家を売却するというのは、人生の中でも大きな決断のひとつですよね。
不動産売却の流れは、査定から始まり、媒介契約、買主探し、そして引き渡しへと段階的に進んでいきます。
その過程で誰もが気になるのは、
- 「自分の家はいくらで売れるのか?」
- 「スムーズに売却するにはどうすれば良いのか?」
ということでしょう。
特に中古住宅を売るとなると、
新築とは異なり、多少の使用感や経年劣化があるのは当然です。
ただ、それは当たり前のことです。
中古の家を探している方も、そうした使用感があることはちゃんと理解していますし、それを踏まえた上で、じっくりと物件の良いところを見つけようとしています。
だからこそ今回は、
あなたの家が持つ唯一無二の魅力を最大限に引き出し、
「この家、なんだかいいな」と思ってもらえるためのヒントをお伝えしていきます。
特に、多くの買い手に選ばれる「売れる家」と、なかなか声がかからない「売れない家」の違いに焦点を当て、その条件や理由を徹底的に解説していきます。
あなたの家をスムーズに、そして納得のいく価格で売るために、ぜひこの解説を参考にしてみてください。
売れる家の特徴”8選”
家を売却する際、どのような家が「売れやすい家」とされるのかを理解しておくことは非常に重要です。
不動産市場では立地や築年数などの基本的な要素に加え、購入希望者が重視するポイントが複数存在します。
売却をスムーズに進めるために押さえておきたい“売れる家の特徴”を8つ厳選し、それぞれの理由や背景を詳しく解説します。
1. 立地が良い家:立地が重要な理由
不動産において「立地」は最も重要な要素のひとつです。
駅やバス停へのアクセス、スーパーや学校、病院など生活に欠かせない施設が近くにあると利便性が高く、購入希望者の注目度も自然と上がります。
さらに、将来的な資産価値の維持や向上も見込めるため、立地の良い家は投資的な視点でも魅力的です。
一方で、いくら建物が新しくても周辺環境が悪ければ売却が難航することも。
買い手が日々の暮らしを想像しやすい立地こそが、売れる家の基本条件となります。
2. 広さ・間取りのニーズが高い家:間取りと家の状態のポイント
現在の住まいに求められるニーズは、ライフスタイルの多様化により大きく変化しています。
家族構成や在宅ワークの普及により、一定の広さと機能的な間取りが求められるようになりました。
たとえば、3LDKのようなファミリー向けの間取りは安定した人気があり、収納スペースの充実も高評価につながります。
また、家の状態も重要です。
古さがあっても清潔で手入れされていれば、購入希望者に好印象を与えることができます。
間取りと状態が現代のニーズにマッチしている家は、スムーズな売却が期待できます。
3. 築年数・築浅の家:購入希望者層の人気築年数
築浅の家は、耐震性や断熱性、設備の新しさなどの面で安心感があり、多くの購入希望者に支持されています。
特に10年以内の築年数は、メンテナンス費用も少なく、すぐに住み始められることが魅力です。
逆に築年数が古くなると、リフォームの必要性や耐久性への不安から敬遠されがちです。
ただし、築年数が古くてもしっかりリノベーションされていたり、ヴィンテージ感を活かしたデザインが施されている場合は、一定の需要があります。
築年数はあくまで目安であり、建物の管理状態とのバランスも重要です。
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4. 売却のタイミングが良い家:売り出し価格の関係
不動産市場には「売れやすい時期」が存在します。
一般的には春と秋が最も需要が高まるタイミングとされており、購入希望者が増える時期に合わせて売り出すことで、成約率が高まります。
また、金利や経済情勢、周辺エリアの開発状況によっても市場価格は変動するため、情報収集を怠らず、適切なタイミングを見極めることが重要です。
さらに、相場に合った価格設定ができていれば、より多くの内覧希望者を引きつけることができ、短期間での売却成功につながります。
5. 管理状態が良い家:清潔さとメンテナンスの重要性
室内外の清掃が行き届いており、定期的なメンテナンスがされている家は、購入希望者にとって安心材料になります。
