- 「戸建てを売却したいけど、土地と建物はどう査定されるのかわからない…」
- 「築年数が古いから、ほとんど価値がないのでは?」
と不安を感じている方は少なくありません。
実際に、戸建ての査定では土地の価値が9割を占めるケースもあると言われています。
しかし、それはあくまで目安であり、建物の状態や工夫次第で評価を高めることも可能です。
本記事では、戸建て査定における土地と建物の評価の違いを解説するとともに、建物の価値を少しでも上げるためのコツをご紹介します。
戸建て売却を検討している方にとって、知っているかどうかで数百万円単位の差が生まれる可能性もある内容です。
査定に迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
戸建て査定の基本|土地と建物はどう評価される?
戸建ての査定は、マンションの査定とは大きく異なります。
マンションは「建物の一部(区分所有権)」のため築年数や間取りなど共通の指標で価格が算出されやすいのに対し、戸建ては土地と建物をそれぞれ別に評価します。
そのため、築年数が古く建物の評価がゼロに近い場合でも、土地の価値があれば高額査定につながることもあります。
逆に、土地条件が悪ければ築浅の家でも思ったより価格が伸びないケースも。
つまり、戸建て査定では土地評価と建物評価のバランスを理解することが、納得の売却につながる第一歩です。
戸建て査定は「土地」と「建物」を分けて評価する
戸建て査定は、大きく分けて 「土地評価」+「建物評価」=総額査定価格 という形で算出されます。
| 評価対象 | 主な査定基準 | ポイント |
|---|---|---|
| 土地 | 立地(駅距離・生活環境)、土地形状、接道、法的制限 | 長期的に価値が下がりにくい |
| 建物 | 築年数、構造、リフォーム履歴、管理状態 | 築20〜25年でゼロ評価になることも |
このように土地は「立地や環境」で、建物は「築年数や状態」で判断されます。
土地と建物を切り離して査定されるため、「土地の価値が強いか」「建物がプラスになるか」で査定額は大きく変わります。
土地の価値が9割を占めると言われる理由
「戸建ては土地の価値が9割」と耳にすることがあります。
これは、土地は経年劣化せず、需要があれば資産価値を維持できるためです。
たとえば、駅近や人気学区にある土地は、建物が古くても土地の需要が高いため査定額も下がりにくいのです。
一方で建物は時間とともに価値が下がっていくため、築古物件では土地評価が査定のほとんどを占めます。
もちろん「土地9割」は目安に過ぎず、実際は立地や建物の状態によって比率は変動します。
重要なのは、自分の家がどの要素で評価されるかを理解することです。
建物の評価が下がりやすいポイント
建物は年数が経つほど評価が下がる傾向がありますが、それだけではありません。
以下のようなポイントもマイナス要因となります。
- 築年数が20年以上経過
→ 建物価値はほぼゼロ査定になることが多い - 修繕・リフォーム履歴がない
→ 劣化が進んでいると判断されやすい - 耐震基準が旧基準のまま
→ 安全性に不安があるため買い手がつきにくい - 見た目の印象が悪い
→ 内外装が汚れていると査定にも影響
ただし、適切なリフォームや耐震補強、日常的なメンテナンス記録を提示することでプラス評価につながることもあります。
つまり「建物はゼロになるから意味がない」と思わず、手入れやアピールで価値を引き出すことが可能です。
土地評価の基準|査定で重視される項目とは?
