家づくりが失敗する最大の原因は、家の性能や間取りではなく「予算の決め方」です。
多くの家庭は、「今払える金額」を基準に住宅ローンを組みますが、実際に家計が折れるのは 10年後・20年後の“未来の支出”が同時に襲ってくる瞬間です。
家は“買える額”ではなく
未来まで折れずに支払い続けられる額で決めなければいけません。
これを理解していないまま進むと、立地も仕様も関係なく、家計が追いつめられ、暮らしが縛られる家になります。
なぜ家づくりは“予算の決め方”から失敗するのか
多くの家庭が誤解している「家計が苦しくなる理由」
住宅ローンが苦しい理由として、多くの人はこう考えます。
しかし家計の崩壊は、決して“ローン単体の重さ”だけが原因ではありません。
現実に家計が折れる瞬間は、以下の未来支出が 一気に重なる時です。

- 子どもの教育費がピーク(年間120〜180万円)
- 車の買い替えが2台同時にくる(1台200〜300万円)
- 親の介護負担(毎月5〜15万円)
- 住宅の修繕が一気に発生(30〜120万円)
つまり 「いま払える額」でローンを決めること自体が誤りなのです。
家計が破綻するのは“住宅ローンそのもの”ではない
家計が崩壊するとき、実際にはこう起きます👇
月々の返済額は変わらないのに、
家以外の支出が膨らんで“余剰額が消える”ことで破綻する
余剰額とは、家計の“命綱”です。
旅行・教育の選択肢・転職の余裕・NISAなどの資産形成――
これらは“余剰額があるから”選べます。
余剰額が無くなると
家は“住まい”ではなく
人生を縛る固定費の鎖となります。
未来支出を計算に含めないまま住宅を買う危険性
予算設計の失敗は、実はスタート時点で決まっています。
住宅購入者のほとんどは
・教育
・車
・修繕
・介護
これら 必ず来る支出を“存在していないもの扱い”で予算を決めます。
結果──
▶ 「買った年は余裕」
▶ しかし 7年後・12年後・18年後に“支払いが折れる”
家の失敗は、買った瞬間に決まるのではなく
未来へ含めなかった数字によって決まるのです。
住宅購入で最も危険な“間違った予算の決め方”
「年収の5倍まで買える」は誰の基準なのか
住宅営業・雑誌・SNSでよく見る目安。
「年収の5倍までは買える」
「年収500万なら2,500万の家が妥当」
これは あなたの人生とは関係のない“外部の販売側の目安”です。
この基準で家を買った結果、一度も家計の数字を作らずに進んだ家庭ほど、数年後に後悔しています。
銀行が貸せる金額=返せる金額ではない理由
銀行は “貸せるか”で審査します。
未来の教育費や修繕コスト、家族の変化を考慮しません。
銀行基準 = あなたの人生基準 ではない
にも関わらず、多くの人が
「銀行が貸してくれる額が自分の予算」と考え
未来の破綻フラグを立てながらローン契約をします。
住宅営業・雑誌・SNSの“危険な目安”に惑わされるな
住宅関連の発信は、以下の構造で動いています👇
- 住宅営業:売ることが目的
- 雑誌:住宅市場を盛り上げる構造
- SNS:バズる話が“成功例の極端値”に偏る
これらの発信には 「あなたの家計」への責任はありません。
だからこそ
予算は“誰かの目安”ではなく
あなた自身の数字で決める必要があるのです。
家づくりの予算は“この式”で決まる(保存版)
結論:返済可能額(月)=〔手取り − 固定費 − 未来積立〕×(33% or 40%)
最も損しない予算決定の唯一の方法は、次の式に従うことです👇
返済可能額(月) =〔手取り月収 − 固定費 − 必須の未来積立〕×(33% or 40%)
- 33%=保守ライン(絶対に家計を壊さない)
- 40%=行動ライン(現実的に成立しやすい)
「いま払える額」ではなく
未来の生活が折れない額で決める。
家計は“余白”で守られます。
保守ライン33%・行動ライン40%の違い
| 基準 | 何が変わるか | 特徴 |
|---|---|---|
| 33%(保守) | 家計の余剰が最大化 | 転職・独立・教育の自由度が高い/後悔が少ない |
| 40%(行動) | 家を選べる範囲は広くなる | 調整力が必要/未来リスクに弱い |
迷ったら33%
これが“将来の自分を守る選択”です。
未来積立に含めるべき4つの項目(教育・車・修繕・介護)
未来積立として必ず考慮すべき支出はこの4つ👇

