マンション建て替えリスク:建て替えのメリット・デメリット

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マンション建て替えリスク 不動産コラム

分譲マンションの建て替えは、区分所有者にとって魅力的な選択肢となる一方、実現までの道のりは険しく、様々なリスクが潜んでいます。

実際に、マンションの建替えの実績は累計で297件(約24,000戸)(2024年4月1日時点)。

  • 2023年は12戸
  • 2024年は13戸

と、非常にわずかな件数となっています。

建て替えのメリット・デメリット

マンションの建て替えは、老朽化したマンションを新しく生まれ変わらせる魅力的な手段ですが、実現には多くのハードルがあります。

区分所有者にとっては、建て替え後の新しいマンションに住む権利を得られるというメリットがある一方、建築コストや建設期間、そして何よりも建て替え費用という大きな負担が伴います。

さらに、建て替えが実現するまでの過程には、

  • 住民間の意見対立
  • 意識の隔たり

といった問題も生じやすく、これがマンションの建て替えをさらに困難にする要因となります。

最悪の場合、建て替え費用の負担が過大となり、生活を圧迫する可能性もあります。

今回は、そのマンション建て替えリスクについて紹介したいと思います。

マンション建て替えとは?

分譲マンションの建て替えは、多くの区分所有者にとって人生における大きな決断の一つです。

老朽化したマンションを新しく生まれ変わらせることは、住環境の向上や資産価値の向上に繋がる一方で、様々な課題や注意点も存在します。

マンション建て替えの流れ:1.建て替え検討の開始

マンションの老朽化が進み、大規模修繕の費用がかさむようになると、区分所有者の間で建て替えの検討が始まります。

この段階では、まずマンションの現状を把握すること、建物の劣化状況、修繕履歴、住民の意識調査などを通して、建て替えの必要性や可能性を探ります。

マンション建て替えの流れ:2.建て替え計画の策定

建て替えの必要性が確認されたら、具体的な計画を立てます。

  • 建て替えの目的(住環境の向上、資産価値の向上など)
  • 建物のコンセプト(デザイン、間取り、設備など)
  • 事業スケジュール
  • 概算費用

などを検討し、区分所有者全体の合意形成を目指します。

マンション建て替えの流れ:3.区分所有法に基づく決議

建て替え計画がまとまったら、区分所有法に基づき、建て替え決議を行います。

建て替え決議には、区分所有者の4/5以上の賛成が必要です。

マンション建て替えの流れ:4.建て替え事業者の選定

建て替え決議が成立したら、実際に建て替え工事を行う事業者を公募します。

複数の事業者から提案を募り、事業計画の内容、費用、実績などを総合的に評価して、最適な事業者を選定します。

マンション建て替えの流れ:5.権利変換計画の認可

建て替え事業者は、権利変換計画を作成し、行政の認可を受ける必要があります。

権利変換計画とは、建て替え後の新しいマンションの区分所有権を、既存の区分所有者の権利に応じて割り当てる計画です。

マンション建て替えの流れ:6.工事期間中の仮住まい

建て替え工事期間中は、区分所有者は仮住まいに移る必要があります。

仮住まいの選定や費用負担については、事前に管理組合と区分所有者の間で協議し、合意を得ておくことが重要です。

マンション建て替えの流れ:7.新しいマンションへの入居

建て替え工事が完了したら、区分所有者は新しいマンションに入居します。

分譲マンションの建て替えは、時間も費用もかかる大きなプロジェクトですが、成功すれば、区分所有者にとって大きなメリットをもたらします。

マンション建て替えのリスク”4選”

このサイトでは、これまで、

  • マンションの寿命は、耐用年数とは関係なく、50年、80年、100年持っておかしくない。
  • 古いマンションを購入してリノベーションすれば安く、いい立地に住める。

など紹介しました。

もちろん、その見極めとして

  • 管理状態
  • 修繕積立金の集金状態
  • 大規模修繕工事:計画の有無

などの判断・見極めあってのものです。

ただ、建て替えという話・噂のあるマンションの場合、そのデメリット・リスクを無視できません。

マンション建て替えは、長期間にわたるプロジェクトであり、複数のリスクを伴います。

建て替えには、住民の意向調整、予算の確保、工事期間中の住民の生活の質など、さまざまな課題が存在します。

さらに、計画が進むにつれて法規制や技術的な問題も浮上する可能性があります。

マンション建て替えリスク:1.決議

都心では、老朽化したマンションの建て替えの話が一部であがっています。

都や区が介入する形で建て替えを促している場合もありますが実際にはそううまく物事が進んでいません。

マンション建て替えに関しては、
建替え決議として区分所有法の規定で区分所有者数と議決権の5分の4以上の賛成と定められているため、まず、そのハードルを越える必要があります。

しかし 、実際のところ、ゴネル住民もいますし、高齢者は次住む場所の確保の容易ではないため、簡単に賛成しません。

【2021.12.12追記】
政府は分譲マンションの建て替え条件を緩和する検討に入るという。
所有者の賛同割合の引き下げなどを柱に区分所有法の改正をめざすとして建て替えやすくして老朽化マンションの増加に歯止めをかけるのが狙い。
2022年度にも法制審議会(法相の諮問機関)に諮問ということで、建て替えに必要な賛同を現在の「5分の4」から、共用部の変更や管理組合法人の解散などを決める場合と同じ「4分の3」かそれ以下に引き下げる内容を軸とするとしているようです。
また、相続などを経て連絡がつかなくなった「所有者不明」の区分所有者は一定の条件下で意思決定から除外する案も議論するらしい。

