財産分与 調停
離婚は人生の中で非常に大きな出来事の一つであり、感情的な面だけでなく、法的・経済的な側面も考慮する必要があります。
特に、夫婦間での財産の分与は、多くのトラブルの原因となることが少なくありません。
この記事では、
- 離婚時の財産分与の調停についての基礎知識
- 調停による財産分与の注意点
- 弁護士の選び方から調停の手続き
などを詳しく解説します。
離婚を考えている方、またはすでに手続きを進めている方に向けて、財産分与調停の流れやポイントを紹介します。
財産分与とは、
夫婦が離婚する際に、結婚中に共有してきた財産をどのように分けるかを決定する手続きのことを指します。
この手続きは、夫婦間の合意に基づくものから、裁判所を通じた調停や訴訟によるものまで様々です。
結婚は、法的には経済的共同体としての側面も持っています。
そのため、夫婦が離婚する際には、その経済的共同体を解消する必要があります。
財産分与は、この経済的共同体の解消を公平に行うための手続きとなります。
財産分与の際の基準は、
- 夫婦双方の貢献度や生活水準
- 将来の生計の見込み
などを考慮して決定され、夫婦の間に子供がいる場合、子供の養育費や教育費なども考慮されます。
《財産分与の方法》
財産分与の方法は、
- 合意による財産分与: 夫婦間での話し合いにより分与する方法
- 調停による財産分与: 裁判所の調停を利用して分与する方法
- 訴訟による財産分与: 裁判所の判決により分与する方法
大きく上記の3つに分けられます。
財産分与 調停の基本的な流れ
調停を始めるには、家庭裁判所に申立書を提出する必要があります。
この際、必要書類や財産目録の作成が求められます。
調停を始めるための第一歩は、家庭裁判所に調停の申立てを行うことです。
申立書には、財産分与の請求内容や理由、夫婦の経済的状況などを詳細に記載する必要があります。
また、財産目録や預貯金通帳の写し、不動産の登記簿謄本などの必要書類を添付することが求められます。
この段階で、弁護士や法律相談所のサポートを受けることも考えられます。
《調停期日の設定》
申立てが受け付けられた後、家庭裁判所から調停期日が通知されます。
この期日は、当事者双方が出席する必要があります。
出席しない場合、調停が不成立となる可能性が高まります。
また、この日には、調停委員や裁判官が中立的な立場で夫婦間の話し合いをサポートします。
《話し合いと合意》
調停委員や裁判官のもとで、双方の話し合いが行われ、合意が成立することを目指します。
この際、双方の要望や事情をしっかりと伝え、理解し合うことが重要です。
調停委員や裁判官は、公平な視点から双方の意見を聞き、合意の形成をサポートします。
この段階で、合意が成立しない場合、再度の調停期日が設定されることもあります。
《調停調書の作成》
夫婦間での話し合いにより、合意が成立した場合、その内容をもとに調停調書が作成されます。
この調書は、財産分与に関する正式な合意内容を示すもので、裁判所の認定を受けることで法的効力を持ちます。
調書には、分与される財産の詳細や分与の方法、期日などが記載されます。
財産分与の対象となる財産
財産分与の対象となる財産には
・不動産
・預貯金や退職金
・借金や住宅ローン
・車
・家電
・宝石
・株式
・生命保険
などになります。
不動産
持ち家や土地など、不動産は財産分与の主要な対象となります。
不動産とは、土地や建物などの移動できない財産を指します。
離婚時の財産分与において、不動産は大きな価値を持つため、特に注意が必要です。
所有権の移転や名義変更、売却など、どのように分与するかの合意が必要です。
また、不動産の現在の市場価格を正確に把握するため、不動産鑑定士による査定を受けることも考えられます。
預貯金や退職金
預貯金(銀行や郵便局などの金融機関に預けられているお金)、退職金(雇用者から退職時に支払われる金額)、
これらの財産も、夫婦間での分与の対象となります。
具体的な金額や、どのように分けるかの合意が必要です。
借金や住宅ローン
夫婦間の借金や住宅ローンも考慮される点です。
夫婦間での借金や住宅ローンも、財産分与の際に考慮される点です。
特に、住宅ローンは大きな金額となることが多いため、どのように返済していくか、また、どちらの名義で住宅を所有するかなどの合意が必要です。
参考ページ:離婚時のペアローン・財産分与問題
