太陽光発電投資は儲からないは嘘？やめとけと言われるリスクと利回り

• 「太陽光発電投資はもう儲からない」
• 「やめておいた方がいい」

といった言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

確かに、以前のような高額な固定価格買取制度（FIT）の時代と比べると、利回りは下がりつつあります。

しかしそれだけで「もうダメ」と切り捨ててしまうのは早計です。

本記事では、太陽光発電投資が本当に儲からないのか、

また「やめとけ」と言われる背景にあるリスクや注意点、そして現実的に期待できる利回りの水準について解説していきます。

特にこれから投資を検討している方にとって気になるのは、

• どのくらいの収益が見込めるのか
• 初期費用や維持管理にどの程度コストがかかるのか
• リスクを抑えるために押さえておくべきポイントは何か

といった具体的な部分ではないでしょうか。

太陽光発電投資は「仕組みを理解せずに始める」と失敗につながりやすい一方で、正しい知識を持ち、リスクを把握した上で取り組めば、安定した収益を得られる投資対象であることも事実です。

実際、売電による収入は景気や為替に左右されにくく、長期的に一定のキャッシュフローを確保できる点が評価されています。

一方で、「天候による発電量の変動」や「メンテナンス費用」「制度変更」といったリスクは避けて通れません。

これらを知らずに始めてしまうと、想定していた利回りを下回り「やめとけばよかった」と後悔するケースもあるのです。

だからこそ重要なのは、メリットとデメリットを両面から冷静に比較し、自分の資金計画や投資スタイルに合っているかを見極めることです。

本記事では、太陽光発電投資のリスクと利回りの実態を整理しながら、「儲からないは本当なのか？」という疑問に一つひとつ答えていきます。

「やめとけ」という声の裏側を知り、安心して投資判断できる材料を持つこと。 

それが、迷っている方にとって最初の大切な一歩になるでしょう。

 

「太陽光発電投資は儲からない」と言われる5つの理由

太陽光発電投資は一時期「安定収益が得られるビジネスモデル」として注目を浴びました。

しかし近年は「もう儲からないのでは？」「やめておいた方がいい」といった否定的な意見も多く聞かれます。

背景には、制度の変化や発電リスク、維持管理の手間やコストなど、実際に収益に影響を与える複数の要因があります。

ここでは、投資家が不安を抱きやすい代表的な5つの理由を整理し、それぞれのリスクの正体と注意すべきポイントを解説していきます。

単なる噂ではなく、実際に数字や事例を踏まえて理解することが、投資判断を誤らないための第一歩となります。

理由1：売電価格（FIT価格）が年々下落しているから

太陽光発電の収益源である売電価格（FIT価格）は年々引き下げられています。

制度が始まった2012年度は1kWhあたり40円（税抜）でしたが、2024年度には10円（税抜）まで下落。

この下落により「かつてのように高収益を狙えない」と感じる投資家が増えました。
ただし、認定時の単価は20年間固定されるため、現在の価格でも採算が合うかどうかを事前にシミュレーションすれば、安定した収益を確保することは可能です。

また、設備費用の低下により利回りのバランスが取れてきている点も見逃せません。

理由2：天候や気候によって発電量が左右されるから

太陽光発電は自然エネルギーを利用するため、天候に大きく依存します。

長雨や台風、冬季の日照不足などが続くと、発電量は想定より下回り収益が減少する可能性があります。

例えば、梅雨の時期に日照時間が半減すると、月間の売電収入が大幅に減少することも珍しくありません。

短期的には不安定でも、年間ベースでは過去の気象データをもとに収束する傾向があり、長期的に見れば安定性は担保されやすいといえます。

しかし、融資を利用している場合は返済計画に直結するリスクとなるため、シミュレーション時には「悪天候時の下振れ」を織り込む必要があります。余裕を持った資金計画が重要です。

