQ
賃貸併用住宅の売却で多い質問を、実務ベースでわかりやすくまとめました。

- Qローンが残っていても売却できますか?
- A
はい、売却できます。
ただし、売却時にローン残債を一括返済する必要があります。
売却金額で完済できない場合は、自己資金の準備や金融機関との相談が必要です。
- Q入居者がいる状態でも売却できますか?
- A
可能です。
「オーナーチェンジ物件」として売却する方法が一般的で、むしろ収益性をアピールできるため、高く売れるケースもあります。
ただし、賃貸契約や入居者情報を明確に開示する必要があります。
- Q売却時に必要な書類は?
- A
- Q売却にかかる税金は?
- A
賃貸併用住宅は、住居部分と賃貸部分で税金の扱いが異なります。
譲渡所得税・住民税・印紙税が主な税金で、賃貸部分には減価償却の影響もあります。
税理士に相談して正確な試算を出しておくと安心です。
- Qいつまでに税金を支払う必要がありますか?
- A
不動産を売却して利益が出た場合は、売却した翌年に確定申告を行い、申告期限内に納税します。具体的な申告期限は毎年の国税庁の案内に従って確認してください。
《参考ページ》
国土交通省|住宅瑕疵担保履行法
総務省統計局|住宅の種類・建て方・構造
賃貸併用住宅の査定を依頼する前に確認したいポイント
賃貸併用住宅は、査定方法や評価基準によって価格が大きく変わります。1社だけの査定では、本来の価値を見逃してしまう可能性もあります。
まずは複数の不動産会社に査定を依頼し、収益還元法・実勢価格の両面から適正価格を把握することが重要です。
- ✓ 賃貸併用住宅の取扱実績がある会社か
- ✓ 収益物件として評価しているか
- ✓ オーナーチェンジ物件の販売経験があるか
これらを確認しながら比較することで、売却成功の確率は大きく高まります。
売却後の資産活用や次の住まいづくりを考える方は、以下の記事もご覧ください
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賃貸併用住宅の売却まとめ
賃貸併用住宅の売却は、一般的な一戸建て・マンションと異なり、収益物件としての側面を持つため、注意すべきポイントが多くあります。
- 購入者の層が限られるため、売却期間が長くなりやすい
- 賃貸部分の収益性が価格に大きく影響する
- 入居者対応・管理状況の開示が不可欠
- 税金(譲渡所得税・減価償却)が複雑になりやすい
- 複数社査定+専門会社の選定が成功の鍵
賃貸併用住宅は「売りにくい」と言われるものの、
正しい準備+適切な相手に売ることで高値売却も十分に可能です。
特に以下の3つは最優先で意識しましょう。
- 売却価格の正確な査定(収益還元法 × 実勢価格)
- 入居者情報・修繕履歴・収益資料の整備
- 賃貸併用住宅を扱える不動産会社を選ぶ
不安の多い売却ですが、適切な知識と準備があれば、後悔のない売却を実現できます。
あなたの賃貸併用住宅売却が、スムーズに成功へ進むことを願っています。
はたらくおうちシリーズをもっと知りたい方へ
賃貸併用住宅は「住む+貸す」という独自の仕組みを持つ住宅です。売却だけでなく、新築・購入・活用方法なども含めて総合的に理解することで、より有利な判断ができます。

不動産の口コミ評判堂は、有限会社新未来設計が運営し、元メガバンク融資課出身でバブル期から不動産金融に携わり、底地ビジネスや立ち退き裁判も経験した宅地建物取引士の知見をもとに構想・設計され、日々、不動産情報を発信しています。