住宅ローン完済したら
その昔、一家の主は、家を建てることが1つのステイタスでした。
何も疑うこともなく、金融機関から融資・住宅ローンを受け、
そのローンを完済、そして長男が受け継ぐ、それが一般的な家の形でした。
その流れから、
不動産の形は若干変わったとはいえ、住宅ローンを完済することを1つの美学と考えている人も少なくありません。
住宅ローンの完済は、多くの人にとって一生に一度の大きなイベントです。
長年にわたる返済の終わりは、大きな達成感をともないます。
しかし、その一方で、
完済後に必要な手続きや注意点を知らないと、思わぬトラブルに見舞われることもあります。
あわせて住宅ローンの完済は、これまでの生活設計を見直す絶好の機会でもあります。
これまでローン返済に充てていた資金を、貯蓄や投資、趣味やレジャーに使うなど、生活の質を向上させることが可能になります。
この記事では、
- 住宅ローン完済したら何をすればいいのか?
- 住宅ローン完済後の抵当権抹消手続きや注意点
- 住宅ローン完済後の生活・生活設計の見直し方
などについて詳しく解説します。
住宅ローン完済を控えている方、すでに完済したがこれから何をすべきか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
住宅ローン完済後の基本的な手続き
住宅ローン完済ということは、
それ以降、毎月の金融機関への返済が終わることを意味しています。
ただ、そのタイミングで考えることが少なからずあります。
それが、抵当権の抹消の手続きです。
抵当権の抹消
住宅ローンを組む際、金融機関は返済保証として抵当権を設定します。
ローン完済後は、この抵当権を抹消する手続きが必要です。
抵当権とは、不動産を担保に設定することで、借入金の返済を保証する権利のことを指します。
住宅ローンを借りる際には、通常、借りた金額を返済する保証として、借りた人の住宅(不動産)に対して金融機関が抵当権を設定します。
例えば、借りた人が住宅ローンの返済を怠った場合、
金融機関は抵当権を行使して、その住宅を売却(任意売却・競売等)し売却代金から未返済のローンを回収することができます。
したがって、住宅ローンが完済した後は、この抵当権を抹消(削除)する手続きが必要になります。
金融機関からの借り入れはなかったとしても、
法的にはその住宅は金融機関の担保として残っているため、新たなローンを組む際や住宅を売却する際などに問題が生じる可能性があります。
- 登記についてよく分からない方
- 仕事が忙しくて時間がとれない方
- 知り合いの司法書士がいない方
- 手続きが面倒だと思っている方
- 転居したために物件住所の管轄の法務局が遠方にある方
などの理由があっても、手続きだけでは済ませておきたいところです。
【抵当権抹消の手続き方法】
抵当権抹消の手続きは、法務局で行います。
- 抵当権抹消の申請書作成
不動産の所在地、不動産の種類、抵当権者(金融機関)の名前、抵当権の設定日などの情報を記入します。 - 印鑑証明書の取得
申請書には、抵当権者(金融機関)と抵当権設定者(借りた人)の印鑑が必要です。また、印鑑証明書も必要となります。 - 法務局への提出
上記の書類を法務局に提出します。法務局では、書類の内容を確認した後、抵当権の抹消を行います。
【抵当権抹消の費用】
抵当権抹消には、登録免許税や手数料が必要です。
登録免許税
抵当権抹消登記の登録免許税は、不動産1筆につき1,000円になります。
マンションの時は、土地が1筆、建物1筆となり計2筆:2,000円になります。
司法書士の報酬
抵当権抹消の手続きを司法書士に依頼する場合、その報酬が必要となります。
自分で手続きをおこなうことも可能ですが、手続きが複雑な場合や時間がない時は、司法書士に依頼することを検討すると良いでしょう。
*一般的には、司法書士にすべてを任せています。
相場:2万円程度
火災保険の質権抹消の手続き
住宅ローンが完済すると、それに伴う火災保険の質権抹消の手続きが必要になります。
質権とは、債権者が債務者の所有する動産(ここでは火災保険契約)を担保として設定し、債務不履行の場合にその動産を処分して債権を回収する権利のことです。
住宅ローンを組む際、金融機関は火災保険契約に質権を設定することで、万が一、住宅が火災などで損壊した場合に、保険金からローン残債を回収できるようにしています。
住宅ローンが完済したということは、金融機関に対して借金がなくなった状態です。
そのため、もはや火災保険契約に質権を設定しておく必要がなくなります。
質権抹消の手続きの流れ
金融機関からの通知
住宅ローン完済後、金融機関から保険証券と質権消滅承認請求書が送られてきます。
保険会社への連絡
送られてきた書類を持って、契約している保険会社に連絡します。
保険会社に、質権消滅の手続きを行う旨を伝え、必要な書類を提出します。
手続き完了
保険会社が手続きを行い、質権が消滅した旨の通知が届きます。
住宅ローン完済後の注意点
住宅ローンの返済が終わると、資金的にひと段落であることは間違いありません。
ただ、住宅ローン完済後にも注意する点があります。
抵当権抹消を怠るとどうなる?