特に中古物件では、「この家はきちんと管理されていたかどうか」が判断材料になりやすく、たとえば水回りや外壁、屋根の状態が良好であれば、見た目だけでなく住み始めた後のトラブルリスクも低いと評価されます。
築年数にかかわらず、丁寧に扱われてきた家は「売れる家」として高く評価される傾向があります。
6. 設備が充実している家:人気の設備と付加価値
システムキッチンや追い焚き機能、床暖房、宅配ボックスなど、現代の生活スタイルに合った設備が備わっている家は、購入希望者にとって大きな魅力です。
設備が新しいほど、入居後のリフォーム費用が抑えられるため、コスト面でもメリットがあります。
また、オール電化や太陽光発電など、省エネや防災意識の高い設備も人気です。
設備の充実度は、そのまま「暮らしやすさ」に直結するため、売れる家に共通する重要な要素となります。
7. 内覧の印象が良い家:第一印象を左右するポイント
購入希望者が実際に家を訪れる「内覧」は、成約の可否を左右する重要な場面です。
部屋の明るさや清潔感、香り、インテリアの整え方など、五感に訴える要素が第一印象を決定づけます。
特に玄関やリビングの第一印象が良いと、購入意欲が高まる傾向があります。
また、荷物が多すぎて生活感が出すぎていると、買い手が自分の暮らしを想像しにくくなるため、モデルルームのような見せ方が効果的です。
8. 情報発信が効果的な家:写真やアピールポイント
ネット検索から始まる現代の家探しでは、物件情報の見せ方が非常に重要です。
高画質の写真や魅力的なキャッチコピー、明確なアピールポイントがあると、より多くの人の目にとまります。
特に明るい室内写真や、周辺環境の紹介が丁寧にされていると、実際に内覧したいと思わせる力があります。
効果的な情報発信は、売れるスピードだけでなく、希望価格での売却にもつながる重要な戦略です。
売れにくい家の特徴
家を売却する際には、購入希望者の視点に立つことが重要です。
いくら所有者にとっては愛着のある家でも、市場において「売れにくい」と判断される条件が揃っていると、売却が長期化したり価格を下げざるを得なかったりします。
売却活動をスムーズに進めるために知っておきたい“売れにくい家の特徴”を具体的に紹介し、改善のヒントも併せて解説します。
築年数が古い家(旧耐震の家)
築年数が古い家は、耐震基準や設備の老朽化といった懸念が生じやすく、買い手からの評価が下がりがちです。
特に築30年以上の物件では、全面的なリフォームが前提となることが多く、その分の費用や手間が購入希望者にとってネックになります。
また、住宅ローンの審査や保険の加入条件にも影響するため、築年数は売却価格に直結する重要な要素といえます。
売り出し価格が相場より高い家
近隣の類似物件と比較して明らかに高額な価格設定がされていると、購入検討者から敬遠されがちです。
買い手は複数の物件を比較して判断するため、相場から逸脱した価格は「割高」と映ります。
売主としては思い入れや希望額を反映させたいところですが、市場データを基にした適正価格の設定が不可欠です。
売却期間を延ばさないためにも、最初の価格戦略が重要となります。
立地条件が悪い家:駅からの距離・生活環境との関連性
不便な場所にある家、特に駅や商業施設から遠い物件は、通勤・通学の利便性が低く、検討から外されやすくなります。
また、騒音がひどい、治安が不安、周辺に空き地や空き家が多いといった環境要因もマイナスポイントとなります。
購入者は将来の資産価値や生活利便性を重視するため、立地が与える印象は非常に大きな意味を持ちます。
いびつな土地(変形地)・特殊な間取りの家
整形地と比べて使いにくい変形地や、極端に個性的な間取りの家は、居住性やリフォームの自由度が制限されるため、購入者にとって魅力が薄れます。
たとえば三角形の敷地や行き止まりにある土地、動線が悪く収納が少ない間取りなどは敬遠されがちです。
建築の自由度が低い点も、将来的な活用を考える買い手にとって大きなマイナス要因になります。
管理状態が悪い家:汚れや破損が目立つ
壁紙の剥がれ、雨漏り、カビ、異臭など、管理が行き届いていない印象のある物件は、購入希望者に不信感を与えます。
築年数が浅くても、清掃やメンテナンスが怠られていれば、印象は大きく下がります。
