入居者がいると「利回り」で見られ、価格交渉で不利になりやすい。
だからといって、立ち退き交渉=簡単にできるわけではありません。
- 「入居者がいるせいで、希望価格で売れない…」
- 「オーナーチェンジで出しても、利回り計算で値下げ交渉が前提になりがち…」
- 「いっそ退去してもらえたら高く売れる?でも立ち退き料が怖い」
- 「そもそも売却を理由に退去を求められるの?」
再開発や地価上昇が進む局面では、「今なら高く売れるかも」と考えるオーナーは増えます。
ただし、賃貸中の売却は“空室売却”と比べて難易度が上がるのが現実です。なぜなら買主は、家賃・利回り・管理状況・修繕負担・滞納リスクなど、投資指標で物件を評価するからです。
1. 立ち退き料の相場は?目安は「家賃の6〜12ヶ月分」+実費が多い
立ち退き料は「決まった定価」があるわけではなく、事情の積み上げで金額が変わります。
ただ実務上の目安として、居住用賃貸では家賃の6〜12ヶ月分が一つの相場感として語られることが多いです。
- 引越し費用(運搬・梱包など実費)
- 新居の初期費用(敷金・礼金・仲介手数料・火災保険など)
- 家賃差額補償(今より家賃が上がる場合の差額)
- 迷惑料・慰謝料的要素(生活への影響、手間)
- 事業用の場合:営業補償・休業損失・移転先工事費など(跳ね上がりやすい)
例:月10万円の住居なら
家賃6〜12ヶ月分の目安だと、60万〜120万円がひとつのレンジ。
ここに「引越し実費」「新居の初期費用」「家賃差額」などが乗るため、条件次第ではさらに増えます。
また、裁判例や交渉実務の紹介では、居住用のケースで100万〜200万円程度が目安として提示されることもあります(物件・地域・事情で大きく上下)。
2. 「売却したい」だけで立ち退き要求はできる?ポイントは正当事由
賃貸中の借主は、借地借家法の考え方で居住権が強く保護されています。
そのため、貸主都合で退去を求める場合は、一般に正当事由が問題になります。
「高く売りたい」「空室にして売りたい」だけでは正当事由が弱いと判断されやすいです。
その結果、交渉が長期化したり、立退料の上乗せが必要になったり、そもそも合意に至らないこともあります。
一方で、正当事由が認められやすい事情としては、一般に自己使用の必要性、老朽化・危険性、建替え等の必要性、借主側の契約違反(滞納など)といった方向が挙げられます。
3. 立ち退き交渉のプロセス|通知→交渉→合意書→実行
立ち退き交渉は「お願いして終わり」ではなく、段取りがとても重要です。
とくに普通借家で更新拒絶や終了を狙う場合、通知のタイミングなど実務上の論点が出ます。
Step1:通知(まずは“戦略設計”が先)
いきなり金額提示よりも、先に契約形態(普通借家/定期借家)、更新時期、特約、入居年数、家賃水準を整理します。
通知は口頭よりも、後々のために書面(内容証明等)を検討するのが一般的です。
Step2:交渉(相場提示+“借主の不安を潰す”)
- 立退料の提示(根拠:引越し実費・初期費用・家賃差額など)
- 退去時期の調整(繁忙期を避ける配慮は効きます)
- 必要なら移転先探しの協力(紹介・情報提供)
Step3:合意(立退き合意書は“必須級”)
合意できたら、口約束で終わらせず立退き合意書を作ります。
「退去日」「立退料の金額」「支払日」「原状回復の扱い」「鍵の引渡し」などを明確にします。
Step4:実行(支払いと明渡しの段取り)
立退料は、一般に明渡しと同時または明渡し直前の支払い設計が多いです。
支払いの遅れはトラブルの火種になるため、手続きは慎重に。
4. 立ち退きを成功させるコツ|揉める人がやりがちなNG行動
5. そもそも立ち退きが難しいなら?「オーナーチェンジ売却」という現実解
結論、できます。一般にオーナーチェンジ物件として売却します。
買主は家賃収入を前提に、表面利回り・実質利回り・修繕計画・管理状態を見て判断します。
買主が投資家の場合、価格は「収益還元」で見られやすく、
価格を上げるほど利回りが下がり、交渉材料になりやすい点がネックです。
だからこそ「空室にして高く売る」という発想が出ますが、前述のとおり、立ち退きは簡単ではありません。
そこで現実的には、次のように“分岐”で考えるのが安全です。
【A】正当事由が強い+予算(立退料)も確保できる → 立ち退き交渉を検討
【B】正当事由が弱い/揉めそう/時間がない → オーナーチェンジで売却
【C】売却を急がない → 家賃・管理・修繕の改善で“投資価値”を上げてから売る
6. 立ち退きに踏み切る前にやるべき「チェックリスト」
- 契約が普通借家か定期借家か(出口が変わる)
- 更新時期(通知・交渉の計画に直結)
- 家賃が相場より安いか(家賃差額補償の論点)
- 入居年数・家族構成(交渉難易度に影響)
- 立退料の予算(払って終わりではなく、売却戦略とセット)
- 代替案(オーナーチェンジ/買取/売却時期の調整)
7. 記事まとめ|「立ち退き=万能」ではない。だからこそ“売却戦略”で勝つ
立ち退きが成功すれば、原状回復・クリーニング・必要ならリフォームで空室売却が狙いやすくなります。
一方で、売却理由だけでは正当事由が弱くなりやすいため、立退料を積んでも合意できないケースは現実にあります。
だから結論としては、最初から「立ち退き一択」にせず、
①立ち退き交渉をする/②オーナーチェンジで売る/③投資価値を上げてから売るの3ルートを並行で検討するのが、オーナーとして一番損をしにくい動き方です。
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「立ち退きに踏み切るべきか?」の判断材料にもなるので、まず相場確認から進めるのも有効です。

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よくある質問(FAQ)
A. いいえ。立ち退きは借主の合意が基本で、立退料は“合意形成の材料”です。通知義務と立退料の問題は別で、6ヶ月前に通知したから立退料不要、という単純な話でもありません。
A. 一般に「売却したい」だけでは正当事由として弱くなりやすいです。
自己使用・老朽化・建替えなど、事情の組み立てが重要になります。
A. 期間の定めがある賃貸借契約では、原則として満了の1年前〜6ヶ月前の間に通知が必要とされる整理が一般的です。

不動産の口コミ評判堂は、有限会社新未来設計が運営し、元メガバンク融資課出身でバブル期から不動産金融に携わり、底地ビジネスや立ち退き裁判も経験した宅地建物取引士の知見をもとに構想・設計され、日々、不動産情報を発信しています。