抵当権抹消は、司法書士にお願いすることで非常に簡単に手続きができますが、
怠ると以下のようなシチュエーションで障害となります。
不動産の売却や融資が困難に
抵当権が設定されたままの不動産は、その不動産が金融機関の担保となっていると見なされます。
そのため、新たにローンを組む際や不動産を売却する際に、抵当権が残っていることがネックとなり、手続きが困難になる可能性があります。
相続時の問題
抵当権が設定されたままの不動産相続となると、相続登記とあわせて相続人が抵当権抹消の手続きをしなければならない負担が生じます。
紛失している場合、書類を揃えたり手間になる場合もあります。
住宅ローン完済後の税金・保険
住宅ローン完済後も、
固定資産税や都市計画税などの税金の支払いが続きます。
当たり前ですが、税金の支払いを怠ると、滞納処分の対象となる可能性があります。
また、住宅ローンと一緒に組んだ生命保険や火災保険などの保険も、ローン完済後に見直しが必要です。
住宅ローン完済とあわせて団体信用生命保険の必要は無くなりますが、
団体信用生命保険を意識して生命保険の組み換えを行っていた方などは、このタイミングで見直ししておきたいところです。
*保険の加入は、年齢や健康状態によっては入れない場合もあります。
住宅ローン完済後の資産管理
住宅ローンを完済すれば、
当たり前ですが、今まで返済していた金額のお金が、毎月手元に残ることになります。
よって、
- ローンを完済したマイホーム(資産)の活かし方
- 手元に残るキャッシュの運用・使い方
など有効活用する方法を考える必要があります。
《家計の見直し》
住宅ローン完済後は、これまでローン返済に充てていた分の家計が余裕を持つようになります。
その分を貯蓄や投資に回すなど、家計の見直しを行いましょう。
《ライフスタイルの見直し》
住宅ローン完済後は、ライフスタイルの見直しも考えられます。
例えば、これまで控えていた趣味や旅行に出費するなど、生活を充実させることが可能になります。
《老後の生活設計》
住宅ローン完済後は、老後の生活設計を見直す良い機会です。
資産の活用方法や運用方法を考えることで、より安心した老後を迎えることができます。
その他、
バリアフリー等のリフォームの検討も1つです。
自宅を担保にリフォームローンも組みやすくなります。
住宅ローンを完済するのは、50代・60代の人が大半を占めます。
完済のタイミングで一番考えるのは、老後・リタイア後のお金のことだと思います。
人生100年時代、
2000万円問題がニュースになって以降、より真剣に考える人が増えてきました。
- 家を売却しキャッシュを手にする
- リースバックで家を売却し、そのまま住み続ける
- 家を担保に融資を受けて不動産投資など新しいキャッシュポイントを作る
資産の活かし方はバリエーション豊かです。
不動産市況の良い現状、不動産を売却しキャッシュにする人も増えています。
住宅ローン完済した方の体験談
何となく時間が過ぎていくうちにあっという間に住宅ローン完済という人も少なくありません。
ただ、実際に完済してみるといろいろな喜び・今後の目標など新しく見えてくれるものもあります。
ここで、SNS:X(旧Twitter)やInstagram、Facebook(ツィッターやインスタグラム、フェイスブック)などの内容を確認し、体験談・良かったことなどをピックアップしてみました。
30年間の住宅ローンを完済
30年間の住宅ローンを完済した後、大きな喜びと達成感を感じたと言います。
毎月の返済がなくなったことで、精神的な余裕が生まれました。
しかし、それと同時に、抵当権抹消の手続きや固定資産税の支払いなど、新たな課題に直面することになりました。
それでも、これらの課題を乗り越えることで、より一層の成長を感じることができました。
家計に余裕が生まれました
住宅ローン完済後、生活の見直しを行ったと言います。
ローン返済が終わったことで、家計に余裕が生まれました。
そのため、これまで控えていた趣味や旅行に出費することができ、生活の質が向上しました。
また、これまでローン返済に充てていた資金を投資に回すことで、資産運用にも取り組むことができました。
完済後の生活設計について考える
住宅ローン完済後、新たな課題に直面したと言います。
これまでローン返済に専念していたため、完済後の生活設計について考えることが難しかったです。
しかし、これらの課題を乗り越えることで、新たな生活のスタートを切ることができました。
筆者の父親は、昭和25年生まれの団塊世代です。
中古の平屋を、昭和40年代に購入し、昭和60年代前半に家を建て替えました。
銀行からの融資は、1000万円。
当時の住宅ローン金利は、6%・7%が当たり前でした。
現状、超低金利の住宅ローンなので、総返済額を意識することなく住宅ローンを組めますが、
当時は、6%・7%。
・毎月の返済は、6万円程度
・総返済額2400万円
バブルが崩壊し、金利も3%台になったタイミングで借り換えを行えば、毎月の返済もかなり圧縮できたと思いますが、
当時は、借り換えという習慣もなく、実直に返済を続けました。
完済時は、やっと終わった感を語っていました。
ちなみに、筆者が初めて新築マンションを購入した時、
3000万円の融資に対して、毎月の返済が約8万円(ローン金利1%)だったので、
今の住宅ローン金利の低さは、不動産購入・不動産投資には大きくプラスであることは間違いないでしょう。
逆に、日銀の金融緩和から緊縮への転換、住宅ローン金利上昇となると、
変動金利の方の返済額大幅アップは、今のうちからシミュレーション・リスク管理が必要であるとも感じています。
住宅ローン完済のよくある質問:疑問・悩み・不安を解決
住宅ローン完済について疑問・悩み・不安においてよくある質問・Q&Aを公式サイトから抜粋し紹介します。
よくある質問詳細はコチラ住宅ローン完済したら:まとめ
住宅ローン完済後は、抵当権抹消の手続きや税金の支払いなど、知っておくべき事項が多くあります。
また、完済後の生活設計や資産管理についても考えることが重要です。
この記事を参考に、住宅ローン完済後の生活をより良いものにしてください。
関連公式サイト
・住宅ローン支援協会
・抹消登記サポートサービス(年金住宅福祉協会)
・住宅ローン等を完済した方へ(法務局)
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