戸建て査定において、土地の評価は査定額の大部分を左右する要素です。
建物は築年数とともに価値が下がりやすい一方、土地は条件によって資産価値が維持・上昇するケースも少なくありません。
そのため、不動産会社の査定でも「立地条件」「形状・接道」「法的制限」が重点的にチェックされます。
これらの基準を理解しておくことで、査定額の根拠を正しく把握でき、売却時の戦略を立てやすくなります。
1.立地条件(駅距離・周辺環境)の影響
不動産評価で最も大きな要因となるのが立地条件です。
特に「駅からの距離」は査定額に直結し、徒歩10分以内と20分以上では大きな価格差が生じます。
また、周辺環境も評価のポイントです。
スーパーや病院、学校、公園などの生活利便施設が近いほど需要が高まり、査定額が上昇する傾向があります。
逆に、騒音や治安の悪さが懸念されるエリアはマイナス要素になり得ます。
以下のように、査定に影響する要素は「プラス要因」と「マイナス要因」に分けて整理できます。
| 評価UP要因 | 評価DOWN要因 |
|---|---|
| 駅徒歩10分以内 | 駅徒歩20分以上 |
| スーパー・病院が近い | 周辺に生活施設が少ない |
| 治安が良い | 騒音・臭気・治安の不安 |
2.土地の形状や接道状況が与える査定差
土地の形や道路への接し方も査定に影響します。
四角い整形地は建築プランの自由度が高いため人気があり、評価も高めです。
一方、不整形地や旗竿地は使い勝手が悪いため、同じ面積でも査定額が下がる傾向があります。
また、接道状況も重要で、公道に面しているか、道路幅が十分かで大きな差が出ます。
道路が狭い、接道義務を満たさない場合は再建築不可になる可能性もあり、資産価値に直結します。
3.再建築可否や法的制限のチェックポイント
最後に重要なのが法的制限や再建築の可否です。
都市計画法や建築基準法によって、建てられる建物の高さ・用途・建ぺい率・容積率が定められています。
これらが厳しいと、買い手が自由に建築できないため評価が下がります。
さらに、接道義務を満たさない「再建築不可物件」は、利用価値が限定されるため査定額が大幅に低下します。
査定時には、必ず不動産会社が役所で法規制を確認するため、自分でも事前に把握しておくと安心です。
建物評価の基準|築年数だけで決まらない価値
戸建ての査定額は「土地の価値が大半を占める」と言われますが、建物の評価も決して無視できない要素です。
特に築年数は分かりやすい指標として使われがちですが、それだけで判断されるわけではありません。
リフォームの有無や耐震性、省エネ性能、さらには清掃・管理の状態まで、建物の価値を左右するポイントは多岐にわたります。
査定額を少しでも高くするためには、「築年数が古いから仕方ない」と諦めるのではなく、プラス要因になる部分をしっかりアピールすることが重要です。
1.リフォームや修繕履歴がプラス評価につながる
建物評価で特に効果的なのが、リフォームや修繕の履歴です。キッチン・浴室・トイレといった水回りの交換や、外壁・屋根の塗装、シロアリ防除などは、買主にとって「購入後すぐに大きな修繕が不要」という安心材料になります。そのため、築年数が古くてもリフォーム済み物件は高く評価されやすい傾向にあります。
| プラス評価されやすい工事 | 評価UPの理由 |
|---|---|
| 水回りの交換(キッチン・浴室など) | 入居後すぐ快適に使える |
| 外壁・屋根の塗装 | 雨漏りリスク低減、外観改善 |
| 耐震補強工事 | 安全性向上、長期利用可 |
| シロアリ防除 | 将来の不安を軽減 |
リフォームの領収書や保証書が残っていれば、査定時に提示することで信頼性が高まり、プラス査定につながります。
2.耐震性・省エネ性など性能面のチェック
近年は建物の性能面も重視されます。
特に地震の多い日本では耐震性能の高さが評価対象です。
1981年以降の「新耐震基準」を満たしているかどうかは重要なチェックポイントになります。
さらに、省エネ性能も評価につながります。
断熱材や二重サッシ、太陽光発電システムなどは、光熱費削減や環境配慮の観点から人気が高く、査定額アップの要因になります。
買主は「安全で快適に長く住めるか」を重視するため、こうした性能面を客観的に示せる資料(耐震診断書、省エネ設備の保証書など)があると効果的です。
3.見た目の清潔感や管理状態も評価対象に