理由3：設備の維持・管理に定期的なコストがかかるから

「一度設置すれば放置できる」というイメージは誤解です。

実際には、メンテナンスや交換費用が定期的に発生します。

代表的な維持コスト例は以下の通りです。

特にパワーコンディショナは消耗品で、寿命を迎えると交換が必要になります。

こうした費用を事業計画に含めないと、表面利回りは高く見えても、実質利回りが大幅に低下するリスクがあります。

投資判断の際には「シミュレーションに維持費を盛り込む」ことが不可欠です。

理由4：台風や地震など自然災害による故障リスクがあるから

日本は自然災害の多い国です。台風による強風でパネルが飛散したり、豪雨でパワーコンディショナが浸水する被害は、すでに各地で報告されています。

設備の故障は修理費用の発生だけでなく、修理期間中の売電収入の停止という二重の損失を招きます。

これをカバーするためには、火災保険や動産総合保険などへの加入が必要ですが、保険料はランニングコストとして加算されます。

また、立地によって災害リスクは大きく異なります。

ハザードマップを確認し、浸水リスクや地震断層帯を避けた土地選定を行うことが、長期安定運用につながります。

理由5：窃盗事件多発、被害リスク

太陽光発電所では、パネルやケーブルの盗難被害が相次いで報告されています。

特に郊外や人目につきにくい場所に設置された発電所は狙われやすく、銅線ケーブルやパネルを盗まれることで発電が停止し、売電収入が大幅に減少するリスクがあります。

さらに、盗難による設備修理や交換費用も投資家が負担しなければならず、収益性に大きな打撃を与えるのです。

また、盗難は自然災害と異なり「いつ起こるか予測が難しい」という厄介な特徴があります。

監視カメラやセンサー、防犯フェンスの設置など、防犯対策の初期投資とランニングコストを事業計画に織り込むことが重要です。

さらに、火災保険や動産総合保険に加えて、盗難補償が含まれるかを必ず確認しておく必要があります。

つまり、太陽光発電投資においては「発電量」や「売電単価」だけでなく、人的リスクに対する備えが不可欠なのです。

被害が一度でも発生すると、その影響は数ヶ月以上の収入減に直結するため、投資前からの対策が成功の分かれ目となります。

それでも太陽光発電投資が選ばれる5つのメリット

「太陽光発電投資は儲からない」と耳にする一方で、依然として多くの投資家が関心を寄せ続けています。

なぜなら、他の投資にはない制度的な強みや安定した収益性が存在するからです。

リスクを理由に「やめとけ」と一蹴するのではなく、メリットを理解したうえで冷静に判断することが大切です。

太陽光発電投資の魅力は、国の制度による収益保証や高利回り、予測可能性の高さ、節税効果、さらには金融機関の融資が受けやすい点にあります。

メリット：1.FIT制度により20年間は安定した価格で売電できる

太陽光発電投資の最大の強みは、FIT（固定価格買取制度）により、国が定めた価格で電力を20年間買い取ってもらえることです。

株や為替のように市場価格の変動に左右されず、事業計画を立てやすいのが特徴です。

• 20年間の売電単価は固定
• 長期的に安定した収益を確保可能
• 融資審査での信頼性も高い

この制度により、投資家は長期的に収益を見通せるため、金融機関からの融資を受けやすくなります。

ただし、FIT期間終了後の出口戦略（自家消費や新制度での売電など）をあらかじめ検討しておくことが重要です。

メリット：2.不動産投資などと比較して高い表面利回りが期待できる

太陽光発電投資の表面利回りは8〜10％程度とされ、都市部の区分マンション投資（3〜5％）よりも高い水準です。

また、不動産投資に付き物の空室リスクや入居者トラブルも存在せず、管理コストや精神的負担が少ないのも魅力です。

もちろん、メンテナンス費用や保険料を加味した「実質利回り」で判断する必要はありますが、投資対象としての収益性は十分に光ります。

メリット：3.過去の日照データに基づき収益予測を立てやすい

太陽光発電の発電量は、過去の気象データをもとに精度高く予測可能です。

NEDO（新エネルギー・産業技術総合開発機構）が数十年分の全国の日照データを公開しており、これを基にしたシミュレーションで収益計画を立てられます。

