不動産市況や住宅ローン金利によって売り時は変わるのか?
海外投資家の動きが不動産投資に影響を与えるか?
[11月11日最終更新]
不動産の売却は、人生の中でも大きな決断の一つです。
一生に何度も経験するものではなく、多くの人にとって初めての経験となるでしょう。
そのため、不動産に関する知識が十分でないまま、売却のタイミングを決めなければならないという方も少なくないはずです。
「今、売却すべきか?」
「もう少し待った方がいいのか?」
と迷うのは当然のことです。
不動産の売却は、価格の変動だけでなく、金利、税制、ライフプランなど、さまざまな要素が複雑に絡み合っています。
そこで、この記事では、不動産売却を検討されている皆様に向けて、
「今、不動産を売るべきかどうか」
を判断する上で役立つ情報を分かりやすく解説していきます。
不動産価格の推移や住宅ローン金利の動向はもちろん、株価の動きや税制、物件の種別など、売却のタイミングに影響を与えるさまざまな要素を紹介し、最適な売却時期を見つけるための情報を提示します。
11月の不動産売り時ポイント
2024年初頭から不動産市場は大きく変動し、11月を迎えた今、売却を検討されている方も多いのではないでしょうか。
住宅ローン金利上昇と不動産価格への影響
まず、大きな変化として挙げられるのが、住宅ローン金利の上昇が現実化したことです。
特に変動金利は、今後さらに上昇する可能性も視野に入れなければなりません。
金利上昇は、住宅購入者にとって負担になり、結果的に不動産価格上昇ペースを鈍化させる可能性も考えられます。
海外投資家の影響と不動産価格の高騰
一方で、海外投資家の不動産購入は、特に都心の高額物件を中心に、不動産価格の高値推移を後押ししています。
そのため、居住目的の購入者や国内の不動産投資家にとっては、購入価格上昇が購入機会を阻害しています。
ただ、海外投資家は投資目的での購入が多いため、市況の変化によっては売却の連鎖が起こり、不動産価格が急落する可能性もはらんでいます。
オーナーチェンジ物件売却の現状と今後の見通し
不動産投資家に関しては、都心の賃貸需要は高く、空室リスクは少ないため、無理に売却を検討する必要はないタイミングとも言えます。
そもそも、オーナーチェンジ物件売却は、購入者が即居住することが出来ず、利回りが確定しているため足元を見られます。
退去のタイミングまで待っても問題ないでしょう。
12月の不動産売却、今売るべき?
現在の状況を踏まえて、12月に不動産を売却すべきかどうかの判断は、以下の点を考慮する必要があります。
自身の資金状況
住宅ローン金利の上昇によって、現在の住宅ローンが返済困難になる可能性があるか。
今後のライフプラン
転勤や家族構成の変化など、住み替えが必要な状況にあるか。
物件の特性
・都心の一等地にある高額物件であれば、海外投資家の需要も高く、高値で売却できる可能性があります。
・一方、郊外の物件や築年数の古い物件は、価格交渉が厳しくなる可能性があります。
市場の動向
金利動向、不動産価格の動向、政治・経済状況などを注意深く観察する必要があります。
不動産市況そのものについては”不透明”
不動産市場・不動産価格の推移から見る不動産の売り時
不動産市場は、経済状況、政府政策、社会情勢など、さまざまな要因によって常に変動しています。
現在の不動産市場全体の動向を把握し、売却のタイミングを判断するためのヒントを探ります。
新築マンションの平均価格を例に出すと、バブル期を越えるほど勢いのあるのが今の不動産市況です。
不動産を所有している方にとって、
数十年ぶりに資産と本気で向き合える絶好のタイミングと言えます。
参考:新築マンション平均価格」
1973年と2022年の平均価格比較:全国平均は4.7倍
1973年 | 2022年 | 上昇率 | |
---|---|---|---|
全国 | 1086万円 | 5121万円 | 4.7倍 |
首都圏 | 1171万円 | 6288万円 | 5.4倍 |
近畿圏 | 1000万円 | 4635万円 | 4.6倍 |
首都圏の近郊都市の平均価格比較
地域 | 1973年 | 2022年 | 上昇率 |
---|---|---|---|
東京都 八王子市 | 1244万円 | 4125万円 | 3.3倍 |
神奈川県 藤沢市 | 1301万円 | 5354万円 | 4.1倍 |
埼玉県 川口市 | 1000万円 | 5398万円 | 5.4倍 |
千葉県 船橋市 | 978万円 | 4395万円 | 4.5倍 |
なぜ新築マンション価格は高騰しているのか?