意外と軽視されがちですが、清掃や管理の状態も評価に直結します。
雑草が伸び放題の庭や、雨樋が詰まっている家では「きちんと管理されていない印象」を与えてしまい、買主がマイナスに捉える可能性があります。
逆に、築年数が古くても清潔感があり、手入れが行き届いている家は「大切に住まわれてきた」と好印象を与え、査定にもプラスに働きます。
ポイントは高額なリフォームではなく、掃除や片付けといった日常的なメンテナンスでも十分に効果があるということです。
外観・室内の第一印象を良くすることが、査定額を底上げする近道になります。
査定前にできる!建物の評価を上げる3つのコツ
査定額は不動産の専門家が決めるものですが、実は査定前に少し準備をするだけで、家の印象を良くし、評価額に良い影響を与えることが可能です。
高額なリフォームをする必要はありません。
大切なのは、「この家は大切に扱われてきた」ということを査-定士に伝えることです。
そこで、誰でも簡単に取り組める3つのコツをご紹介します。
1.整理整頓と清掃で「第一印象」を良くする
査定士も人間です。最初に家へ入った時の「第一印象」は、査定額の判断に少なからず影響を与えます。
散らかっていて薄暗い家よりも、明るく清潔な家の方が「管理状態が良い」と判断されやすくなります。
特に重点的に清掃したい場所は以下の通りです。
| 場所 | ポイント |
|---|---|
| 玄関 | 家の顔です。靴を片付け、たたきを水拭きするだけでも印象が大きく変わります。 |
| 水回り | キッチン、浴室、トイレは汚れが目立ちやすい場所。カビや水垢をきれいにしましょう。 |
| 窓・照明 | 窓を拭いて照明の傘を掃除すると、部屋全体が明るくなり、広く見えます。 |
| 庭・外回り | 雑草を抜き、落ち葉を掃除しておくだけで、家全体の管理状態が良い印象になります。 |
2.修繕・メンテナンスで家の健全性をアピール
普段の生活では気にならないような小さな不具合も、査定の際にはマイナス評価につながることがあります。
自分で直せる範囲で修繕しておくことで、家の健全性をアピールしましょう。
- 壁紙の剥がれやクロスの汚れ:
小さな剥がれは補修材で直し、汚れは専用のクリーナーで拭き取ります。 - ドアや襖の開閉:
きしみや立て付けの悪さがあれば、潤滑油をさしたり、調整したりします。 - 電球の交換:
切れた電球は全て交換し、家全体が明るい状態にしておきましょう。
雨漏りやシロアリ被害など、専門的な修繕が必要な場合は無理に行う必要はありませんが、把握している問題点は正直に伝えることが大切です。
3.リフォーム履歴など「家の履歴書」を準備する
いつ、どのようなメンテナンスやリフォームを行ったかをまとめた「家の履歴書」を準備しておくと、建物の価値を客観的に証明する強力な武器になります。
口頭で伝えるだけでなく、書類として提示できると信頼性が格段に上がります。
- 新築時の図面や仕様書
- リフォームや増改築の契約書、保証書
- 住宅設備の取扱説明書、保証書
- 耐震診断報告書やインスペクション(建物状況調査)の結果
これらの書類を整理してファイルにまとめておけば、査定士に「この家はしっかりと維持管理されてきた」という ポジティブな印象を与え、建物の評価向上につながります。
戸建て査定を依頼する際の注意点
戸建ての売却を検討する際、「まずは査定を依頼しよう」と考える方は多いですが、依頼の仕方によっては大きな損をしてしまうリスクがあります。
査定価格は業者によって差が出るのが当たり前で、さらに「机上査定」と「訪問査定」では結果が大きく異なることも少なくありません。
戸建て査定は一度きりの大切な判断材料ですから、正しい知識を持って依頼することが重要です。
査定を依頼する際に気を付けたい3つのポイントを解説します。
1.複数の不動産会社に査定を依頼する重要性
戸建ての査定は、不動産会社ごとに価格が異なるケースが多々あります。
これは、査定基準や重視するポイントが異なるためです。
一社だけの査定価格を鵜呑みにすると、実際より安く売ってしまう可能性もあります。
✅ 複数社に依頼すべき理由
- 価格の相場感を把握できる
- 高すぎる査定に惑わされず冷静に判断できる
- 各社の営業スタイルや信頼度を比較できる
一括査定サービスを利用すれば、短時間で複数社の査定結果を入手できます。
