相続時の不動産査定
大切な家族を亡くした悲しみの中、直面するのが遺産分割協議という大きな課題でしょう。
遺産分割協議とは、被相続人の残した財産を、相続人たちが話し合いによって分配していく手続きのことです。
その協議において、特に多くの問題を引き起こすのが、不動産の取り扱いです。
不動産は、価値が高く、分割が難しい財産であるため、相続人間の意見が対立しやすく、揉める原因となることが多いのが特徴です。
そこで、本記事では、相続時に不動産査定について
- 遺産分割協議と相続税申告
- 相続不動産の分割方法
また、相続時に不動産査定が必要な2つの理由とは?
など、相続に関する基本情報を含めて、徹底解説します。
相続とは? 被相続人の財産(配偶者、子供、親、兄弟姉妹)
相続とは、亡くなった方(被相続人)の財産や権利、義務を、法律で定められた順位に従って他の自然人が承継することです。
具体的には、以下のようなものが相続の対象となります。
- 財産:預金、不動産、株式、車、貴金属、骨董品など
- 権利:著作権、商標権、特許権など
- 義務:借金、未払いの税金など
相続人は、民法で定められた法定相続人と、遺言書によって指定された受遺者に分けられます。
補足
法定相続人:被相続人と一定の親族関係にある者。配偶者、子供、親、兄弟姉妹などが該当します。
受遺者:遺言書によって遺産の全部または一部を遺贈された者。法定相続人である必要はありません。
相続申請の流れ
遺産相続手続きの流れとして、期限・手続き・必要書類・申請先は以下になります。
期限 | 手続き | 必要書類 | 申請先 | 補足 |
---|---|---|---|---|
7日以内 | 死亡診断書の取得 | – 医師による死亡診断書 | 病院 | |
死体埋葬火葬許可証の取得 | – 死亡診断書 | 市区町村役場 | ||
死亡届の提出 | – 死亡診断書、本人確認書類 | 市区町村役場 | 提出先は、被相続人の住所地または届出人の住所地 | |
10~14日以内 | 住民票の抹消届と除票の申請 | – 死亡届、戸籍謄本、本人確認書類 | 市区町村役場 | |
世帯主の変更届 | – 死亡届、戸籍謄本、住民票、本人確認書類 | 市区町村役場 | ||
健康保険/介護保険の資格喪失届の提出 | – 死亡届、被保険者証、国民健康保険証/介護保険証 | 健康保険組合/介護保険課 | ||
年金受給停止の手続き/年金受給権者死亡届の提出 | – 死亡届、年金手帳、本人確認書類 | 年金事務所 | ||
葬儀後、早めに | 遺言書の調査・検認 | – 遺言書 | 家庭裁判所(自筆証書遺言書の場合) | 遺言書があるかどうかを確認する |
故人の財産調査 | – 預金通帳、証券口座、不動産登記簿謄本、車検証など | 各金融機関、法務局、陸運局など | 相続財産を把握する | |
遺産分割協議の開始 | – 相続人全員 | – | 相続人同士で話し合いを進める | |
3ヶ月以内 | 相続放棄または限定承認 | – 相続放棄申述書/限定承認申述書、戸籍謄本、住民票、本人確認書類 | 家庭裁判所 | 相続を放棄するか否かを決める |
4ヶ月以内 | 故人の所得税の準確定申告 | – 死亡届、源泉徴収票、所得控除証明書類など | 税務署 | 故人の最後の年の所得税を申告する |
なるべく早く | 遺産分割協議書の作成 | – 相続人全員 | – | 遺産をどのように分けるのかを協議する |
不動産の名義変更登記 | – 遺産分割協議書、相続人全員の戸籍謄本、住民票、固定資産税納税通知書、不動産登記簿謄本 | 法務局 | 不動産の名義を相続人に移す | |
銀行/証券口座の名義変更 | – 遺産分割協議書、相続人全員の戸籍謄本、住民票、本人確認書類 | 各金融機関 | 預金や株式などの名義を相続人に移す | |
生命保険金の請求 | – 死亡届、保険証、被保険者関係書類 | 保険会社 | 保険金を受け取る | |
10ヶ月以内 | 相続税の申告 | – 遺産分割協議書、財産目録、申告書 | 税務署 | 相続財産に対して課税される税金を申告する |
1年以内 | 遺留分減殺請求 | – 遺留分減殺請求書、戸籍謄本、住民票、遺産分割協議書など | 家庭裁判所 | 法定相続人が受け取るべき最低限の財産(遺留分)を請求する |
2年以内 | 葬祭費 | – 請求書、領収書 | 相続人 | 葬儀にかかった費用を請求する |
埋葬料 | – 請求書、領収書 | 市区町村役場 | 埋葬にかかった費用を請求する | |
