離婚時のペアローン問題
日本において、
結婚する3組に1組が離婚というデータがあります。
お見合い・恋愛、結婚までのストーリーはいろいろありますが、少なからず、離婚を前提に結婚している人はいないでしょう。
離婚は多くの夫婦にとって大きな転機となりますが、そのプロセスにおいて金銭的な問題は特に頭を悩ますものです。
中でも、ペアローンの取り扱いは、両者の今後の生活に大きな影響を及ぼします。
ペアローンとは、結婚している間に夫婦が共同で借り入れたローンのことを指し、不動産や自動車の購入などでよく利用されます。
離婚をする際、この共同ローンの責任の分担について合意に達する必要があります。
今回は、離婚時のペアローンの問題に焦点を当て、売却、住み続ける、借り換え、抵当権の抹消など、選択できる四つの主要な選択肢とその注意点を詳細に解説します。
さらに、円満な解決に向けて役立つヒントも紹介します。
適切な知識と準備をもって、円満な解決を目指しましょう。
ペアローンとは
ペアローンは、夫婦やパートナーが共同で借入れを行うローンのことを指します。
ペアローンのメリットは、単独でローンを組む場合に比べて、より高額な資金を借り入れることが可能となる点にあります。
たとえば、夫婦が共働きであれば、その収入合計を基にローンの審査が行われるため、承認されるローン額も増える可能性があります。
しかし、離婚などで関係が解消された場合、どちらがローンの責任を負うか、共同での責任をどのように分割するかが問題となります。
最近では、1億円以上のタワーマンションをパワーカップルが購入というニュースをよく目にしますが、
世帯年収1,500万円以上の共働き夫婦が、
- 夫が5,500万円の住宅ローン融資
- 妻が4,500万円の住宅ローン融資
などの持ち分(持分割合は夫は20分の11、妻は20分の9など)として、旦那さんは奥さん・奥さんは旦那さん、各々の連帯保証人になる形でペアローン契約を行います。
関連ページ:パワーカップル 不動産購入
結婚し新しい家族の形ができ、生活する上で重要な衣食住の”住”。
賃貸マンション・アパートから始まり、
少し貯金もでき、仕事も安定、子供・家族が増えたタイミングでマイホームの購入を検討、自然な流れです。
不動産(戸建て・マンション)は基本的に、
金融機関から融資を受けて購入するため、
共働き夫婦が
- 1人が借りる”単独ローン”
- 2人・ペアで借りる”ペアローン”
どちらであっても問題ありません。
ペアローンのメリット
また、ペアローンによって2人で融資を受ければ、
各々、
- 確定申告で住宅ローン控除を申請できます。
- 不動産売却時、3,000万円特別控除が適用になります。
などのメリットがあります。
また、借り方は自由、バリエーションを持たせることが可能なので、
- 夫(旦那さん)は固定金利
- 妻(奥さん)は変動金利
など、リスク分散も可能です。
住宅ローン控除とは
年末時点での住宅ローンの残高の1%⇒0.7%が、入居時から最長13年間にわたって、給与などから納めた所得税や住民税から控除される制度です。
*2022年改正されました。
控除率:1%から0.7%、年間の合計所得:3,000万円以下から2,000万円以下等:国土交通省
3,000万円特別控除とは
マイホーム(居住している)を売却した時、譲渡所得額(買った時より高く売れた金額)から最高3,000万円を控除することができる特例です。
ペアローンのデメリット
離婚時に問題が発生する可能性がある
離婚時にペアローンが残っていると、住宅の売却やローン返済など、様々な問題が発生する可能性があります。
連帯債務者であるため、どちらか一方が返済を滞納した場合、もう一方が全額返済する義務を負うことになります。
ペアローンの利用状況
近年、ペアローンを利用する夫婦が増加しています。
リクルートの調査によると、2023年の首都圏の新築分譲マンション契約者に占める「世帯主と配偶者のペアローン」の割合は33.9%に上り、調査を始めた18年以降で最も多かったとのデータがあります。
また、ペアローンで“億ション”「3分の2が利用」というテレ朝ニュースでも紹介されていました。
これは、共働き世帯の増加や、夫婦の収入合算による融資額の増加などが要因と考えられます。
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無視できない離婚時のペアローン契約
ペアローン中の離婚の場合、後々のことを考えると少なからず協調が必要です。、
1つの不動産を夫婦共有の名義で購入するペアローン。
1億円の不動産を
・夫が7000万円
・妻が3000万円
などの割合で購入するわけですが、
離婚の場合、この権利をどうクリアにするか?