| 項目 | 月換算の目安 |
|---|---|
| 教育費(高校〜大学) | 月25,000〜30,000円/子1人 |
| 車買い替え(7〜10年) | 月20,000〜30,000円 |
| 修繕費(10〜15年) | 月10,000〜25,000円 |
| 介護(不確定) | 月5,000円(最低ライン) |
これらの数字を事前に引いた上で残った額が、
“本当に返せる住宅ローン”です。
年収別|購入して良い住宅ローン限界値(安全ライン)
家づくりは「年収が高いほど買える」わけでも、「年収が低いと無理」でもありません。
正しくは──
年収ではなく
“手取り × 固定費 × 未来支出 × 余剰額”のバランスで決まる
ただし、傾向値として 年収帯ごとの“破綻ポイント”と“成功しやすい戦略” があります。
年収400万円台:安全レンジと“破綻しやすい選択”
結論:最も破綻しやすい層です。
理由は、未来支出が重なると余剰額が消えやすい構造にあるため。
買って良い安全ライン(目安)
- 返済額:月4.5万〜5.8万円以内
- 借入額:2,000万〜2,500万円台が“現実的な安全域”
破綻しやすい選択
- 土地+注文住宅(新築)
- “見栄”で延床面積を大きくする
- 車2台前提の立地で家づくり
👉 成功するための戦略
→ 中古+小規模リノベ
→ 立地は“駅近”でなく“売却しやすい間取り”重視

年収600万円台:買って良い価格帯と現実的な戦略
600万円帯は、最も“迷う層”です。立地・性能・間取りの全てを追うと破綻しやすい。
安全ライン
- 返済額:月7.4万〜9.0万円以内
- 借入額:2,700万〜3,100万円前後が現実ライン
成功しやすい戦略
- 建売 or 中古 × 部分リノベ
- 優先順位は「延床面積を削る」→「設備グレードを後回し」
👉 ここで重要なのは
“欲しい家”ではなく “未来まで払える家”を選ぶこと

年収800万円台:注文住宅は可能だが注意点あり
800万円帯になると、建物選択の幅は一気に広がります。
可能になる選択
- 注文住宅
- 性能投資(断熱・窓性能)
ただし失敗の落とし穴
- 外壁・床材・設備に予算を使い“性能投資”が後回し
- 余剰額を削って“見栄の家”を買ってしまう
👉 成功の分岐点
断熱性能(G2〜G3)+窓性能に最初の優先順位を置けるかどうか

年収1,000万円以上:自由度が高い層が陥る“落とし穴”
年収1,000万円以上は「買える家の幅が広い」からこそ危険です。
代表的な失敗
- “出口(売却)”を考えず豪華仕様に寄せる
- 自己満足で資産性の低い家を選ぶ
守るべき軸
見栄ではなく
流動性(売れる家)と価値が残る住宅 を選ぶこと
👉 1,000万帯で最も賢い行動
= 余剰額を投資に回す“二階建ての家計構造” をつくる