その他の財産
車や家電、宝石など、その他の財産も分与の対象となり得ます。
車や家電、宝石、株式、生命保険など、その他の財産も分与の対象となり得ます。
これらの財産の価値や、どのように分けるかの合意を夫婦間で行う必要があります。
特に、高価な財産や、感情的な価値を持つ財産については、注意深く話し合うことが求められます。
財産目録は、離婚時の財産分与を行う際に、夫婦が所有する財産を一覧にしたものです。
しかし、すべての財産が財産目録に含まれるわけではありません。
- 結婚前に一方が所有していた財産
結婚前から一方が所有していた財産は、原則として財産分与の対象外とされます。 - 相続や贈与で得た財産
結婚中に一方が相続や贈与で得た財産も、原則として財産分与の対象外とされることが多いです。 - 個人の持ち物
衣服やアクセサリー、趣味の道具など、個人的に使用するものは、通常、財産目録には含まれません。 - 将来の権利
未受取の給与や将来受け取ることが予定されている遺産など、現在は存在しない将来の権利は、財産目録には含まれないことが多いです。 - 非経済的価値を持つ物
感情的な価値や記念の価値を持つ物(例: 家族の写真や手紙)は、経済的な価値がないため、財産目録には通常含まれません。 - 非常に低い価値の物
一般的に、非常に低い価値を持つ物は、財産目録に記載することが省略されることがあります。
*注意点として、これらの例外は一般的なものであり、具体的なケースや法的な背景によっては、これらの財産も財産分与の対象となることがあります。
したがって、実際の手続きを進める際は、専門家や弁護士のアドバイスを受けることが重要です。
財産分与の際の注意点
財産隠しの問題
相手方が財産を隠している可能性があるため、注意が必要です。
離婚時の財産分与において、一方の当事者が自身の財産を隠す行為は、残念ながら少なくありません。
財産隠しは、公平な分与を妨げる行為となり、後に大きなトラブルの原因となることが多いです。
このような状況を避けるためには、夫婦双方の財産の開示を求めることや、必要に応じて専門家の協力を得ることが考えられます。
弁護士の利用
複雑なケースでは、弁護士の相談やサポートが有利となります。
財産分与 調停は、法的な手続きを伴うため、専門的な知識や経験が求められます。
特に、複雑なケースや大きな財産が関与する場合、弁護士のサポートを受けることが有利となります。
弁護士は、客観的な視点からアドバイスを提供し、公平な分与を実現するためのサポートを行います。
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財産の評価
不動産や宝石などの価値を正確に把握するための方法やポイント。
財産分与を行う際、財産の正確な価値を知ることは非常に重要です。
特に、不動産や宝石、株式などの価値が変動する財産については、専門家による査定を受けることが考えられます。
正確な財産の評価を行うことで、公平な分与が可能となります。
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参考ページ:おすすめの不動産査定サイト
財産分与請求は、離婚成立後2年以内に行う必要があります。
財産分与の請求は、離婚が成立した後、一定の期間内に行う必要があります。
この期間は、離婚成立後2年とされています。
この期間を過ぎると、財産分与の請求はできなくなるため、注意が必要です。
ただし、特別な事情がある場合、この期間を超えても請求が認められることがあります。
財産分与の調停のメリット・デメリット
《財産分与調停に必要な費用》
申立手数料 |
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弁護士費用 |
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鑑定費用 |
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証拠収集費用 |
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その他の費用 |
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財産分与調停と訴訟の違いは?