逆に古くても手入れされている家は好印象につながるため、売却前のクリーニングや簡易リフォームは検討する価値があります。
設備が旧式・故障している家:交換や修理の必要性
古い給湯器、エアコン、キッチン設備などがそのまま残っていると、入居後の交換コストを見越して購入を控えるケースが多くなります。
特に現代の暮らしに合わない設備が目立つと「そのままでは住めない」という印象を与え、売却の妨げになります。
多少の修繕を加えるだけでも、印象は大きく改善します。
内覧の印象が悪い家:暗い、汚い、臭い
内覧は購入判断の最終段階ともいえる重要な機会です。
照明が暗い、室内が汚れている、ペットやたばこの臭いが気になるなど、五感に訴えるマイナス要素は購買意欲を大きく削ぎます。
買い手に「この家に住んでみたい」と思わせるためには、清潔感と明るさ、そして居心地の良さを演出することが欠かせません。
情報発信が不十分な家:魅力が伝わらない
ネット掲載の際に写真が少ない、暗い、説明が乏しい物件は、それだけで興味を持たれにくくなります。
今や家探しはネット中心の時代。
魅力的な写真と具体的なアピールポイントがなければ、比較対象から除外されることもあります。
伝えるべき情報をしっかり整理し、内覧につなげる工夫が求められます。
特に売れない問題を抱えた家の特徴
一般的な売れにくい家と比べ、より深刻な問題を抱えた物件は、売却活動そのものが長期化したり、そもそも買い手が見つからないケースもあります。
こうした家は購入希望者にとって法的・心理的・実務的なリスクが大きく、敬遠されがちです。
特に売れない可能性が高い家の特徴について、具体的な問題点とその背景を詳しく解説します。
権利関係が複雑な家:共有名義、境界線不明確など
家を売却する際、所有者が一人であればスムーズに手続きできますが、共有名義の家ではすべての共有者の同意が必要となるため、調整が難航することがあります。
また、隣地との境界が不明確な場合、購入者が将来的なトラブルを懸念し、契約を避ける傾向にあります。
特に相続により名義が複雑化しているケースでは、名義変更や登記の整理に時間がかかり、売却の妨げになります。
こうした問題は事前に専門家と協議し、可能な限り法的な整備を進めることが重要です。
過去に事故・事件があった家(告知義務)
いわゆる「事故物件」と呼ばれる家は、心理的瑕疵として扱われるため、購入者の多くが敬遠する傾向にあります。
過去に自殺や殺人事件が起きた場合、その事実を買主に告知する義務があり、内容によっては売却価格の大幅な値下げが必要になることもあります。
また、近隣住民との関係性や風評も影響するため、内覧時に好印象を与えるのが難しいという課題もあります。
こうした家は、一般市場ではなく事故物件に理解のある専門業者への売却も選択肢のひとつです。
住宅ローンの審査が通りにくい家(再建築不可など)
再建築不可物件や、接道義務を満たしていない土地に建てられた家などは、住宅ローンの審査が通らない可能性があります。
購入者が現金で一括購入しなければならないため、買い手の数が大きく限られてしまいます。
また、ローンが通らないことは資産価値の低さを示唆する要因とも受け取られがちです。このような家を売却するには、現金購入を前提とした投資家向けの販売や、不動産買取業者の活用など、一般的な売却とは異なるアプローチが必要になります。
売れない家を売るるための対策・今からできる対策
なかなか買い手が見つからない「売れない家」にも、いくつかの工夫や改善策を講じることで売却への道が開けます。
売れない理由は物件ごとに異なりますが、共通して見直すべきポイントも多く存在します。
売却活動を成功に導くために今すぐ実践できる対策を6つ紹介します。
ホームステージングの実施
ホームステージングとは、家具やインテリアを配置して室内をモデルルームのように演出する手法です。
購入希望者に“ここでの暮らし”をイメージしてもらいやすくなるため、内覧時の第一印象が格段に向上します。
実際に、ホームステージングを施すことで内覧数や成約率が上がった事例も多くあります。
特に空き家の場合は殺風景な印象を与えてしまいがちなので、プロに依頼して居住感を演出することが効果的です。
ホームステージングでマンションは高く売れる?
