入居者 行方不明
不動産投資オーナーは、いろいろなリスクに備えなければいけません。
- 空室リスク
- 家賃滞納リスク
- 災害・地形リスク
- 入居者・借主審査
- 入居者トラブル
などなど。
そこで、今回は入居者リスクの1つとして、
入居者が行方不明になった場合の解決策について紹介します。
幸い筆者は、過去に借主である入居者が行方不明になったり家賃滞納をしたりという経験がありませんが、いつ起こるかわからないリスクです。
入居者が行方不明になった時
入居者の行方不明をオーナーが知るタイミングは、不動産管理会社からの連絡が一般的でしょう。
不動産管理会社も家賃滞納が発覚までは気づくことはないでしょう。
だからと言って、
不動産管理会社もオーナーも勝手に部屋に入ることは出来ませんし、容易に荷物を処分する事はできません。
そのため入居者が行方不明になった時は、行方不明である事実を公にすることから始めることです。
- 電話が通じない
- 訪問しても応答しない
ということを記録、親族・緊急連絡先・連帯保証人への連絡、
その上で、
『もしかしたら部屋で何らかの事件・事故がおきているのかもしれない』
ということで、警察に連絡をして警察官の立会のもと安否確認として部屋に入ります。
そこで姿が見えないのであれば、親族・連帯保証人にも連絡・確認し行方不明人として届け出をします。
この段階で親族や緊急連絡先の人から行方が分かり、
- 保証人として滞納した家賃の支払い
- 今後の契約の確認
などを話合いになります。
入居者が行方不明:不動産投資リスク
不動産投資において、入居者が突如として行方不明になるケースは珍しくありません。
このような状況は、家賃収入の途絶や物件の管理上の問題を引き起こす可能性があります。
特に、家賃の滞納が続くと、投資家のキャッシュフローに影響が出ることも。
また、物件の状態が悪化するリスクも考えられます。
入居者が行方不明になると、
- 家賃が止まる
- 容易に撤去できない
- 客付け・広告も打てない
など、キャッシュフローが崩れるだけでなく、その判断も難しくなります。
基本的に、不動産投資を行う場合、
- 家賃の回収
- 借主とのやり取り
は、不動産賃貸管理会社がすべて行ってくれます。
よって入居者が行方不明になった場合も、管理会社から今後の対応・選択肢の報告があります。
連絡手段として、電話や手紙、メールなどを試みることが基本です。
一定期間連絡が取れない時は、訪問を検討することも考えられます。
訪問時には、事前に通知を行い、訪問の意図を明確に伝えることが大切です。
また、連絡が取れない理由が健康上の問題である可能性も考慮し、必要に応じて地域の福祉機関や警察に相談することも重要です。
入居者が行方不明になった場合の基礎知識
家賃滞納時の対応策:行方不明入居者の場合
家賃の滞納が続く場合、契約書に基づいた適切な手続きを進めることが必要です。
行方不明の場合でも、法的手続きを進める前に十分な催告を行うことが大切です。
- 初回の催告:家賃の滞納が確認された段階で、速やかに催告の通知を行います。
- 再度の催告:一定期間内に家賃の支払いがない場合、再度の催告を行い、期限を設けます。
- 最終通知:再度の催告後も支払いがない場合、最終的な通知を行い、法的手続きを予告します。
物件の再利用:行方不明入居者の荷物や家財の取り扱い
行方不明入居者の荷物や家財は、一定期間保管した後、適切に処分することが考えられます。具体的な手続きは以下の通りです。
- 保管期間の設定:法的に定められた期間、荷物や家財を保管します。
- 通知の発送:荷物の処分を予告する通知を、登録されている連絡先や最後の住所に送付します。
- 処分の手続き:通知後、一定期間経過しても応答がない場合、荷物や家財を適切に処分します。
法的手続き:行方不明入居者との契約解除のステップ
契約解除の際には、催告状の送付や裁判所への申し立てなど、適切な手続きを踏むことが求められます。
- 催告状の送付:契約解除の意向を明確に伝える催告状を送付します。
- 裁判所への申し立て:催告状に対する反応がない場合、裁判所に申し立てを行い、契約の解除を求めます。
- 専門家のアドバイス:弁護士や不動産専門家のアドバイスを受けることで、適切な手続きを進めることができます。
入居者が行方不明なった場合の具体的な契約・手続きをまとめました。
《賃貸借契約書》
入居者の行方不明など起きてはいけないことですが、起きる可能性を最初から除外することはできません。
よって、そのことを想定して賃貸借契約には盛り込まれ、入居者の行方不明トラブルは賃貸借契約書のもとに進められます。
不動産賃貸の管理会社が用意してくれる賃貸借契約書なので、
オーナーは細かい心配をする必要はありませんが、問題が起きた時は、それに沿った対応が必要となります。
行方不明だからと言って、即日契約を解除する事もできませんので、やるべき手順を踏んで契約解除・明け渡しと進めていきます。
《契約解除》
契約解除の進め方ですが、行方不明を理由にするのではなく、家賃滞納を理由にするのが一般的です。
行方不明であっても、毎月家賃は支払われているのであれば問題ありませんが、
多くの時は、家賃滞納+行方不明です。
そこでまず行うのが、家賃の支払い催促・促すことです。