建て替えに関して、5分の4から4分の3にすればいいという問題ではないような気もしています。
デベロッパーからすれば建て替えすることがビジネス。
そのために管理組合に手を回す業者。
倒壊の可能性があるのであれば即手を打たないといけないが、老朽化=住めないマンションでもない。
容積率の緩和とセットになるだろうし、立ち退きと資産計算、どこまで問題解決に突っ込むか注目です

マンション建て替え

マンション建て替えリスク:2.時期は未定

さらに5分の4以上の賛成で決議されたからといって、即解体・建替えという流れにはなりません。

あくまでも方向性が決まっただけであって、そこに強制力はありません。

そのため具体的な事業・建て替え計画に向けてすべての住民の同意を取らなくてはなりません。

  • 建て替えのための退去の交渉、立ち退き・買取交渉
  • 建て替え後に、新しくなったマンションに住む意思があるか?その間の保障など

住民がすべて退去に同意しない以上、建て替えは実現できませんので、
建て替えの決議が通っても、建て替え時期は未定ですし、場合によっては建て替え自体、頓挫する場合さえあります。

具体的に、

  • 建て替えの経済的リスク
  • 法的・制度的なリスク
  • 技術的リスク
  • コミュニケーションのリスク
  • 環境的リスク

などの建て替えリスクを挙げてみました。

マンション建て替えリスク:3.費用負担・経済的リスク

マンションの建て替えを検討する際、最も重要な要因の一つが経済的リスクです。

マンションの建て替えには多大な費用がかかるため、資金面でのリスクが大きいです。

管理組合が積み立てた修繕積立金では建て替えに必要な資金を賄いきれないことが多く、十分な資金調達が困難になります。

このため、多くのマンションでは、建て替えを断念せざるを得ない状況に陥っています。

計画的な資金調達と、住民の合意形成が重要な要素となります。

マンション建て替えリスク

マンション建て替えリスク:4.法的・制度的なリスク

マンションの建て替えには、経済的リスクだけでなく、法的・制度的なリスクも大きな課題となります。

特に、建築基準法や都市計画法といった法律は、建て替えの許可基準や条件を厳格に定めており、これにより許可が下りるかどうかが大きく左右されます。

また、既存不適格のマンションの場合、法的手続きがさらに複雑になり、建て替え計画が進行しにくくなります。

これらの法的・制度的な障壁を乗り越えるためには、専門家の支援を受けて慎重に進めることが必要です。

マンション建て替え 年数

マンション建て替えリスクを考えたマンション購入

古いマンションは、

  • 安く購入できる
  • リノベーション・リフォームで間取り・最新設備に変身

になるわけですから、マンション選び次第でお買い得物件はいくらでもあります。

しかしながら、建て替えの話は、必ずしもプラスになるとは限りません。

マンション購入のポイント:容積率緩和

マンション建て替えメリットの享受として、容積率は大きなポイントです。

容積率は、敷地面積に対する延べ面積の割合です。

超かみ砕いて言えば、
マンション建て替えで何階まで建てることができるのか?
これです。

国・都・区など自治体も耐震性不足など老朽化したマンションの建て替えを積極的ではなくとも無視はできないため、容積率の緩和を打ち出しています。

この容積率が、マンション建て替えの有利不利に大きく左右します。

例えば、
今のマンショが7階建て。
仮に建て替えると12階まで建てられるとなれば、5階分、高くマンションが建つということになります。

土地の広さが同じでも、
時間・時代が経過し当初低く建設されていたり、マンションの高さ制限が当時と変わっていれば、今以上に高いマンションを建設可能となります。

現状70戸のマンションが、120戸のマンションにできるとなると、50戸の利益分を建て替え資金に充てることができ、区分所有者の負担が軽減されます。

マンション建て替え 容積率

マンション購入のポイント:買取額はリノベーションを考慮しない

中古マンションを購入し、リノベーションで理想の住まいを実現することは魅力的ですが、将来的な建て替えのリスクを考慮する必要があります。

マンションの建て替えが決議された場合、区分所有者は新しいマンションに住む権利を得ます。

この際、資産価値は地域の相場をベースに算出され、リノベーション費用は基本的に考慮されません。

つまり、リノベーションにかけた費用は、建て替え時の評価額に反映されないことが一般的です。

このため、購入時にオーバーローンとなるリスクが高まり、さらに建て替え時に追加融資を銀行から受けることが難しくなる可能性があります。

特に建て替えの話が出ているマンションでは、リノベーションが大きなリスクとなり得るため、リノベーションを前提にした購入計画は慎重に検討する必要があります。

参考:マンション建替え等・改修について

マンション建て替え:まとめ

マンション建て替えの話によって、
急激にマンション価値が高まる・売却需要が高まるマンションもありますが、メリットがある反面、大きなリスクも見えてきました。

建て替えの話が出るまでは平和な暮らしが送れていたものの、建て替えの話によって住民が二分され、さらに建て替え費用の捻出が大きな足かせとなれば、マンション価値を左右しかねません。

今、住んでいるマンションが、どのような立ち位置にあるのか?

  • 古いマンションに住んでいる人
  • 古いマンションを購入した人

時間がある時に確認してみるといいですね。

また、今後の動きや展望を不動産会社に相談するのもいいでしょうね。

場合によっては早めに売却し、買い替えるという判断も必要でしょう。


 

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元メガバンク融資課出身、バブル時代に不動産コンサルティングに従事し、2000年、会社設立後、底地ビジネス・事務所の立ち退き裁判等も経験した宅建士と共に立ち上げ、現在、不動産にまつわるサービスの紹介、口コミ・筆者の感想を加え紹介しています。

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