財産分与は、必ずしも裁判・調停を行う必要はありません。
ただ、資産がそれなりにあったり、慰謝料や養育費の問題・トラブルがある時は、弁護士・裁判所を通した手続きになります。
そこで気になるのが、
- 調停
- 訴訟
の違いは何なのか?
財産分与調停と財産分与訴訟は、ともに裁判所を通じての手続きですが、その性質や目的には大きな違いがあります。
調停は、夫婦間の話し合いを基本とし、合意による解決を目指す手続きです。
一方、訴訟は、裁判所が事実関係を認定し、法律に基づいて判断を下す手続きです。
訴訟は、調停が不成立となった場合や、合意が難しいケースでの最後の手段となります。
財産分与調停を成功させるためのポイントとしては、以下の点が挙げられます:
財産分与 調停の体験談・口コミ
財産分与において調停を考えている人にとって、一番気になるのは、口コミや評判だと思います。
クチコミサイト、SNS:X(旧Twitter)やInstagram、Facebook(ツィッターやインスタグラム、フェイスブック)などの内容を確認し、良い口コミ・悪い口コミ・体験談などを探しました。
私たちは、夫婦間での話し合いが難しく、裁判所の調停を利用することになりました。
最初は不安でしたが、調停委員の方々が中立的に話を進めてくれ、結果的にはスムーズに合意に至ることができました。
私の場合、夫が財産を隠していると疑い、調停を申し立てました。
調停の過程で、夫の隠していた預貯金や不動産を明らかにすることができ、公平な分与が実現しました。
私たちは、夫婦での話し合いで財産分与についての合意を試みましたが、うまくいかず調停を利用することに。
調停を通じて、お互いの要望や事情をしっかりと理解し合い、最終的には双方が納得のいく結果になりました。
よくある質問・Q&A
財産分与の請求は、離婚が成立した後、一定の期間内に行う必要があります。この期間は、離婚成立後2年とされています。この期間を過ぎると、財産分与の請求はできなくなるため、注意が必要です。ただし、特別な事情がある場合、この期間を超えても請求が認められることがあります。
夫婦の共有債務も分与の対象となります。夫婦間での借金や住宅ローンなどの共有債務は、財産と同様に公平に分ける必要があります。具体的な返済の方法や負担の割合などは、夫婦間の合意や裁判所の判断により決定されます。
財産分与の対象となるのは、夫婦が結婚中に共有してきた財産全般です。具体的には、不動産、動産、金融資産、借金などが含まれます。ただし、結婚前から所有していた財産や、結婚中に相続や贈与で得た財産は、原則として分与の対象外となります。
財産分与の方法は、まず夫婦間での話し合いを基本とします。合意が難しい場合や、財産の評価が複雑な場合などは、裁判所を通じた調停や訴訟を利用することも考えられます。裁判所を通じた場合、公平な分与が求められます。
調停の申立ては、家庭裁判所で行います。申立てる際には、必要な書類や証拠を準備することが必要です。
調停の期間はケースバイケースですが、一般的には数ヶ月から1年程度を要することが多いです。ただし、双方が迅速に合意に至る場合や、複雑な財産が関与する時は、それ以上の時間がかかることもあります。
調停が不成立となった場合、次のステップとしては訴訟を起こすことが考えられます。訴訟を通じて、裁判所が財産分与の判断を下します。
新たな財産が発見された場合、その財産に関する情報を裁判所や相手方に正確に開示することが必要です。また、その財産を調停の対象として取り扱うか、どのように分与するかについての話し合いを行うこととなります。
財産分与時の調停:まとめ
離婚時の財産分与は、多くの夫婦にとって難しい課題の一つです。
しかし、適切な知識と手続きを理解することで、トラブルを避けることができます。
調停は、夫婦間の公平な財産分与を実現するための有効な手段となるでしょう。
この記事を参考に、円滑な財産分与調停を目指してください。
そして、体験談を通じて、実際の調停の流れや感じることができるでしょう。