新築マンション価格の高騰には、いくつかの要因が考えられます。
低金利の影響
長期にわたる低金利環境は、住宅ローンの利用を促進し、不動産へのアクセスを容易にすることで、特に住宅市場において需要を拡大させています。
この低金利は、新築マンションを含む不動産投資の魅力を高め、価格を押し上げる一因となっています。
都市部への人口集中
経済活動の中心地である都市部への人口集中は、特に中心部の不動産に対する需要を増加させています。
人口動向は、利便性と機会を求める多くの人々によってさらに強化され、結果的に不動産価格を高める要因となっています。
参考:転入超過は東京都など7都府県。東京都が最も拡大(総務省)
供給不足
建設コストの上昇、資材の不足、人件費の高騰など、供給面での問題も価格高騰に寄与しています。
これらのコスト増加は、新築マンションの供給量を制限し、既存の需要とのバランスを崩しています。
関連ページ:建築費高騰と建設工事費高による新築マンション価格の関係
平成2年10月には変動金利型は8.5%まで上昇しましたが、日銀のゼロ金利政策が始まった平成11年2月以降はほぼ一貫して歴史的低金利水準が続いています。
住宅ローン金利の動向から見る不動産の売り時
平成2年10月には変動金利型は8.5%まで上昇しましたが、日銀のゼロ金利政策が始まった平成11年2月以降はほぼ一貫して歴史的低金利水準が続いていました。
これまで、経済活動活性化(デフレ脱却)を基本としてるため、住宅ローン金利に関して、変動金利 ”一択”が大方の考えが続いていました。
しかしながら、日銀は金融政策決定会合でマイナス金利政策の解除を決定、17年ぶりの利上げに踏み切りました。
住宅ローン金利:銀行の固定金利はもう上昇傾向
楽天銀行の変動金利(固定特約付き) の金利推移を確認しても、上昇傾向が確認できます。
《2024年の変動金利や固定金利の推移》
適用期間 | 変動金利 | 固定金利 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
2年 | 3年 | 5年 | 7年 | 10年 | ||
2024年10月 | 1.484% | 1.885% | 1.953% | 2.050% | 2.167% | 2.360% |
2024年9月 | 1.494% | 1.847% | 1.899% | 1.997% | 2.118% | 2.313% |
2024年8月 | 1.383% | 1.870% | 1.975% | 2.129% | 2.283% | 2.503% |
2024年7月 | 1.343% | 1.849% | 1.958% | 2.108% | 2.259% | 2.478% |
2024年6月 | 1.333% | 1.822% | 1.919% | 2.063% | 2.218% | 2.442% |
2024年5月 | 1.313% | 1.774% | 1.869% | 2.007% | 2.152% | 2.360% |
2024年4月 | 1.233% | 1.697% | 1.790% | 1.948% | 2.118% | 2.340% |
2024年3月 | 1.206% | 1.728% | 1.827% | 1.997% | 2.165% | 2.384% |
2024年2月 | 1.207% | 1.633% | 1.718% | 1.880% | 2.053% | 2.270% |
2024年1月 | 1.210% | 1.702% | 1.808% | 1.998% | 2.170% | 2.392% |
・現状、変動金利で住宅ローンを契約している方
・これから住宅ローンを組んで不動産を購入する方
各々の側面からメリット・デメリット、購入意欲・売却判断に大きく影響を与えます。
*また、不動産投資家同様で、アパートローン・プロパーローンにも影響を与えます。
現状、変動金利で住宅ローンを契約している方
変動金利で住宅ローンを契約している方が金利上昇の影響を受ける場合、以下のような影響・対応が考えられます。
返済額の増加
金利が上昇すると、ローンの返済額も増加します。
これは、月々の家計に大きな影響を与え、余裕資金が減少する結果を招くため、生活に直接的な影響を及ぼします。
元々の金利が1%だった場合、
月々の返済額は約95,000円程度
もし金利が1%から2%に上がった場合、
月々の返済額は約110,000円に増加し、返済額の増加分は約15,000円になります。
さらに、返済総額においても大きな変化が見られます。
金利1%の時の返済総額は約3400万円ですが、金利が2%に上がると返済総額は約4000万円に増え、その差は約600万円程度になります。
このように、わずか1%の金利上昇が返済額と総返済額に大きな影響を与えることが分かります。
売却の検討
金利上昇による返済額の増加は、持続可能な返済が困難になるほどの負担となる場合があります。