家賃保証会社や連帯保証人など保証人によってその動きは変わりますが、
- 家賃保証会社に委託している場合、家賃保証会社が家賃回収のために動きます。
- 連帯保証人の時は、管理会社が動きます。
本来は、
- 家賃未払いによる契約解除
- 物件の明け渡し
を即進めたいのですが、
家賃未払いの入居者の時は話し合い・言質・内容証明郵便など対応策がありますが、行方不明の場合、それができません。
公示送達
入居者が行方不明の場合、法的手続きもスムーズに進めることができません。
未納催促書通知や契約解除・部屋の明け渡し通知、裁判所へ部屋の明け渡し・未納家賃の請求など
滞納した家賃の支払いと契約解除の意思表示を内容証明郵便で送ったとしても、当然、届かないので貸借人に戻ってくることになります。
そこで、
- 滞納した家賃の督促が届かなかったという事実
- 入居者の行方を探したが見つからないという事実
調査結果を持って裁判所に公示送達の申し立てを行います。
入居者(借主)の行方が分からないことを、裁判所と市区町村掲示板に2週間掲示されると相手に内容証明が届いたこと(送達の効果)と同じ扱いになります。
この申し立てが受理され、掲示板に契約解除をするという内容が貼られて2週間経過すれば、契約が解除・訴訟手続き(明け渡し訴訟)を開始することが可能となります。
明け渡し訴訟
公示送達は、あくまでも内容証明の伝達効果を有効にするものです。
部屋を取り戻す・明け渡しとは別の話です。
そこで、明け渡しを求める訴訟手続きを行い、未払い賃料支払いや建物明け渡しの判決(勝訴)を確定させる必要があります。
基本的に、この流れ以前に勝手に室内に入り荷物の処分・原状回復とはできません・
- 管理会社が提案・弁護士紹介など段取りを整えてくれます。
- 賃貸保証会社の場合、契約内容によっては、訴訟費用や家財の撤去費用に対する保証についています。
事前に、確認しておくといいですね。
物件購入前の空室リスク管理と空室の悩みを解消
事件に巻き込まれた可能性も
入居者の行方不明の多くは夜逃げです。
家財をそのままに夜逃げの場合もありますし、生活感そのままに逃げるように夜逃げという場合もあります。
ただ、事件に巻き込まれたという場合も少なくありません。
そのため、事務的な手続きはもちろん、捜索願も親族・緊急連絡先の方と協議したほうがいいかもしれません。
行方不明者に関する情報提供のお願い
警視庁サイトはコチラ
入居者 行方不明時の弁護士・探偵
《弁護士に相談する場合》
法律の専門家である弁護士の力は大いに役立ちます。
不動産トラブルは、素人では解決できるものではないですし、不動産会社でも手に負えないケースも多くあります。
弁護士に相談すれば、煩雑な手続きを代行してもらえますのでオーナーの負担が減らすことが出来ます。
《探偵に相談する場合》
弁護士同様に、調査会社・探偵に依頼しなくてはならないこともあります。
連帯保証人がいても、一切話に応じないことも少なくありません。
裁判・訴訟となれば、それなりにお金がかかるため、行方不明の入居者を探すという選択肢も1つです。
人探しには時間もかかりますし、無駄足が続ければ費用もかさみます。
情報網と行動力は、探偵事務所の強味でもありますので、実績のある探偵事務所にお問い合わせを行うもの1つの方法です。
>>>>家出・失踪人の調査なら原一探偵事務所
入居者が行方不明:明け渡し後
入居者が行方不明になることは決して嬉しいことではありません。
気分も悪く、予定通り家賃が入ってこなければ、計算も崩れるでしょう。
新しい入居者を見つけるにしても、明け渡し請求が認められた後なので、時間もかかります。
不動産オーナーが、借主の退去時に考えることが2つあります。
- 賃貸の継続・客付け
- 不動産物件の売却
になります。
不動産投資は、
- インカムゲイン(家賃収入)
- キャピタルゲイン(売却益)
両睨みが基本です。
時間が経てば、不動産はガタが来ます。
補修・補強・修理から取換えになります。
修繕においては、小規模修繕で済むものから、10年・20年経てば大規模になります。
それに合わせて費用も掛かるため、売却の検討・査定額の確認も1つのオーナーの意思決定です。
当たり前ですが、不動産は空室の状態の方が高く売れます。
- オーナーチェンジ物件は、利回りを見られます。
- 購入者となるターゲットは、投資目的の人に限られます。
空室の物件の場合、
居住目的での購入者もターゲットになるため空室状態は絶好のタイミングでもあります。
入居者の行方不明による退去というイレギュラーな今回の事象ですが、
基本的に賃貸運営継続を考えながら、不動産査定で相場の確認をするいいチャンスとも言えます。
行方不明入居者の予防策:事前の対策でリスクを低減
不動産投資家としての心構え
入居者 行方不明:まとめ
不動産投資における成功の鍵は、物件管理だけでなく、入居者との信頼関係の構築にもあります。
事前の身元確認や緊急連絡先の取得、定期的なコミュニケーションは行方不明リスクの低減に繋がります。
また、入居者との人間関係を大切にし、トラブル時の冷静な対応や双方の満足を目指す姿勢が、長期的なビジネスの安定と成長をサポートします。
不動産投資は、年齢・年収・不動産市況、3つのタイミングを重視する必要があります
年齢・年収によっては融資審査が通らない・高い買い物で利回りに影響