マンション 売却 賃貸 同時
マンション投資用として所有している物件の入居者さんが退去したため、
クリーニングや修繕の見積もりを出してもらっている状況ですが、
- マンション売却
- 賃貸募集
を同時に行いませんか?
というもの。
今回は、マンション売却と賃貸募集を同時に行う時の考え方、メリット・デメリットを紹介したいと思います。
マンション売却・賃貸募集でなぜ悩むのか?
基本的に、
- 売却なら売却
- 賃貸なら賃貸
しっかりとした意思を持って判断するわけですが、都心のように不動産相場が上昇している現状を考えると、キャピタルゲインを狙うという選択肢も無視できません。
そもそも、借主が入居中の状態のオーナーチェンジ物件は売りにくい訳ですから、空室になった時がその判断に迫られるタイミングと言えるでしょう。
では、同時に売却と賃貸を行うメリットはあるのか?
深堀してみましょう。
マンション売却・賃貸募集を同時に行うメリット
賃貸募集と売却を同時に行うのは一見面倒な感じもします。
とは言え、行うのは不動産会社さんなので実際には申し込みがあるまではオーナーは何もしませんが・・・。
マンションを所有していると、いずれその運用方法について考えることが必要になります。
特に、住み替えや投資目的での購入後、その後の運用方針を決める際には、売却するか賃貸に出すかという選択が主に考えられます。
そこでメリットを挙げると
- 早めに成約する可能性がある
- 売却と賃貸のどちらが得になるか比較できる
- 強気で進めることができる
などがあります。
早く決まりやすい
不動産市場は、常に変動しています。
この市場の動向を理解するためには、専門的な知識が必要となります。
例えば、「物件供給量」や「需要動向」、「金利の変動」など、多くの要因が市場価格に影響を与えます。
これらの要因を踏まえ、売却と賃貸の両方のオプションを探求することで、より多くの潜在的な顧客層にアプローチすることが可能となります。
購入希望者と賃貸希望者、これら2つの異なるターゲットに対して物件をPRすることで、成約に至るスピードが早まる可能性があります。
どちらが得になるか比較できる
資産運用において、
最も重要なのは「収益性」です。
売却による一時的な収益と、賃貸による継続的な収益、これらの選択を比較することで、どちらが経済的に有利かを判断することができます。
例えば、売却価格として期待できる金額と、賃貸に出した場合の年間賃料を比較することで、投資回収期間やキャッシュフローを計算することができます。
このような計算を「収益性分析」と呼び、不動産投資の専門家たちが日常的に行っている分析方法です。
また、「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン・キャッシュフロー」の観点からも考えることができます。
キャピタルゲインは、物件の売却によって得られる利益を指し、キャッシュフローは、賃貸によって得られる継続的な収入を指します。
これらの要因を総合的に考慮することで、所有するマンションの最適な運用方法を見つけ出すことができます。
強気で進めることができる
賃貸であっても、売却であっても値引き交渉は当たり前にあります。
- 家賃を3000円減額できないか?
- 敷金礼金を1ヵ月にしてくれないか?
- 売買価格の値引きはきかないか?
値下げ交渉が来るわけですが、
賃貸と売却を同時におこなうことで、ある意味異質の状況が出来上がりますので、返答方法にもバリエーションが出てきます。
- 家賃交渉があったとしても、
家賃交渉は可能ですが、その場合、今、購入希望者がローン審査の段階でその方の審査を優先し、もし通らなかった時に家賃減額という形の契約でもいいですか? - 売却における値引き交渉があった場合も
賃貸の希望者が審査中なので、その方を優先させていただく形で、審査に通らなかった時に値引き交渉をさせてもらう形でいいですか?
