「いつか戸建てに住みたい」「子どもが独立したら夫婦2人に合う家へ住み替えたい」——この考え方、いまはかなり“現実的”です。
そして、そのときに効いてくるのが「売却前提でマンションを買う」という発想。
これは、マンションを“終の棲家”として固定するのではなく、将来の売却(もしくは賃貸)まで見据えて、資産価値と流動性が高い物件を選ぶという購入戦略です。
結論から言うと、売却前提で買う人が最も避けたいのは「住みたい人はいるけど、買いたい人がいない物件」
本記事では、将来の住み替え・転勤・家族構成の変化にも強い、“出口が作れるマンション”の選び方を、制度・税金も含めて実務目線で徹底解説します。

売却前提でマンション購入とは?|「住む」+「出口(売る)」をセットで設計すること
売却前提でマンションを購入するとは、ひとことで言うとこうです。
「買う時点で、売る時の勝ち筋も決めておく」
“住み心地”だけでなく、次の買い手が見つかる条件(資産性・需要・管理・立地)で物件を選びます。
だから、これは「損しないための守り」ではなく、人生の選択肢を増やす攻めの住まい戦略です。
なぜ今「売却前提」で買う人が増えているのか?
- ライフスタイルが変わるのが当たり前(転勤・転職・出産・子どもの独立・親の介護など)
- 金利・物価の変動で「住み替え」が現実解になりやすい
- “完済がゴール”より“いつでも動ける状態”の方が強い
売れない・貸せない物件を買ってしまうと、人生のイベントが起きた瞬間に「詰み」やすい。
逆に、出口が強い物件なら、住み替えも賃貸化も可能になり、家が“足かせ”ではなく“選択肢”になります。
購入前に絶対知っておきたい「価格」と「価値」の違い
マンション購入で多くの人が見てしまうのは「価格」です。
でも、売却前提なら見るべきは「価値」です。
- 価格:いま自分が払う金額
- 価値:将来、他人が払ってくれる金額
価値を決めるのは、流行の内装ではなく、基本的にこの3つです。
- 立地(駅距離・生活利便・需要の厚み)
- 管理(修繕計画・積立金・管理組合の健全性)
- 間取り(普遍性=買い手の多さ)
資産価値が落ちにくいマンションの見極め方【10のチェックリスト】
ここからが本題です。売却前提で買うなら、以下の10項目は“感覚”ではなく“条件”で判定してください。