• 日単位では天候に左右される
• 年単位では平準化される傾向が強い
• 長期収益の見通しが立てやすい

つまり「毎日の天気の変動はあっても、長期的には安定的」という特徴があり、事業の予測精度が高まります。

他の投資では得られにくい安心材料といえるでしょう。

メリット：4.減価償却による節税効果が見込める

太陽光発電設備は会計上「固定資産」として扱われ、17年間の法定耐用年数で減価償却できます。

これにより、設備取得費用を分割して経費計上でき、課税所得を圧縮することで所得税・住民税の負担を軽減可能です。

特に、他の事業や給与収入が多い人にとっては、キャッシュフロー改善につながる有効な手段です。

• 減価償却により毎年経費計上可能
• 高所得者は節税効果を享受しやすい
• 法人の場合は資金繰り改善にも寄与

ただし、損益通算の可否や税務上の扱いは条件があるため、専門家への相談が推奨されます。

メリット：5.金融機関からの融資を活用して始められる

太陽光発電投資は、FIT制度の安定性から金融機関に評価されやすい投資対象です。

日本政策金融公庫や信販会社、地方銀行などがソーラーローンを提供しており、自己資金が少なくても始めやすいのが特徴です。

• 自己資金が限られていても投資可能
• レバレッジを効かせて利回りを最大化できる
• 専用の融資商品が充実

ただし、融資を利用する場合は金利が事業コストに直結するため、複数の金融機関を比較し、無理のない返済計画を立てることが不可欠です。

太陽光発電投資で失敗しないための重要なポイント

太陽光発電投資は、一見すると「安定収益が期待できる投資」として魅力的に映ります。

しかし、実際には立地や設備、運用計画、パートナー選びによって収益性が大きく左右されます。

表面利回りの数字だけを鵜呑みにするのは危険であり、長期的に成功を収めるには、多角的な視点から事業計画を練り上げることが欠かせません。

投資前に押さえるべきチェックポイントは、大きく5つに整理できます。

立地条件の見極め、コストを反映したシミュレーション、信頼できる販売・施工会社の選定、中古物件の活用、そして出口戦略の準備です。

これらを一つずつ丁寧に確認することで、リスクをコントロールし、安定的な利益を実現できる可能性が高まります。

1.日照条件が良く災害リスクの低い物件を選ぶ

太陽光発電の投資成果を大きく左右するのは、立地条件です。

いくら高性能の設備を導入しても、日照条件が悪ければ想定した収益は得られません。

年間を通じて日照時間が長い地域、南向きの土地、そして周囲に山・建物・電柱などの影がないことが理想です。

さらに、日本は自然災害が多い国です。

台風による強風、河川氾濫、土砂崩れなどは発電設備に大きなダメージを与えるリスクがあります。

投資を検討する際には、必ずハザードマップを確認し、災害リスクの低いエリアを選ぶことが欠かせません。

例えば北海道のように積雪が多い地域では、パネル角度を急にする、架台を高く設置するなどの対策が必要となり、追加コストにつながります。

日照と災害リスクの両面から土地を評価することが、投資成功の第一歩です。

2.費用や利回りを厳密にシミュレーションする

販売会社が提示する利回りは、理想条件を前提にした「表面利回り」である場合がほとんどです。

これを鵜呑みにすると、実際の収益が大きく乖離するリスクがあります。成功するためには、実質利回りをシミュレーションすることが必須です。

考慮すべきコストは以下の通りです

また、発電量シミュレーションではメーカー公称値だけでなく、劣化・変換効率の低下を加味した保守的な数値で試算すべきです。

複数のシナリオを用意し、楽観・中間・悲観のパターンで比較することが現実的な収益予測につながります。

3.実績が豊富で信頼できる販売・施工会社を見つける

太陽光発電は20年以上にわたって運用する投資です。

そのため、長期的に付き合える信頼できる販売・施工会社の選定が成功を大きく左右します。

確認すべきポイントは以下の通りです

• 販売・施工実績が豊富であるか
• 長期保証やアフターメンテナンス体制が整っているか
• 倒産リスクが低く、経営基盤が安定しているか
• 担当者が知識豊富で誠実に対応しているか