高額医療費の請求 | – 請求書、領収書、診断書 | 健康保険組合 | 医療費の一部を払い戻しを受ける |
*個々の状況によって必要な書類や申請先は異なります。
参考ページ:法務局
相続は、法律的な手続きだけでなく、人間関係にも大きく影響するものです。
円満な相続を実現するためには、早めから準備をしておくことが大切です。
遺産分割協議・相続した不動産の査定が必要な2つの理由
相続のイメージとして、
相続する財産を家族・親族で分けるというイメージが強いと思います。
ただ、その前に相続税の把握も無視できません。
大地主は、相続税が払えなく先祖代々から受け継ぐ土地を売らざるを得ないなんて話もありますし、不動産市況が高値推移している現状から、事前に相続税の把握は無視できません。
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北海道・東北 | 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県 山形県、福島県 |
関東 | 東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県 群馬県、栃木県 |
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関西 | 大阪府、兵庫県、京都府、三重県、滋賀県 奈良県、和歌山県 |
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九州・沖縄 | 福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、宮崎県 大分県、鹿児島県、沖縄県 |
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相続税の確認 遺産分割を公平に行うために
不動産の正確な市場価値を把握することは、相続税計算の基礎となります。
不動産の評価額が高すぎると過大な税金が課せられる可能性があり、逆に低すぎると税務調査の対象となるリスクがあります。
適正な査定によって、正確な税額を算出し、適切な税金を支払うためには不可欠です。
相続した土地や家を査定する3つの方法
相続不動産の評価は遺産分割を公平に行うために非常に重要です。
特に相続人が複数いる場合、不動産の資産価値を正確に知ることが必要です。
相続不動産を査定する方法として
- 自分で評価額を調べる
- 「不動産査定」を受ける
- 「不動産鑑定」を受ける
3つの方法に分けることが可能です。
自分で評価額を調べる・算出する場合 (路線価・固定資産税評価額・相続税評価額)
国土交通省の路線価図や、不動産会社が提供する売買事例などを参考に、自分で評価額を算出する方法です。
具体的に以下の3つの公的な評価額を調べて、大まかな価格を自分でも見積もることができます。
☆地価公示価格: 国や自治体が公表している基準に基づく評価額です。
☆固定資産税評価額: 固定資産税の課税対象となる評価額です。
☆相続税評価額: 相続税申告・納税の際に計算する評価額です。
メリット
査定料がかかりません。
デメリット
専門知識がない場合は、正確な評価額を算出することが難しい場合があります。
相続税申告において、路線価図よりも低い評価額しか認められない可能性があります。
実際に不動産を売却する際は市況や不動産流通の状況によって価格が変動するため、計算で得られる価格と実際の売却価格には乖離があることに注意してください
不動産会社に不動産査定を依頼する場合
不動産会社に依頼して市場価値を算出してもらう方法です。
不動産会社は、周辺の市場データや売買情報を基にして価値を評価します。
この方法は迅速で、市場動向に即した評価が得られるため、一般的に最も活用されています。
メリット
無料で利用できます。
専門知識を持つプロが査定を行うため、客観的な評価額を得ることができます。
査定結果に基づいて、遺産分割協議や相続税申告を進めることができます。
相続人間で意見が対立した場合、第三者の意見として参考にできます。
デメリット
査定会社によって査定方法や査定基準が異なるため、査定額に差が生じる可能性があります。
「不動産鑑定士」の鑑定を受ける場合
公認の不動産鑑定士(国土交通省登録)に依頼して法的な価値評価を受ける方法です。
不動産鑑定士は、法規制、物理的な状態、土地の利用可能性などを考慮して評価を行います。
この評価は、法的なトラブルが予想される場合や、高額な不動産の取引において重宝されます。
