「空室リスクがなく、安定した家賃収入が得られる」
――そんな言葉に惹かれて、サブリース契約を検討している人も多いのではないでしょうか。
しかしその一方で、
- 「実際は家賃が下がるって聞いたけど本当?」
- 「途中で契約をやめられないこともあるって本当?」
と、不安を感じて検索している方も少なくありません。
本記事では、サブリース契約の仕組みや流れを図解でわかりやすく解説します。
さらに、表面だけでは見えにくい「オーナー側の実態」や、2020年の法改正でどう変わったのか、そして「一般管理契約との違い」まで丁寧に比較。
「知っておけば防げたトラブル」が少なくないのが、サブリースの世界です。
契約前に仕組みを理解しておくことで、あとから「こんなはずじゃなかった…」と後悔せずにすみます。
不動産投資は、「家賃収入」という実需によって成り立つビジネスです。
サブリース契約は一見、安定した経営を約束してくれるように見えますが、根本的に重要なのは“物件の選び方”と“購入価格の妥当性”です。
立地・需要・価格の三拍子が揃っていれば、空室リスクはほぼ発生しません。
つまり、サブリース契約に依存するものではなく、安定は自分の投資判断と経営力でつくるものだと考えています。
サブリース契約とは?仕組みと流れを図解で紹介
「家賃保証付きで安心の不動産経営」――そう聞くと魅力的に感じますよね。
しかし、実際のサブリース契約は“夢のような安定収入”だけでなく、理解しておくべき仕組みと注意点があります。
オーナー・サブリース会社・入居者の3者の関係を中心に、
- 「どのように家賃が支払われるのか」
- 「契約の流れはどうなっているのか」
など、
図解でわかる仕組みの全体像を丁寧に解説します。
契約前にこの流れを知っておくことで、
「どこまで任せられるのか」「どの部分がリスクになるのか」を判断できるようになります。
“収益構造を理解してから契約する”――これが、サブリース成功の第一歩です。
サブリース契約の基本|オーナー・管理会社・入居者の関係を理解
サブリース契約とは、オーナー(物件所有者)がサブリース会社(管理会社)に物件を一括で貸し出し、その会社が入居者に再賃貸する仕組みです。
| 登場人物 | 役割 | 
|---|---|
| オーナー | 建物の所有者。 サブリース会社に物件を貸す | 
| サブリース会社 | オーナーから借りた物件を入居者に転貸し、管理を行う | 
| 入居者 | サブリース会社と賃貸契約を結ぶ居住者 | 
オーナーは入居者との直接契約を行わず、サブリース会社から一定の家賃(保証賃料)を受け取ります。
つまり、入居者の有無に関わらず収入が発生する点が大きな特徴です。
家賃保証の仕組み|物件一括借り上げで収益を安定化する理由
サブリース契約の最大の特徴が、家賃保証(空室保証)です。
サブリース会社が物件を“丸ごと借り上げる”ため、オーナーは空室があっても毎月決まった金額の家賃を受け取れる仕組みになっています。
ただし、ここで注意したいのは、支払われる家賃が入居者の家賃より低い点。
サブリース会社は差額を利益として受け取り、管理・募集・クレーム対応などを代行します。
この差額(約10〜20%)が“安定の代償”とも言える部分です。
契約を結ぶ際の流れ|申し込みから賃料支払いまでの手順と注意点
サブリース契約は以下の流れで進行します。
- 事前相談・査定
 ⇒サブリース会社が物件の立地・築年数・想定家賃を調査
- 契約内容の提示
 ⇒保証賃料や契約期間、修繕負担の条件を提示
- 契約締結
 ⇒双方が内容に同意し、正式に契約
- 入居者募集・管理開始
 ⇒サブリース会社が入居者を募集・契約
- オーナーへの賃料支払い
 ⇒毎月、固定の家賃が振り込まれる
このように、オーナーは運用や管理に直接関与せず、“家賃を受け取るだけ”の立場になります。
図解でわかる!サブリース契約の全体イメージと関係構造
サブリースの流れをイメージ化すると、次のようになります。
このように、オーナーは入居者と直接やり取りせず、すべてをサブリース会社に委ねます。
仕組みを理解しておくことで、「安定収入」と「委託リスク」の両面を見極められるようになります。
サブリース契約に関するメリット|空室保証と安定収入の仕組みを理解
「毎月の家賃収入を安定させたい」
「空室の不安をなくしたい」
そんな想いからサブリース契約を検討する人は少なくありません。
サブリースは、オーナーが物件をサブリース会社に一括で貸し出す仕組み。
入居者の有無にかかわらず、決まった賃料が支払われるため、
「安定した不動産経営」を目指す人にとって魅力的な選択肢です。
そこで、サブリースの4つの主要なメリットを通して、
どのように空室リスクを抑え、オーナーの負担を軽減しているのかをわかりやすく解説します。
メリット:1.空室リスクを回避できる仕組み
サブリースの最大の魅力は、空室でも家賃収入が得られる点です。
通常の賃貸経営では、入居者が退去するとその期間は家賃がゼロ。
一方でサブリース契約では、サブリース会社が物件を借り上げているため、空室期間中も固定賃料が支払われます。
これは、オーナーにとって「リスクの平準化」を意味します。
たとえば繁忙期や閑散期に関係なく、家賃が毎月同じ額で入るため、
ローン返済や固定資産税などの支出計画が立てやすくなるのです。
「空室が怖くて投資に踏み切れない」という初心者にも、サブリースは精神的な安心をもたらす制度と言えるでしょう。