非常に重要となります。
ペアローンの場合は、
お互いの権利の主張が異なれば、スムーズに売却活動が進みません。
- (夫)売りたい・(妻)売りたくない
- (夫)高く売りたい・(妻)早く売りたい
最悪な財産分与になりかねません。
財産分与の基礎知識
財産分与の種類には、
- 清算的財産分与
財産分与(清算) - 扶養的財産分与
離婚後の生活資金、片方が生活に困窮しない等の取り決め - 慰謝料的財産分与
慰謝料
に分かれます。
これに養育費等がプラスされます。
養育費、財産分与、慰謝料など、離婚給付の約束を公正証書に作成
≪離婚時の財産分与の対象になるもの≫
- 現金・預貯金
夫の口座・妻の口座で管理されていた金銭も夫婦共有の財産として考えます。 - 生命保険
終身保険・学資保険なども対象に - 株・有価証券
- 不動産
婚姻後、取得した不動産(マンション・戸建て)、リノベーション等も - 退職金
貢献に応じて分配が基本 - 家具・家電・車等
お金になるものは共有財産として試算します
などをリストアップし、婚姻以降に取得した資産(家)を二等分します。
家を売ってローンを返済し、2000万円残れば、夫婦各々1000万円ずつ分けあります。
これは、オーバーローンの時も同じです。
家を売って住宅ローンを返済しても1000万円ローンが残る場合、
夫婦各々、500万円ずつ離婚後もローンを返済する必要が発生します。
これは、ペアローンの持分割合に関係なく2分の1になります。
離婚時のペアローン、離婚時の4つの選択肢
離婚時にペアローンが残っていると、住宅の売却やローン返済など、様々な問題が発生する可能性があります。
以下では、離婚時に考えられる4つの選択肢とそれぞれの注意点を詳しく解説します。
- 家の売却
共有財産を売却し、その収益でローンを返済します。 - 一方が住み続ける
一方が住宅に住み続け、ローンの返済を引き継ぎます。 - 借り換え
ローンを一方の名前に変更し、その人が全額を負担します。 - 抵当権の抹消
金融機関と交渉し、新たなローン条件を設定することで抵当権を解消します。
これらの選択肢はそれぞれ異なる法的および財政的影響を持ちますので、専門家のアドバイスを求めることが重要です。
不動産売却によるペアローン返済
離婚時にペアローンが残っている場合、住宅の売却は解決策の一般的な形です。。
共有財産を売却し、その収益でローンを返済することで、夫婦双方が新たな生活をスタートすることができます。
- ローン完済の可能性
売却価格によっては、住宅ローンを完済できる可能性があります。 - 新たな住まいの取得
売却益で、それぞれが新しい住まいを購入することができます。
一方が住み続ける
離婚時にペアローンが残っている場合、一方が住宅に住み続け、ローンの返済を引き継ぐことも解決策の一つです。
この方法は、慣れ親しんだ住環境を維持したい場合や、子供がいる場合などに有効です。
- 慣れ親しんだ住環境を維持できる
子供の学校や、ご自身の職場に近いなど、慣れ親しんだ住環境を維持することができます。 - 子供への影響を最小限に抑えられる
子供がいる場合、住環境を変えることによるストレスを最小限に抑えることができます。
- 住み続ける側が住宅ローンを単独名義に変更する必要がある
銀行の審査に通る必要があり、収入や信用状況が問われます。 - 住み続けない側は、居住権を放棄する必要がある
住みたい場合は、立ち退き料を支払う必要がある場合もあります。 - 養育費の支払い義務が返済を圧迫する
子供がいる場合、養育費を支払う必要があれば、返済に影響がでます。
借り換えによる解決策
離婚時にペアローンが残っていると、住宅ローンを借り換えることも解決策の一つです。
借り換えによって、金利条件を改善したり、返済期間を延長したりすることで、返済負担を軽減することができます。
- 金利条件の改善
低金利の住宅ローンに借り換えることで、毎月の返済額を減らすことができます。 - 返済期間の延長
返済期間を延長することで、毎月の返済額を減らすことができます。 - 連帯保証人の変更・外し