などなど、賃貸と売却のシチュエーションの違いが条件提示に深みを持たせることが可能となります。
早く決まるという要素とダブりますが、条件の違うライバルの存在は、意思決定のスピードにも違いが出ます。
特に購入希望者は賃貸希望者の判断スピードの速さを意識するため、早く申し込まないと先を越されてしまうというイメージをつけやすいとも言えます。
マンション売却・賃貸募集を同時に行う注意点・デメリット
動産の取引において、マンションの売却と賃貸を同時に進行することは、一見すると多くのメリットがあるように思えます。
しかし、この方法にはいくつかの注意点が存在します。
- 内覧の頻度が増える
- 不動産会社とのやり取りが2倍になる
- リフォームが無駄になる可能性
- 賃料と販売価格設定
- 不動産会社のモチベーション・やる気
内覧の頻度が増える
「内覧」とは、購入希望者や賃貸希望者が物件を実際に見ることを指します。
この内覧は、不動産取引において非常に重要なプロセスであり、購入や賃貸の意思決定に大きく影響します。
しかし、売却と賃貸を同時に進行する場合、内覧の機会が増えるため、物件の所有者にとっては生活の邪魔になることがあります。
内覧時には、所有者の私物や生活の様子が第三者に晒されることとなり、これが繰り返されることでストレスを感じることが考えられます。
多くの人が物件を訪れることで、盗難や不審者の侵入のリスクが高まる可能性があります。
不動産会社とのやり取りが2倍になる
売却と賃貸の両方を進行する場合、それぞれのプロセスに関するコミュニケーションが必要となります。
不動産会社とのやり取りが増加し、所有者の手間や時間が増えることとなります。
物件の売却や賃貸に関する情報の更新、契約の手続き、内覧のスケジューリングなど、多くのタスクが発生します。
これらのタスクを効率的に進行するためには、不動産会社との連携が欠かせません。
しかし、その連携の回数や内容が増加することで、所有者の負担が増大するリスクが考えられます。
リフォームが無駄になる可能性
購入希望者と賃貸希望者の求める条件は、しばしば異なります。
例えば、購入希望者は新築同様の状態を求めることが多いのに対し、賃貸希望者はある程度の使用感が許容されることが一般的です。
このため、売却をメインに考えてリフォームを行った場合、賃貸市場でのニーズと合致しない可能性があります。
リフォームにかかった費用が、物件の価値向上に結びつかなければ意味がありません。
売却と賃貸のニーズが異なるため、不必要なリフォームをしてしまうと、このリフォームによるロスが発生するリスクが高まります。
賃料と販売価格設定
売却と賃貸は、相反するもののように思われがちですが、
両方の金額が提示されることで、利回りを見られてしまいます。
- ・賃料:10万円
・販売価格:3000万円
表面利回り:4% - ・賃料:10万円
・販売価格:3500万円
表面利回り:3.4%
高く売りたい!
という区分所有者誰の想いが、諸刃の剣となり
本来の売却であれば強気な金額を提示できても、それが逆に、利回りの悪い物件(賃料が安い)に見えてしまう場合があります。
不動産会社のモチベーション・やる気
仲介手数料を考えた時、
- 売却であれば、販売価格の3%、両手取引であれば6%
- 仲介であれば、家賃の1か月分
例えば、証経費などは抜いて単純に、
- 売却価格3000万円の物件の場合、仲介手数料は、3%の90万円(両手180万円)
- 賃料12万円の物件の場合、仲介手数料は、1か月分の12万円
賃貸仲介と売買仲介の手数料にこれだけの差が生まれます。
賃貸の場合、毎月管理費が入るとはいえ、明らかに売買の仲介に力が入ります。
モチベーションに差が出る場合があります。
不動産会社との付き合い方
手数料がこれだけ違うわけですから、不動産会社とのかかわり方を間違うと、決まるものも決まらなくなります。
売却を優先するあまり、賃貸の申し込みを意図的に止める・妨害が起きるかもしれません。
オーナーにはお問い合わせの状況が分かりませんし、その証拠を掴むこともできません。
だからと言って、複数の会社を入れることで、賃貸募集へのモチベーションが下がることは告知・広告活動が消極的になることも考えられます。
マンションの売却と賃貸の同時進行を成功させる方法
不動産の取引において、マンションの売却と賃貸を同時に進行させることは、一定のメリットを持つ一方で、その運用方法には注意が必要です。
成功させるための方法として、
- 売却と賃貸をそれぞれ別の不動産会社に依頼する
- 1つの不動産会社に両方の募集活動を依頼する
2つのアプローチが考えられます。