「最低でも3社」に依頼して相場を把握することが、失敗しない第一歩です。
2.机上査定と訪問査定の違いを理解する
査定方法には大きく分けて「机上査定」と「訪問査定」の2種類があります。
それぞれの特徴を理解した上で使い分けることが大切です。
| 査定方法 | 特徴 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 机上査定 | 過去の成約事例や公示価格から算出 | 短時間・手軽に依頼可能 | 精度が低い、建物の状態を反映できない |
| 訪問査定 | 実際に現地を確認し算出 | 精度が高く、建物状態も反映 | 時間がかかる、営業提案を受けることも |
まずは机上査定で「おおよその相場」を知り、その後訪問査定で「実際に売れる価格」を見極めるのが基本的な流れです。
3.不動産会社によって評価基準が異なる理由
不動産会社が提示する査定額には、会社ごとの事情が反映されています。
たとえば、同じ物件でも「早く売りたい会社」と「高く売りたい会社」では査定額に差が生まれます。
- 仲介重視の会社
相場に近い金額で現実的な査定を提示 - 買取も行う会社
自社で買い取れる範囲での査定(相場より低めになりやすい) - エリアに強い会社
地元の需要や実績を反映し、相場より高い査定になることも
このように、査定額は「その会社のスタンスと得意分野の反映」でもあります。
複数社を比較することで、自分の売却方針に合った会社を選ぶことが可能になります。
記事まとめ|土地と建物の評価を理解して納得の売却を
戸建てを売却する際に大切なのは、土地と建物が別々に評価される仕組みを理解することです。
査定額を提示されたとき、「なぜこの金額なのか」を知っていれば、不動産会社の説明にも納得感を持てますし、売却戦略を立てやすくなります。
特に「土地の価値が大きい」という特徴は戸建て査定の最大のポイントですが、建物の工夫や管理次第でプラス評価を引き出すことも可能です。
最終的なまとめとして2つの重要な視点を解説します。
土地の価値が大きいが建物の工夫も重要
戸建て査定では、土地が価格の大部分を占めるのが一般的です。
立地条件や接道状況、再建築の可否などが大きく影響するため、同じ建物でも土地によって査定額が大きく異なります。
ただし、だからといって「建物には価値がない」とは限りません。
建物部分は築年数が経過するにつれて評価が下がりやすいものの、以下のような工夫でプラス査定につながる可能性があります。
| プラス評価の要素 | 内容の例 |
|---|---|
| リフォーム履歴 | 水回りの交換、外壁塗装、屋根の補修など |
| 耐震・省エネ性 | 耐震補強工事、省エネ設備の導入 |
| 管理状態 | 定期的な点検・清掃、手入れの行き届いた印象 |
つまり、土地が9割といわれる査定でも、建物の努力次第で数十万〜数百万円の差が出る可能性があります。
2.査定の仕組みを知ることが高値売却の第一歩
不動産の査定は、「どの会社に依頼するか」「どの査定方法を選ぶか」で結果が変わります。
机上査定では土地の相場感を把握しやすく、訪問査定では建物の状態まで反映された実際的な価格が出ます。
✅ 査定で押さえておきたいポイント
- 一社だけでなく複数社に依頼する
- 査定の根拠を必ず確認する
- 机上査定と訪問査定を使い分ける
- 会社の得意分野や販売方針を見極める
査定の仕組みを理解しておけば、不動産会社の説明を受けたときも「ただ価格を提示された」だけで終わらず、自分の判断で納得できる売却計画を立てられます。
最終的に納得のいく売却を実現するには、土地と建物の評価の違いを知り、査定のプロセスを自分の武器にすることが重要です。
- 登録不動産会社:1600社
- 月間1万人の査定実績
- 全国47都道府県対応
ライン:Line感覚で登録が簡単な一括不動産査定サイト:イエウール。
査定物件:マンション(一室)・一戸建て・土地・一棟マンション・一棟ビル・区分所有ビル・一棟アパート・店舗・工場・農地・その他
*東京証券取引所スタンダード市場上場(株式会社Speee)が運営






元メガバンク融資課出身、バブル時代に不動産コンサルティングに従事し、2000年、会社設立後、底地ビジネス・事務所の立ち退き裁判等も経験した宅建士と共に立ち上げ、現在、不動産にまつわるサービスの紹介、口コミ・筆者の感想を加え紹介しています。