特に金融状況が厳しくなった場合、不動産の売却を通じてローンを一括返済し、財務状態を安定させることが一つの解決策となるでしょう。
加えて、金利の上昇だけでなく、物価の上昇や光熱費の高騰も家計に影響を与えています。
返済金額が月に2万円や3万円増加すると、これらの他の生活費の上昇と合わせて、家計にとっては非常に大きな負担になり得ます。
このような状況は、不動産を売却し、より安定した財務基盤を確保する動機となることがあります。
借り換えの検討
金利上昇が予測される場合、多くの借り手はより予測可能な固定金利に借り換えを検討することがあります。
将来の金利変動リスクを避け、一定の返済額を保証することができます。
借り換えは、長期的な財務計画において予測可能性と安定性をもたらします。
物件種別(マンション・戸建て)から見る不動産の売り時
国土交通省が発表する不動産価格指数は、全国の住宅価格の動向を把握するための1つの指標です。
この指数を詳しく見てみると、マンションと戸建て住宅では、価格の上昇率に大きな差があることがわかります。
物件種別による価格上昇率の違いと要因:マンションと戸建て
マンションの上昇要因
都市部では、交通の利便性や商業施設の充実など、都市生活へのニーズが高まっているため、マンションへの需要が特に高まっています。
また、開発可能な土地が限られているため、供給が需要に追いついていない状況が続いています。
更に、低金利を背景に、不動産投資家によるマンション購入も活発化しており、価格上昇を後押ししています。
戸建ての微上昇要因
都市部ではマンション価格が高騰しているため、比較的価格が安定している郊外への需要が高まっています。
新型コロナウイルス感染症の影響により在宅ワークの普及、広くて静かな住環境を求める人が増え、戸建て住宅への関心が高まりました。
戸建て住宅の価格は、土地の価格に大きく左右されます。
都市部近郊の土地は高騰傾向にある一方で、地方の土地は比較的安定している傾向にあります。
物件種別による価格上昇が売り時に与える影響:マンションと戸建て
物件種別によって価格上昇率が異なることは、不動産の売り時を考える上で重要な要素となります。
都市部中心のマンションは、 需要が旺盛で価格上昇が期待できるため、売却時期を検討する上での選択肢の一つとなります。
ただし、市場の状況や個々の物件の条件によって、最適な売却時期は異なります。
逆に郊外のマンションは、 都市部ほど価格上昇率は高くないものの、安定した需要が見込まれるため、長期的な視点で売却を検討することも可能です。
戸建てに関しては、
都市部近郊の戸建ての場合、土地価格の高騰により、売却益が期待できる可能性があります。
郊外の戸建てに関しては、比較的価格が安定しているため、急いで売却する必要がない場合もあります。
ただし、地域の経済状況や人口動態の変化に注意する必要があります。
海外投資家の動きから見る不動産の売り時
近年、日本の不動産市場における海外投資家の存在感が増しています。
特に、都心の高額物件への投資が活発であり、これが不動産価格の高騰を一層推し進める要因となっています。
海外投資家が日本の不動産に注目する理由
安全資産としての日本
政治・経済の安定性、自然災害に対する強靭性など、日本は海外から見て安全な投資先と評価されています。
円安
円安が進んでいるため、海外からの投資家にとっては日本の不動産が割安に感じられます。
都市再生
東京をはじめとする都市部の再生が進んでいるため、不動産価値の上昇が期待できます。
インバウンド需要
日本の観光客が増加していることから、ホテルや商業施設への投資が魅力的です。
海外からの資本流入により不動産価格が上昇する一方で、これらの投資家が市場の変動や経済的な不確実性に敏感であるため、市況の変化に応じた売却の連鎖が起こるリスクも含んでいます。
そのため、今後の不動産売買を考える際には、国際的な市場動向を注視し、海外投資家の動きを理解することが重要です。
不動産(マンション・戸建て)の売り時:記事まとめ
この記事では、不動産の売り時を見極めるさまざまな要因を随時、更新しています。
不動産価格の推移、住宅ローン金利の動向、株価の影響、海外投資家の動向など、それぞれが不動産市場に与える影響は大きく、これらの情報を理解することが、適切な売却時期を判断するために不可欠です。
特に、今までリスク要因が少なかった、市場の変動に敏感な海外投資家の動きや、金利の変動は、不動産の価値評価に直接的な影響を与えます。
売却のタイミングを見極めるには、これらの要素を総合的に分析し、市場のトレンドを見据えることが求められます。
マンションや戸建てといった物件種別によっても、売り時の最適な判断は異なるため、個々の状況に最も適したアプローチを選択することが成功への鍵となります。
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