メリット
法定相続人や裁判所など、公的な機関で証拠として認められる評価額を得ることができます。
相続税申告において、路線価図よりも高い評価額を算出できる可能性があります。
デメリット
査定までに時間がかかる場合があります。
査定料が高額です。
- 相続税が非常に高く、現金で用意できない場合
- 相続不動産の売却を検討している場合
等の場合、不動産会社に査定を依頼することをおすすめします。
遺産分割協議の複雑さ・難しさ
相続人間での遺産分割を行う際、不動産の価値が大きな焦点となります。
遺産分割協議において、現金と不動産の分割は、特に複数の相続人がいる場合、非常に難しくなるケースが多くあります。
相続人が2人いる場合、それぞれ500万円ずつ分けることが可能です。
しかし、不動産の場合は分割が複雑です。
不動産を物理的に分割することは通常不可能であり、どの相続人が不動産を取得し、他の相続人にどのように補償を行うかを決める必要があります。
一方の相続人が家を取得し、もう一方が現金の残りすべてを受け取る、あるいは追加で不動産の価値分の金額を補償する形になることが一般的です。
このような分割は、相続人間の合意が必要であり、評価額の不一致や感情的な価値観の違いから紛争が生じることもあります。
本来は、家を売却し現金化した上で、現金・預貯金を合算し複数の相続人で分配する形でスムーズなのは事実です。
しかし、愛着のある実家の売却を嫌がる相続人がいれば、そう簡単にことは進みません。
よくあるトラブル:評価額と実情の乖離
被相続人が所有していた一戸建て住宅の評価額が、3,000万円と算定されたとしましょう。
しかし、その家は築30年以上経過しており、老朽化が進んでいるため、実際には2,000万円程度にしかならない可能性があります。
このような場合、
長男が家を相続、残りの1500万円を現金で次男に分配
長男が家を相続、残りの1000万円を現金で次男に分配
そのため、相続人が複数いる場合は、一旦不動産を売却し、分割することをオススメします。
相続不動産を売却するメリット 無料で活用できる査定方法
首都圏の中古マンションの平均成約価格が
- 2003年1月は、1,980万円
- 2022年3月は、4,158万円
20年余りで2倍以上になっているデータがあります。
都心に限らず、全国的に不動産市況が良い現状、売却の判断として非常にいいタイミングです。
高額不動産売却を実現する方法は? 相続不動産の査定額の把握・複数の不動産会社に依頼
家を高く売る方法は、複数の不動産会社に査定を出すことです。
不動産会社は、各々強みがあるため、査定額もマチマチです。
・中古マンションに強い
・都心に強い
・戸建てに強い
・リノベ転売に強い
など、
エリアによっては、1000万円単位で査定が変わることも少なくありません。
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”イエウール”ってどんな会社?
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不動産相続時の分割方法
相続時に不動産が存在する場合、その分割方法は、遺産分割協議において重要なポイントとなります。
基本的bな分割方法として
・現物分割
・代償分割
・換価分割
・共有分割
があります。
現物分割
不動産を相続人の間で物理的に分割する方法です。
例えば、大きな土地があれば、それをいくつかに分けて各相続人に分配(分筆)します。
各相続人が独立した所有権を持つことになります。
代償分割
一人の相続人が不動産を独占的に受け取り、他の相続人に対して金銭その他の財産で補償をする方法です。
不動産を売却せずに一方が全体を受け継ぎたい場合に適しています。
換価分割
不動産を市場で売却し、その売却収益を相続人間で分配する方法です。
相続人間で物理的な分割が困難または不可能な場合や、全員が現金化を望む場合に採用されます。
共有分割
不動産を相続人全員の共有財産として保持する方法です。
相続人が共同で不動産を所有し、使用や管理を共有します。
しかし、将来的に共有者間の意見の不一致が起こり得るため、注意が必要です。
相続不動産の考え方:今と昔
現代の日本における不動産相続の考え方には、
- 核家族化の進展
- 空き家問題
- 相続したくない現象
など、いくつかの問題や課題が存在します。
これらの問題に関しては、
相続法や税制の見直し、地方自治体による空き家対策など、さまざまなアプローチで解決を図っており、
・空き家の固定資産税”6倍”