必要なリフォームと修繕(リノベーション)
古くなった設備や目立つ破損箇所は、購入希望者の不安を増やす原因となります。
特に水回りの劣化や外壁の傷みなど、生活に直結する部分はマイナス評価を受けやすいため、可能な範囲でリフォームや修繕を行うことが望まれます。
大規模な改修が難しい場合でも、壁紙や床の張り替えといった小規模なメンテナンスでも印象を大きく改善できます。
費用対効果を意識して、投資すべき箇所を見極めましょう。
売却価格を見直す
売れない最大の原因のひとつが「価格の設定ミス」です。
近隣の相場よりも高すぎる価格で売り出していれば、どれだけ良い条件の物件でも敬遠されがちです。
不動産ポータルサイトなどで相場を再確認し、必要であれば価格の見直しを行うことが大切です。
価格調整には勇気が要りますが、結果として短期間での売却や、余計なコストの削減につながることも少なくありません。
売り出し広告を見直す
物件の魅力が広告で十分に伝えられていないケースもあります。
掲載されている写真の質が悪い、説明文が抽象的でわかりづらい、といったことがあれば、広告を刷新することで問い合わせ数が増加する可能性があります。
写真は明るく広く見えるように撮影し、説明文には周辺環境や設備のポイントを具体的に記載すると効果的です。
プロのカメラマンに依頼するのも一つの手です。
不動産会社・媒介契約の見直し
依頼している不動産会社の対応が不十分である場合、売却活動に支障をきたす可能性があります。
反響が少ない、広告の掲載が遅い、担当者とのコミュニケーションが取りづらいなどの不満がある場合は、媒介契約の見直しも検討しましょう。
専属専任・専任・一般といった契約形態によっても自由度が異なるため、自分に合った形で再構築することが大切です。
不動産会社の買取の検討
どうしても売れない、早期に現金化したいといった場合には、不動産会社による買取を検討するのも一つの選択肢です。
市場価格よりもやや低めの金額になる傾向はありますが、時間や手間をかけずに確実に売却できるメリットがあります。
特に再建築不可物件や空き家などは、買取専門の業者に相談することで解決への道が開けることもあります。
売れる家・売れない家:成功する不動産売却記事まとめ
不動産売却を成功させるためには、「売れる家」と「売れない家」の違いを理解し、物件の特性や市場動向に応じた対策を講じることが重要です。
本記事では、売れやすい家の条件や、売れにくい家の課題、さらに売却を促進するための具体的な対策までを網羅的に解説しました。
物件の魅力を最大限に引き出し、適切な手順で売却活動を進めることで、納得のいく取引につながるはずです。
元メガバンク融資課出身、バブル時代に不動産コンサルティングに従事し、2000年、会社設立後、底地ビジネス・事務所の立ち退き裁判等も経験した宅建士と共に立ち上げ、現在、不動産にまつわるサービスの紹介、口コミ・筆者の感想を加え紹介しています。