親子間リースバック
メリット・デメリットや注意点は?
相続や老後の資金準備は多くの人にとって重要な問題です。
これらの資金準備にはさまざまな方法がありますが、特に注目されているのが親族間資産承継ローン(資産承継ローン)です。
資産承継ローンは、
不動産やその他の資産を担保にして受けられるローンで、主に相続税の支払いや事業承継、老後の生活資金の準備などに利用されます。
従来の相続対策といえば、「生前贈与」や「遺言書作成」などが一般的でしたが、近年では親子間のリースバック契約として「親族間資産承継ローン」を活用した相続対策も増えてきています。
親子間リースバックとは?
親子間リースバックは、家族内で行われる特定の不動産リースバック取引を指します。
主に親が自分の不動産を子どもに売却し、その後、同じ不動産を賃貸契約に基づき再び利用する形式をとります。
不動産は所有権が子どもに移りますが、親は以前と同じ住まいに住み続けることができます。
この方法は、相続税の負担軽減、資産の効率的な管理、また家族内で資産を保持しながら現金化する手段として利用されることがあります。
親子間リースバックは、家族間での信頼関係に基づいて行われるため、外部の不動産業者を通すよりも柔軟でコストを抑えることが可能です。
相続人(以下・子供)が金融機関から融資を受ける
子供が、金融機関から不動産の購入資金を融資を受けます。
金利や返済期間は、金融機関によって異なります。
親が子供が不動産を売却する
相続する予定の不動産を、子供に売却(所有権は子供に)します。
親は、家を売却した資金を手にすることが出来ます。
売却価格は、市場価格よりも低く設定すること可能です。
親子間でリースバック契約を行います
子供に家賃を払う形で、親は自宅に住み続けることが可能です。
家賃設定は自由に設定できます。
金融機関にローン返済
子供が、金融機関にローン返済を行います。
親子間のリースバック契約は、親子間の不動産売買が基本です。
親子間売買は、贈与ではないため、贈与税がかからないというメリットがあります。
ただ子供は、家の購入資金がないことが多く、この状況で親族間資産承継ローンを活用したリースバック契約が有効な解決策となります。
リースバックにより、親は自宅を子に売却し、その後、賃貸契約を通じて引き続きその家に住み続けることができます。
この取引により、子は実質的に低い初期費用で不動産を獲得し、将来的な資産価値の増加も見込めるため、経済的な負担が少なく済みます。
また、親は資金を受け取り、老後の資金準備として利用することができ、両者にとってメリットのある取り組みです。
親子間リースバックはこんな方におすすめ
親子間のリースバック契約のメリットは、
・老後の生活資金を確保できる
・相続税対策になる
・住み慣れた家に住み続けられる
・相続人間の争いを避けられる
・贈与税がかからない
・住宅ローンを完済できる
などがあります。
こんな方におすすめ:老後の生活資金を確保したい方
リースバックで得た資金を、老後の生活費や医療費などに充てることができます。
こんな方におすすめ:相続税対策をしたい方
リースバックによって、相続財産の価値を低減することができます。
こんな方におすすめ:将来の不動産価格上昇による利益を期待したい方
不動産価格は、将来的に上昇する可能性があります。
相場より安く自宅不動産を取得することで利益を得ることができます。
こんな方におすすめ:住み慣れた家に住み続けたい方
リースバック後も、そのまま住み慣れた家に住み続けることができます。
こんな方におすすめ:相続人間の争いを避けたい方
相続にが複数いる場合、生前に財産を分配しておくことで、相続人間の争いを避けることができます。
リースバック・親子間リースバックどっちがいいの?