夫婦どちらか一方の連帯保証人を外したり、新しい連帯保証人を立てたりすることができます。
借り換えのデメリット
- 借り換え費用
借り換えには、事務手数料や抵当権設定費用など、諸費用が発生します。 - 金利上昇リスク
借り換え後に金利が上昇した場合、返済負担が大きくなる可能性があります。 - 審査に通らない可能性
収入や信用状況によっては、借り換えの審査に通らない可能性があります。
抵当権抹消による解決策
離婚時にペアローンが残っている場合、抵当権抹消は解決策の一つとして有効です。
ローンを完済することを意味し、抵当権を抹消することで、住宅の名義を相手に譲渡したり、住宅を売却したりすることが容易になります。
- 住宅の名義を相手に譲渡できる
離婚後、相手に住宅の名義を移転することができます。 - 住宅を売却できる
抵当権が抹消されていれば、住宅を売却しやすくなります。 - 共有財産の名義変更が容易になる
住宅以外にも、車や預貯金などの共有財産の名義変更が容易になります。
- 費用が発生する
抵当権抹消には、抵当権抹消登記費用がかかります。 - 住宅ローンを完済する必要がある
抵当権を抹消するには、住宅ローンを完済する必要があります。
離婚時のペアローン問題は売却が一番
離婚時にペアローンが残っていると、住宅の売却は解決策として有効ですが、様々な手続きや注意点が存在します。
離婚時のペアローン売却をスムーズに進めるために、具体的な方法、流れ、注意点を詳しく紹介します。
まずは、事前準備
夫婦間での話し合い
まずは、希望する売却時期・売却価格を夫婦間で話し合いましょう。
市場動向や個人の事情などを考慮、また相場価格を参考に、無理のない価格を設定することが重要です。
住宅ローンの状況確認
住宅ローンの残債・金利・抵当権を確認しましょう。
売却益で完済できるかどうか、借り換えを検討する際の参考となります。
抵当権抹消登記が必要となります。
不動産会社選び・仲介不動産会社
査定額やサービス内容を比較検討し、自分に合った不動産会社を選びます。
離婚案件に慣れた実績豊富な会社を選ぶと安心です。
不動産売却活動の流れ
不動産売却の一連の流れは以下の通りです
- 査定依頼
選んだ不動産会社に物件の査定を依頼します。物件の状態や周辺環境を詳しく説明し、複数の会社から査定を受けることで、市場価値を正確に把握し、高値での売却の可能性を高めます。 - 売却価格の決定
受けた査定結果を基に、市場動向を考慮しつつ希望する売却価格を設定します。価格設定は不動産会社と相談しながら決定します。 - 売買契約の締結
適切な買主が見つかった場合、売買契約を締結します。契約内容には、売買代金、支払い期日、引き渡し期日などが含まれます。契約書の内容を確認し、不明点は不動産会社に質問します。 - 住宅ローンの完済・抵当権抹消登記
売却益で住宅ローンを完済し、抵当権抹消登記を行います。所有権の移転や抹消登記は司法書士に依頼することができます。 物件は新しい所有者に正式に移転されます。
財産分与前に必ず行う1つのこと
離婚時の財産分与の基本は、
不動産を売却し現金化した上で、二人で分け合うのが一般的です。
そのため、まず真っ先に行うことは家の価値の確認です。
家を売らずにどちらかが住み続ける場合でも・・・
真っ先に行ってください。
家の価値を確認する理由
家を売っても住宅ローンが返済できそうもない場合、離婚後もローン返済が続いてしまいます。
不動産査定を行うと、
・アンダーローン
(家を売ってローンを返済できる)
・オーバーローン
(家を売ってもローンが残る)
が確認できます。
査定を行う4人に1人は、今家を売っても住宅ローンを返済できないというデータもあります。
*オーバーローンの状態
もし、オーバーローンになりそう場合は、
銀行に抵当権解除の承認をもらい任意売却で進めるなど、手間も手続きもかかります。
ローンを組む際、審査と併せて保証人の代わりに不動産を担保・抵当権を設定します。
これは、基本的にローンを完済しないと抹消はできません。
そのため、事前に家を売った場合、
- 住宅ローンは完済できるか?