・相続不動産の登記が義務化
など法改正まで進む結果となっています。
核家族化と相続不動産
昔は大家族で同居するのが一般的だっため、相続は長男がそのまま家を継ぐというシンプルな形でした。
しかし、近年は核家族化が進んでいます。
核家族化により、相続する不動産の管理や処分が難しくなっています。
兄弟間での連携が難しくなり、不動産の管理や維持が困難になるケースも増えています。
特に、遠方に住んでいる相続人にとっては、管理や処分に時間や費用がかかり、負担が大きくなります。
空き家問題の発生 不動産を相続しても・・・問題点
高齢化や都市への人口集中により、地方では多くの空き家が発生しています。
これらの空き家は相続の対象となることが多く、固定資産税や修繕費などの維持管理費の負担も発生することから、更に空き家に拍車をかけています。
適切な管理が行われずに荒廃することが問題(地域の治安悪化や景観悪化などの問題)、空き家の増加は、地域社会に悪影響を及ぼすこともあります。
この空き家問題を解決方法、管理を徹底させる意味合いとして、
2023年12月の空家等対策特別措置法の改正がなされました。
管理の行き届かない空き家に認定されると、
固定資産税評価額が6分の1に軽減・固定資産税等の住宅用地特例が適用されなくなるため、固定資産税が最大6倍に引き上げられる「特定空き家」の対象が拡大されました。
これまでの
- 住居としての使用がなく、かつ、10年以上空き家である。
- 建築物が倒壊の危険性がある。
- 衛生上または防災上、周辺の生活環境に著しい影響を及ぼすおそれがある。
等の空き家を特定空き家と認定し、自治体は勧告、場合によっては過料も課せられていました。
改正によって、
- 1年以上住んでいない
- 管理が不十分
等、特定空家になる可能性のある空き家を管理不全空き家とという区分が新たに設置されました。
簡単に説明すると、
- 草木でボーボーの空き家
- 窓ガラスや外壁などの修繕・補修が必要な空き家
- 不法投棄・ゴミが散らかっている空き家
回避するためには、管理が行き届いていることが前提となります。
関連ページ:空き家の固定資産税”6倍”
そもそも、空家であっても固定資産税は徴収されます。
500万円の価値の不動産の場合、年回7万円程度が概算として計算できます。
建物の評価額:0円
土地の評価額:500万円
一般的に固定資産税の基本税率:1.4%
500万円 × 1.4% = 70,000円
空き家を持ち続けるリスクにもなっています。
相続したくない現象 相続放棄の手続きに注意が必要
経済的な負担や管理の手間を理由に、不動産の相続を放棄する人が増えています。
特に維持費用がかかる不動産や、利用価値が低い土地は、相続人にとって負担となることがあります。
相続放棄が一つの選択肢として考慮されるようになりました。
地方の空き家(戸建て)に限らず、マンションであっても、
・築年数が古い
・管理費・修繕積立金が高い
・固定資産税がかかる
・管理組合の役員や理事を任命されたくない
など、住まない・借手がいないマンションも徐々に増えて、歯抜け状態の部屋の維持・管理に管理組合も頭を悩ませる状況となっています。
基本的に、この期間を過ぎると相続したとみなされます。
ただ、期間内であっても、相続財産を処分したり、高価なものを形見分けした場合、相続を承認したとみなされ、相続放棄が出来なくなります。
ちなみに、令和6年4月1日から、相続登記の申請が義務化され、申請を怠ると義務違反として10万円以下の過料(行政上のペナルティ)の適用対象となります。
参考ページ:相続登記が義務化されました(東京法務局)
相続時の不動産査定:よくある質問
相続時の不動産査定について疑問・悩み・不安においてよくある質問・Q&Aを紹介します。
よくある質問詳細はコチラ相続時の不動産査定:記事まとめ
相続不動産の査定は、遺産分割や相続税の計算において重要な役割を果たします。
不動産の価値を正確に把握することで、相続人間の公平な資産分配が可能となり、また適切な税額の算出を助けます。
査定方法には、不動産会社による市場価値の評価や、公認鑑定士による法的評価があり、それぞれのケースに応じて選択することが重要です。
市場の動向に敏感な査定は、相続プロセスを円滑に進めるための基盤を提供し、相続人の紛争を未然に防ぐ手段となり得ます。
今回は、少し複雑・難しい、相続と不動産査定の関係・相談相手をご紹介しました。
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