銀行融資額と“現実的に払える額”は1,000万以上ズレる
例:年収600万円のケース

- 銀行基準 → 3,000〜4,000万円「貸すことは可能」
- 現実安全ライン → 2,200〜2,600万円
- 行動ライン → 2,700〜3,150万円
👉 同じ人でも、基準を変えるだけで1,000万以上ズレる
だからこそ、銀行の審査額ではなく
“自分の家計の数字”こそ予算の正解です。
あなた専用の“家づくり予算”を3分で算出する方法
コピペして使える家計テンプレ
以下をそのままメモアプリに貼り付けてください👇
手取り月収:__万円
固定費(家賃除く):__万円
必須の未来積立(教育/車/修繕/介護):__万円
可処分残額=手取り − 固定費 − 積立
返済可能額(月)=可処分残額 ×(0.33 or 0.40)
余剰額(月)=可処分残額 − 返済可能額
借入目安=返済可能額 × 300〜350 ※35年ローン係数
固定費は必ず“自宅の実額”へ置き換えて再計算する理由
よくある失敗は👇
モデルケースの数字を“自分の家計”だと思い込むこと
固定費は家庭により大きく変動します(例)
- 食費:3万〜8万円
- 塾費:0〜4万円
- 医療費:0〜1万円
- 実家支援:発生する家庭もある
👉 だから必ず
「自宅の実額」で計算し直すことが最優先です。
余剰額=命綱|家が人生を縛るか自由にするかの分岐点
余剰額とは
「好きに使えるお金」ではありません。
急な出費の回避・働き方の自由・教育や体験の選択肢を守る“命綱”
余剰額が十分ある家
→ 家が“人生の器”になる
余剰額がゼロに近い家
→ 家が“人生の手錠”になる
住宅ローン“危険ライン”を判定するチェックリスト
YESが3つで黄色信号/5つで設計のやり直し
☐ ボーナス返済を前提に計画している
☐ 頭金で貯金がほぼゼロになる
☐ 教育費・修繕・車を同時に考慮していない
☐ 団信・保険を“なんとなく”で決める
☐ 固定費の最適化をせず物件選びを始めた
☐ 「年収いくらなら買える?」で考えている
- YES=3つ → 警戒ゾーン
- YES=5つ → 予算設計からやり直すレベル
最も危険なのは「頭金=貯金ゼロ化」になるケース
頭金を入れること自体は悪くありません。
ただし 防衛資金(生活防衛費)まで消える構造は危険です。
頭金を入れる=貯金が消える
→ “家のための選択”しかできない人生になる
ボーナス返済のリスクを軽視する家庭の末路
ボーナス返済前提の家づくりは「未来の自分に借金する行為」です。
- ボーナスは“必ず出る”保証がない
- 景気・会社の状況・転職で消える可能性がある
- 出費が重なる時期(教育・修繕)とボーナスがずれるリスク
👉 結果
“払えるはずだった家”から “払わされる家”へ変わる
予算が足りないときの“現実的な打ち手”
家づくりは「予算が足りない=諦める」ではありません。
順番と考え方を変えるだけで、家づくりの成功率は大きく変わります。
土地価格より“流動性”を優先する理由
多くの人は “立地=駅近”と考えます。
しかし、家の資産としての本質は 住んだ後に売れるか=流動性 にあります。
- 駅徒歩12分でも売れる街
- 駅徒歩5分でも売れない街
- 土地が広くても売れないエリア
👉 “理想の生活”より前に
「いつでも売れる」立地を選ぶ=家計の保険です。
性能投資の優先順位(断熱>窓>外壁>内装)
家の後悔は、意外にも“内装ではなく温熱環境”から生まれます。
優先すべき投資順序は明確です👇
1️⃣ 断熱性能(UA値・断熱等級)
2️⃣ 窓性能(樹脂窓・トリプルガラス)
3️⃣ 外壁材(耐久性)
4️⃣ 内装グレード(床材・壁紙・設備)
理由
毎日触れる快適性 × 光熱費 × 老後の暮らしに影響するのは
“室温”と“耐久性”だからです。
家を削る前に“暮らし”を見直す
予算調整は、家から削らない方が成功します。
例)
- 車2台 → 1台
- 収納は外部トランク活用
- SNSに出てくる“理想の間取り”を捨てる
👉 家を削る前に
「暮らしの固定費」を見直す方が効果が大きい
中古×部分リノベ/賃貸併用という逃し技
もう1段、手の打ち方があります👇
- 中古+部分リノベ:無駄なく“必要な場所だけ変える”
- 賃貸併用住宅:家賃収入で返済圧を下げる
- 戸建て賃貸化できる家:出口の幅を確保
👉 家は 買う形だけではなく“構造の作り方”で成功率が変わる
出口戦略まで含めた“実質コスト”で家を評価する
20年後にいくら残る?|売却後の“手取り額”が真の評価軸
家の本当の評価は
「いくら払ったか」ではなく「最終的にいくら残るか」 です。
例)
4,000万円で家を購入
→ 20年後に2,200万円で売却
→ ローン残債1,500万円
→ 手元に残る=700万円
👉 つまり
予算とは “未来まで持続し、売ったあとに残る金額” のこと。
出口を考えない家づくりは“資産”ではなく“負債”になる
出口(売却)を考えず
- 豪華設備
- 特殊間取り
- 売却性の低い郊外立地
で買った家は、
資産ではなく「固定費という負債」に変わる可能性があります。
売却できる家・できない家の条件
売却できる家には条件があります👇
| 売れる家 | 売れない家 |
|---|---|
| 流動性の高い立地 | 郊外・車必須の立地 |
| 汎用性の高い間取り | こだわり間取り・特殊寸法 |
| 耐久性の高い仕様 | 修繕費が重い構造 |
| 質の高い断熱・窓性能 | “快適性の低い家” |
出口は“購入前に決まる”
👉 最初の選択が未来の資産価値を決める
まとめ|不安は“情報不足”ではなく“数字不足”から生まれる
まずは1つだけ|テンプレに自分の数字を入れる
不安は「情報が足りない」からではありません。
“自分の数字を知らない状態”が不安を生みます。
👉 次にやるべきことは1つ
テンプレに数字を入れて、許容返済額を算出すること
壁打ちをすることで家は“希望”のまま実現できる
家は1人で考えるほど
希望 → 不安 → 停滞
という道筋をたどります。
第三者と壁打ちをするだけで
“希望の家”を“現実の家”へ変換できます。
1人で悩まず“プロと数字の壁打ち”をすることで未来は変わる
マイホームは「家選びの失敗」よりも、「予算設計の独り歩き」で失敗する家庭がほとんどです。
家計の未来リスク(教育費・車・修繕・介護)が明確になるほど、多くの人は胸の中に“2つの気持ち”が同時に生まれます。
- 家は欲しい。理想の暮らしを手に入れたい。
- でも未来が怖くて決断できない。
これは弱さではなく、正しいスタート地点に立てた証拠です。
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不動産の口コミ評判堂 編集部は、元メガバンク融資課出身で、バブル期から不動産金融の現場に携わり、底地ビジネスや立ち退き裁判なども経験した宅地建物取引士の知見をもとに構想・設計を行い、立ち上げ、日々、不動産情報を紹介しています。