《売却と賃貸をそれぞれ別の不動産会社に依頼する》
この方法の最大のメリットは「専門性」の活用です。
不動産市場は非常に広大であり、売却専門の不動産会社と賃貸専門の不動産会社では、それぞれの市場に関する深い知識や経験が異なります。
- 専門的なマーケティング
売却と賃貸のターゲット層は異なるため、それぞれの専門会社が持つ「マーケティングノウハウ」を活用することで、効果的な宣伝活動が期待できます。 - 情報の正確性
それぞれの市場における物件の適正価格を正確に把握することが、成功の鍵となります。 - 迅速な対応
売却と賃貸のそれぞれのプロセスに特化した会社を選ぶことで、市場の動向に応じた迅速な対応が可能となります。
《1つの不動産会社に両方の募集活動を依頼する》
この方法の最大のメリットは「一貫性」です。
一つの不動産会社に全てを任せることで、物件の情報や取引の進行状況を一元的に管理することができます。
- 情報の一元管理
一つの会社が全ての情報を管理することで、情報のブレやミスが減少します。 - コミュニケーションの効率化
一つの会社とのやり取りとなるため、コミュニケーションの手間や時間が削減されます。 - 戦略的な取り組み
売却と賃貸の戦略を統一することで、物件の魅力を最大限に引き出すプロモーションが可能となります。
【不動産会社との媒介契約】
不動産会社との契約は、マンションの売却や賃貸を進める際の重要なステップとなります。
この契約にはいくつかの種類があり、それぞれの特徴や条件が異なります。
専属専任媒介契約では、一つの不動産会社だけが物件の取引活動を行い、他の会社や自分自身での取引は原則として禁止されます。
一方、専属媒介契約では、主に一つの不動産会社が取引活動を行いますが、物件所有者自身での取引も可能です。
さらに、一般媒介契約では、複数の不動産会社に物件の取引活動を依頼することができます。
契約期間や報酬(手数料)、契約解除時の条件など、契約の詳細には様々なポイントが含まれます。
特に、契約期間中の解除には違約金が発生することがあるため、注意が必要です。
また、物件の価値を正確に評価するための査定を、契約前に複数の不動産会社から取得し、それを基に最適な契約を選ぶことが推奨されます。
不動産取引は複雑であり、契約内容や条件をしっかりと理解し、不明点や疑問点は不動産会社に確認することが、スムーズな取引のための鍵となります。
契約の種類 |
参考ページ:媒介契約とは |
契約期間 |
契約の期間は通常、3ヶ月から6ヶ月が一般的。 |
報酬(手数料) |
|
よくある質問
早期の成約の可能性や、経済的な選択肢の比較などが挙げられます。
一方が成立した場合、もう一方の手続きは通常中止となります。
それぞれの目的に応じて、専属専任媒介契約、専属媒介契約、一般媒介契約などから選択します。
不動産会社や契約内容によりますが、通常、それぞれの市場向けに適切な広告媒体(スーモ・アットホーム・レインズ)で掲載されます。
売却と賃貸それぞれの手数料が発生しますが、一部の不動産会社では割引などの特典があることも。
通常、別の日時に調整するか、不動産会社と相談して適切に対応します。
市場の動向や物件の状態に応じて、不動産会社と相談しながら判断することが推奨されます。
内覧の頻度が増える、不動産会社とのやり取りが複雑になるなどが考えられます。
市場調査を行い、現在の不動産市場の動向や近隣の相場を参考に設定します。
関連公式サイト
不動産流通について:国土交通省
同時にマンション売却・賃貸募集:まとめ
マンションの売却と賃貸の同時進行は、物件の有効活用や経済的な利益を追求する手法であることは間違いありません。
早期の成約の可能性や経済的な選択肢の比較などのメリットがありますが、内覧の頻度の増加や不動産会社とのコミュニケーションの増加、リフォームの選択に関するリスクなどの注意点も存在します。
成功させるためには、市場の動向を把握するための市場調査や、物件の魅力を伝えるための適切なプロモーションが必要です。
また、専門的な不動産会社の選択や、リフォームの計画においても慎重な判断が求められます。
ただ、個人的に同時に行うことをお勧めしません。
理由は、意思決定が不明確だからです。
言葉の使い方として正しくはないかもしれませんが
- 賃貸は事業
- 売却は清算
- 賃貸は長期的に報酬を得るもの
- 売却は短期的に収益を確定するもの
みたいなものです。
よって、賃貸と売却で迷うようであれば、一旦売却しキャッシュにし、そこからそのキャッシュをどのような運用に向けるかゆっくり方向性を決めたほうがいいでしょう。