価格だけで選ぶのは危険です。

安さを優先した結果、施工品質が低い、保証が受けられない、会社が倒産して連絡が取れないといったトラブルが後を絶ちません。

複数社から相見積もりを取り、価格・保証・対応のバランスを比較して判断することが賢明です。

4.初期費用を抑えたいなら中古物件も選択肢に入れる

新規案件だけでなく、中古の太陽光発電所を購入する方法も有効です。

中古物件のメリットは、初期費用が抑えられることと、実際の発電実績データがあるため収益予測がしやすい点にあります。

例えば、過去3年間の発電量や売電収入のデータがあれば、将来の収益をかなり精度高く見積もれます。

これにより「想定通り発電しなかった」というリスクを回避できます。

ただし注意点もあります。

設備の劣化状況、保証の継承可否、過去のトラブル履歴などを必ず確認しなければなりません。

特に、パワコンの寿命が近い場合には交換費用が早期に発生する可能性があります。

中古投資はコストを抑える手段である一方、専門家による設備診断が必須です。

5.FIT期間終了後の出口戦略を事前に計画しておく

FIT制度で20年間は安定した収益が見込めますが、終了後の出口戦略がなければ投資は失敗に終わる可能性があります。

FIT終了後は売電価格が市場連動となり、大幅な下落が予想されるからです。

出口戦略の例

• 高値で買い取る新電力会社に切り替える
• 自家消費に回して電気代を削減する
• 蓄電池を導入し、ピークシフトや売電単価アップを狙う

20年後を見据えて計画を立てることは難しいように感じますが、投資開始時点で選択肢を把握しておくことが成功への布石です。

出口戦略を持たない投資は、将来必ず行き詰まります。

FITからFIPへの移行

FIT期間終了後の新たな選択肢として、2022年4月に導入されたFIP（Feed-in Premium）制度への移行が注目されています。

FIT制度が「固定価格」で電力を買い取るのに対し、FIP制度は市場価格に「プレミアム（上乗せ価格）」を加えて買い取る仕組みです。

これにより、発電事業者は市場価格に応じて売電収入を増やすことができ、売電単価が下落したFIT終了後でも、収益性を維持・向上させる可能性があります。

ただし、FIP制度は市場価格に連動するため、価格変動リスクを伴います。

市場価格が高い時間帯に売電したり、蓄電池を導入して売電タイミングを調整したりするなど、運用に工夫が求められます。

太陽光発電投資に必要な費用の内訳を解説

太陽光発電投資を始める際に見落とされがちなのが、費用の正確な把握です。

販売会社が提示する利回りは「表面上の数字」であることが多く、実際には初期費用だけでなく、運用中に継続的に発生する維持費用を考慮しなければなりません。

例えば、パネルやパワーコンディショナといった設備導入費用に加え、固定資産税や保険料、定期メンテナンス費用が収益に影響を与えます。これらを正しく把握しないまま投資を始めると、想定外の支出により収益性が低下し、最悪の場合は赤字に陥る可能性もあります。

健全な事業計画を立てるためには、費用の全体像を整理し、長期シミュレーションに組み込むことが不可欠です。

1.設備導入費（初期費用）

太陽光パネルやパワーコンディショナ、架台、配線などの機器購入費用が中心です。

発電所の規模によって数百万円〜数千万円かかることが一般的です。

特に産業用の場合、土地代や造成費、設計費も加わり、投資全体の大部分を占めます。

初期費用は融資を活用して分割返済するケースが多いため、利息分も含めて総コストを計算しておく必要があります。

2.保険料（維持費用）

太陽光発電設備は落雷・台風・火災などのリスクにさらされるため、動産総合保険や自然災害補償に加入するのが一般的です。

年間で数万円〜数十万円が相場で、発電所の規模や立地条件により変動します。

災害リスクが高い地域では必須の費用であり、未加入だと設備故障で一気に赤字化する危険性があります。

3.メンテナンス費用（維持費用）

定期点検、清掃、雑草対策など、長期にわたり安定稼働させるための費用です。

特に雑草や汚れは発電効率に直結するため、年間で数万円〜十数万円の支出を見込む必要があります。

4.税金・その他費用（維持費用）

発電設備は「固定資産」として扱われるため、固定資産税が課されます。

加えて、法人で運営する場合は法人税、個人であれば所得税への影響も考慮しなければなりません。

さらに、土地を借りて設置する場合は地代がかかり、自治体によっては申請や許可に伴う手数料が必要です。

こうした「見落とされがちな費用」まで含めて試算することが、正確な利回り計算につながります。

📊 費用イメージ表（例：50kW規模の産業用発電所）

太陽光発電投資は儲からない？：記事まとめ

「太陽光発電投資は儲からない」という声を耳にすることは少なくありません。

確かに、売電価格の下落や自然災害のリスク、FIT制度終了後の不確実性などを考慮すると、デメリットが目立ちやすい投資対象です。

しかし一方で、20年間の固定価格買取制度による安定収入や高い利回り、日照データに基づいた収益予測のしやすさといったメリットも数多く存在します。

つまり「儲からない」と断じるのではなく、リスクを理解した上で適切な対策を講じることこそが重要なのです。

立地選定、厳密な収支シミュレーション、信頼できる業者の選択、そして出口戦略の設計までを含めて総合的に取り組むことで、太陽光発電投資は長期的に安定した資産形成の有力な手段となり得ます。

3. 成功のために必要なポイント

メリットを最大化し、デメリットを回避するためには、計画段階での徹底的な準備が欠かせません。

立地選定では日照条件と災害リスクを両面から評価する必要があります。

また、販売会社が提示する「表面利回り」を鵜呑みにせず、保険料・メンテナンス費用・税金・パワーコンディショナ交換費などを加味した実質利回りシミュレーションを行うことが重要です。

さらに、施工実績や保証体制が整った信頼できる業者を選び、20年後のFIT終了を見据えた出口戦略（自家消費・蓄電池導入・新電力切り替えなど）をあらかじめ準備しておくことで、長期的な安定収益を実現できます。