- 住宅ローンを返済して、キャッシュはどれくらい残るのか?
財産分与で一番重要なお金の分与の確認をする必要があります。
[関連ページ] 不動産査定サイトおすすめ比較
高額査定を期待できる可能性
首都圏の中古マンションの平均成約価格が
- 平成15年は、1,980万円
- 令和4年は、4,158万円
築年数や間取り、外的要因で多少、不動産購入環境が変わったとしても、
20年あまりで約2倍になっているデータがあり、現状も高値で推移しています。
また別のデータとして、
過去50年の不動産価格の推移を見ると、現状、そのバブル期を上回るところまで高騰しています。
参考:不動産経済研究所
家(マンション)の評価が高く、高額売却できる可能があります。
そんなマイホームの価格を かんたんに知れる方法
昔は、駅前の不動産会社に足を運び、
物件情報や希望の金額、個人情報、アンケートなどを記述し、査定をお願いするのが一般的でした。
しかし、今はスマホでかんたんに査定依頼できます。
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- 広さ・間取り・築年数
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- お名前・連絡先
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比較する重要性
不動産の査定額は、買取価格ではありません。
そのため、複数の会社に依頼し、相場の確認・一番高く評価してくれる不動産会社探しが重要です。
・マンションに強みのある不動産会社
・海外投資家とのパイプが太い不動産会社
・エリアに特化した地場の不動産会社
各々、強みが違います。
特に、現状の好調な不動産市況から、強気で売却してくれる不動産会社もあり、同じ不動産で500万円以上の査定額の差が出ることも多々あります。
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関西 | 大阪府、兵庫県、京都府、三重県 滋賀県 奈良県、和歌山県 |
中国 ・四国 |
鳥取県、島根県、岡山県、広島県 山口県、香川県、徳島県、愛媛県 高知県 |
九州 ・沖縄 |
福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県 宮崎県、大分県、鹿児島県、沖縄県 |
よくある質問
ローンは共同名義のままなので、法的には双方が支払い責任を持ちます。
具体的な支払いの分担は、離婚協議で決定されることが一般的です。
可能ですが、金融機関の承認が必要で、引き継ぐ側が単独での返済能力を示さなければなりません。
売却は可能ですが、ローン残高以上の価格で売却する必要があります。売却益はローン返済に充てられます。
ローンが共同名義の場合、支払いが滞ると両方の信用情報に影響が出ます。
遅延が続くと、抵当権行使のリスクも生じます。
ローンを一方が完全に引き継ぐための借り換えを行うか、物件を売却してローンを完済する必要があります。
離婚時のペアローン:記事まとめ
離婚時のペアローン問題は、適切な準備と理解が必要です。
夫婦が共同で負担してきたローンの扱いは、離婚を進める上で避けて通れない課題の一つです。
選択肢は多岐にわたり、売却、一方が住み続ける、借り換え、抵当権の抹消など、それぞれの状況に応じた最適な解決策を見つけることが重要です。
どの選択肢を選ぶにせよ、法的な助言を得ながら進めることで、金銭的なリスクを最小限に抑え、双方にとって公平な解決を目指すべきです。