通常のリースバックと親子間リースバックの主な違いは、取引の当事者とその目的にあります。
一般的なリースバックは、不動産所有者が自己の不動産を第三者の企業や投資家に売却し、その後、その物件をリースして引き続き使用することです。
所有者は資金を得ることができ、同時に物件に住み続けることが可能です。
対照的に、親子間リースバックは、主に親が自己の不動産を子または他の親族に売却し、同様にその物件をリースバックする形式です。
この方法は、相続計画の一環として利用されることが多く、親から子への資産移転をスムーズに行うことを目的としています。
この取引により、親は資金を確保しつつ、住み慣れた家に住み続けることができ、子は将来的な資産獲得と税負担の管理を行うことができます。
リースバックと親子間リースバックの違い
項目 | リースバック | 親子間リースバック |
---|---|---|
売買相手 | 不特定の買主 | 子供 |
契約内容 | 売買契約と賃借契約 | 売買契約と賃借契約 |
金利 | 市場金利 | 柔軟な設定が可能 |
税金 | 譲渡所得税、住民税、不動産取得税 | 譲渡所得税、住民税、不動産取得税 |
メリット | さまざまな買主から選ぶことができる | 金利を低く抑えられる |
デメリット | 金利が高くなる場合がある | 子供がローンを返済できない可能性がある |
親族間資産承継ローン完済後はリースバック契約解除も
通常のリースバックの場合、住み続ける限り、一生、家賃が発生します。
しかし、親子間リースバックの場合は、
親族間資産承継ローンの返済を完済した段階で、賃貸契約を解除し、賃料を取らずに住み続けることが可能ということです。
資産移転と家族間の経済的負担を軽減するためのものであり、家族間での合意に基づいて柔軟に設計することができます。
子供としても、親族間資産承継ローンが完済すれば、固定資産税等は引き続き続きますが、費用負担は身軽になります。
所有権を親から子に移転しているため、相続の心配もなく、親が亡くなった後は、
・自身が住んでも
・他人に貸しても
・売却など
自由に資産を動かすことが可能です。
相場より安く自宅を手に入れているため、売却益(キャピタルゲイン)の期待も高まります。
ちなみに新生インベストメント&ファイナンスに類似サービスとの比較が紹介されていました。
資産承継ローン | リースバック | リバースモーゲージ | |
---|---|---|---|
契約形態 | 売買契約&ローン契約 | 売買契約&賃貸借契約 | ローン契約 |
不動産の所有 | 売主が指定する個人(親族等)・法人 | 不動産業者など第三者 | 本人(死亡時に売却または一括返済) |
対象不動産 | 自宅やアパート・事務所・店舗などの収益不動産 | 自宅やアパート・事務所・店舗などの収益不動産 | 自宅のみ (マンション取り扱い不可もある) |
資金調達額 | 当社不動産評価額の最大80% | 実勢価格の70~80% | 実勢価格の50% |
毎月の支払い | 元金+金利 | 家賃 | 金利のみ |
その他 | 承継者の理解が必要 | 自身の意志で決められる | 自身の意志で決められる |
補足:リバースモーゲージは自宅を担保に資金を借入れし、持ち家に継続して住みながら毎月利息のみを支払う。借入人が死亡した際に担保の不動産を処分して借入金を返済するローン制度。
参考ページ:リバースモーゲージとは
親子間リースバックを円満に行うポイント
親子間リースバックは、老後資金確保、相続対策、住宅購入資金の調達など、さまざまなメリットがある一方で、親子双方に共通するデメリットや社会的な問題も存在します。
これらの問題を回避し、親子間リースバックを円満に行うためには、以下のポイントを意識することが重要です。
透明性の確保
取引に関するすべての情報を開示し、親子間で完全な透明性を保つことが重要です。
契約条件、財務状況、予想されるリスクなど、取引に関連するすべての情報を共有することで、互いの理解と信頼を深めることができます。
公正な評価
不動産の適正な市場価格を専門家に評価してもらい、公正な取引価格を設定します。
市場価格での取引を行うことで、将来のトラブルを避けることが可能になります。
法的アドバイスの利用
取引を行う前に法的なアドバイスを受けることが重要です。
専門の弁護士や不動産専門家に相談し、契約書の内容を慎重に検討してもらいます。
法的なトラブルを防ぎ、取引がスムーズに進むようにします。
コミュニケーションの維持
取引の過程だけでなく、その後も親子間のコミュニケーションを継続して行うことが大切です。
定期的な話し合いを設け、互いの状況や感じていることを率直に話し合う時間を持つことで、誤解や不満が溜まるのを防ぎます。
将来的な計画の共有
リースバック契約の期間やその後のプランについても、親子でしっかりと話し合い、共有することが重要です。
例えば、将来的に賃貸契約を解除するか?など、双方の期待が一致するようにします。
緊急時の対策の準備
万が一の事態に備えて、緊急時の対策計画も事前に準備しておくことが望ましいです。
資金繰りが困難になった場合の対策や、その他の緊急事態にどのように対応するかを事前に話し合っておくと良いでしょう。
親子間リースバック:よくある質問
親子間リースバックについて疑問・悩み・不安においてよくある質問・Q&Aを紹介します。
よくある質問詳細はコチラ親子間リースバック:記事まとめ
親子間リースバックは、親が子に不動産を売却し、その後賃貸契約を結んで引き続きその不動産に住み続ける取引方式です。
この方法は、親が現金を手に入れることができ、老後の生活資金や医療費用に充てることが可能になります。
一方で、子どもは不動産を獲得し、将来の相続税対策や資産管理を行うことができます。
しかし、不動産の所有権の移転に伴うリスクや、家族間の関係に影響を与える可能性もあるため、リースバック契約には慎重な検討と適切な法的手続きが必要です。
親子間リースバックは適切に管理されれば、家族の資産管理と税務計画に有効な戦略となり得ます。