1)駅距離は最重要|目安は徒歩10分以内
- 理想:徒歩5分以内(希少性が強い)
- 現実:徒歩10分以内(需要が広い)
- 注意:徒歩15分超は出口で苦戦しやすい
2)「住みたい人が多い街」か?(需要の厚み)
売却で強いのは、“人気エリア”そのものより、継続的に住む人が流入する街です。
通勤導線、学校、病院、スーパー、公園など生活利便が揃っているかを見ます。
3)管理状態は「見た目」ではなく「書類」で判断
最低限、以下は必ず確認しましょう。
- 長期修繕計画
- 修繕積立金の残高・値上げ履歴
- 管理組合の総会議事録(揉め事・滞納・先送りの多さ)
4)総戸数は多い方が安定しやすい(管理費の分散)
一概には言えませんが、総戸数がある程度ある方が、修繕費や管理費が分散されやすい傾向があります。
小規模物件は、将来の大規模修繕で一時金が出やすいので要注意。
5)間取りは「万人受け」優先|2LDK〜3LDKは強い
売却前提なら、尖った間取り(特殊すぎる1LDK、変形、収納不足など)は出口で詰まりやすいです。
需要が広いのは2LDK〜3LDK。
6)方角・階数は「外さない」ことが重要
- 南向きは人気が安定しやすい
- 2階以上が無難(1階は好みが分かれる)
- 眺望の抜け・日当たりは“将来の武器”になる
7)災害リスク(ハザード)と“許容できるリスク”を分ける
安い物件ほど、浸水・液状化・崖地などのリスクが価格に織り込まれているケースがあります。
「安いからOK」ではなく、将来の買い手も同じ不安を持つ点に注意してください。
8)共用部のグレードは“中古市場の安心感”に直結する
エントランス、掲示板、ゴミ置場、駐輪場が荒れている物件は、管理の質が出ます。
中古市場では「安心感」が価格を支えます。
9)売却しやすい“ターゲット”を決める(誰が買う?)
買う前に、未来の購入者像を決めてください。
- ファミリーが買う?(学区・広さ・公園)
- DINKSが買う?(駅距離・街の雰囲気)
- 投資家が買う?(賃貸需要・利回り)
10)「売る時の比較対象」が強すぎる場所は避ける
同エリアで新築供給が多すぎると、中古が埋もれます。
“同条件のライバルが増え続ける場所”は出口で苦戦しがちです。
新築 vs 中古|売却前提ならどっちが有利?
売却前提の視点で見ると、結論はこうなりやすいです。
「条件が良い築浅中古(築3〜10年)」が最もバランスがいい
理由はシンプルで、購入直後の値動きリスクを抑えつつ、設備・耐震・管理状況も確認できるからです。
出口戦略|売る時にかかる費用・税金は“購入前”に把握する
売却時にかかる主な費用(目安)
- 仲介手数料:売却価格が400万円超の場合、上限は「売却価格×3%+6万円+消費税」
- 印紙税:売買契約書に貼る印紙代(売却価格により変動)
- 抵当権抹消費用:ローン完済・抹消登記が必要な場合に発生
売却益が出た場合の税金(超重要ポイント)
売却益(譲渡所得)が出た場合は、「売却価格-(取得費+譲渡費用)」で利益を計算し、利益に対して税金がかかります。
また、保有期間が5年以下か5年超かで税率が大きく変わるため、売却タイミングは戦略的に考える必要があります。
住宅ローン控除と売却タイミング
住宅ローン控除は、入居年や住宅の性能区分などによって扱いが変わります。
売却を急ぐほど「控除の取り切り」に影響が出ることがあるため、税制と出口(売却)のバランスを事前に想定しておくと安心です。
買ってはいけないマンションの特徴【売却前提で危険な9パターン】
- 駅徒歩15分以上で、街に“伸びしろ”もない
- 修繕積立金が明らかに不足/長期修繕計画が形だけ
- 管理組合が機能していない(議事録が荒れている)
- 間取りが尖りすぎて買い手が限定される
- 災害リスクが高いのに価格が割安ではない
- 周辺に新築供給が多く、中古が埋もれやすい
- 共用部が荒れている(管理の質が低い)
- 売却時のターゲットが想像できない
- “安さ”だけが魅力で、代替がいくらでもある
よくある質問(FAQ)|売却前提で買う人が検索する疑問を先回りで解決
Q1. 売却前提で買うのは投資目的と同じですか?
A. 近い部分はありますが、目的が違います。投資は利益最大化、売却前提は“人生の選択肢を確保する資産性”が主目的です。
Q2. 新築はやめた方がいいですか?
A. 一概にNGではありません。ただし売却前提なら、立地・管理・間取りの強さがない新築は出口が弱くなりがちです。
Q3. 築年数は何年までが安全?
A. “安全”は一律ではなく、管理と立地次第です。売却前提なら築3〜10年の築浅中古がバランスを取りやすい傾向があります。
まとめ|売却前提のマンション購入は「完済」ではなく「出口」をゴールにする
売却前提でマンションを買う最大のメリットは、これです。
「将来、売る・貸す・住み替える」を選べる状態を先に作れる
だからこそ、買うべきマンションは「自分が好き」だけでなく、次の買い手が欲しくなる条件で選ぶ。
駅距離・管理・間取りの普遍性。この3つを外さなければ、売却で詰む確率は大きく下がります。
マンション購入を、住まいのゴールではなく、未来の選択肢を増やす“スタート”に変えていきましょう。




不動産の口コミ評判堂 編集部は、元メガバンク融資課出身で、バブル期から不動産金融の現場に携わり、底地ビジネスや立ち退き裁判なども経験した宅地建物取引士の知見をもとに構想・設計を行い、立ち上げ、日々、不動産情報を紹介しています。