メリット:2.家賃収入が安定しやすい理由と運用のコツ
サブリース契約では、入居率や家賃変動に左右されず、毎月一定額の家賃が支払われる“安定型収益モデル”が特徴です。
サブリース会社が入居者との契約やトラブル対応を代行するため、オーナーは景気変動や空室率を気にせずに運用できます。
特に、長期ローンを組んでいるオーナーにとっては、
「家賃が入らない月がない」というのは非常に大きなメリット。
ただし、安定収入の裏では、賃料が相場より低く設定される傾向があります。
それでも、“波の少ない堅実経営”を求める人にとっては、この安定性こそがサブリースの最大の強みと言えるでしょう。
メリット:3.管理会社に賃貸管理を一括で任せられる利点
賃貸経営の煩わしさの多くは、入居者管理とトラブル対応にあります。
サブリース契約では、これらの業務をサブリース会社が一括で担当。
入居者募集、審査、家賃集金、クレーム処理、退去時対応まで、すべてを任せられるため、オーナーは「管理から解放される」立場になります。
特に本業を持つサラリーマンオーナーや、遠方の物件を所有している人にとって、この「手間を減らせる仕組み」は大きな価値があります。
また、プロのノウハウを活かした運営により、入居率の安定化や物件価値の維持にもつながります。
メリット:4.長期的な不動産経営・運用がしやすくなるポイント
サブリース契約は、短期的な利益よりも長期安定経営を重視する仕組みです。
契約期間は通常10年〜30年と長く、サブリース会社が長期的な入居戦略や修繕計画を立てるため、オーナーは経営計画を立てやすくなります。
また、空室やトラブルによる突発的な出費が少ないため、キャッシュフローの見通しが明確になり、“老後の収入設計”や“資産形成”の柱として活用できるのも魅力です。
特に「副収入として家賃を得たい」「時間をかけずに資産を育てたい」という人には、サブリースは安定した“仕組み化された経営”の第一歩となるでしょう。
サブリース契約のデメリット|オーナーが注意すべきリスクとトラブル事例
サブリース契約は、一見すると“リスクのない安定経営”のように見えます。
しかし実際には、契約内容をよく理解しないまま締結してしまい、後から後悔するケースも少なくありません。
- 「家賃保証って、ずっと同じ額じゃないの?」
- 「30年契約って言われたのに、途中で打ち切られた…」
そんな声は、決して珍しくないのです。
サブリースは“空室保証”という安心の裏側に、家賃の減額や契約制限といったリスクが潜んでいます。
ここでは、実際に多くのトラブルにつながっている4つの代表的なデメリットを紹介します。
「契約書に書いてある小さな文字」こそが、後々の大きな違いになる——その点を意識しながら見ていきましょう。
デメリット:1.家賃が途中で減額されるリスクと確認ポイント
サブリース契約で最も多いトラブルが、家賃の減額です。
「30年間家賃保証」と説明を受けても、実際には保証額が固定されているわけではありません。
契約書には多くの場合、「定期的な賃料見直し条項」が盛り込まれています。
つまり、周辺の家賃相場や入居率が下がれば、サブリース会社は“減額”を要求できるのです。
オーナーが拒否した場合、「契約を解除する」「次の更新で打ち切る」などの対応をされることもあります。
一見“安定”に見えても、実際は市場に連動して収益が変動するリスクを抱えているというわけです。
契約前に、「保証家賃は固定か、見直しがあるのか」を必ず確認することが重要です。
デメリット:2.契約解除が難しく自由度が低い理由
サブリース契約では、オーナー側から一方的に契約を解除できないケースが多くあります。
なぜなら、サブリース会社が「借主」の立場になるため、借地借家法で保護される側になるからです。
通常の賃貸契約では、所有者が自由に契約を終えられますが、サブリースでは「正当な理由がない限り解除できない」のが基本。
つまり、たとえオーナーが「自分で運用したい」と思っても、簡単には解約できません。
さらに、契約解除時に「違約金」や「清算金」が発生する場合もあります。
このため、サブリースを契約する前に、解除条件・期間・費用を具体的に確認することが欠かせません。
「自由が利かない不動産経営」にならないよう、契約の柔軟性は慎重にチェックしましょう。
デメリット:3.修繕費・原状回復費がオーナー負担となる場合の注意点
サブリース契約の誤解で多いのが、「すべて任せれば出費はない」という勘違いです。
実際には、修繕費・原状回復費をオーナーが負担するケースが多く見られます。
たとえば、入居者退去後の壁紙・床の張り替え、エアコン交換、外壁塗装など。これらの費用をサブリース会社が一時的に立て替えても、後から「原状回復費用の請求」としてオーナーに回ってくることがあります。
また、「共用部の修繕」や「大規模改修」については契約書でオーナー負担と明記されていることも多く、結果的に、毎月の家賃収入を維持するための支出が膨らむこともあります。
「どの範囲が会社負担で、どの範囲がオーナー負担なのか」——ここを曖昧にしたまま契約するのは危険です。
デメリット:4.「30年保証」という言葉に潜む誤解と実態
「30年家賃保証」というキャッチコピーを聞くと、“30年間は家賃が変わらず支払われる”と誤解しがちです。
しかし、実際の契約では、「30年間借上げ契約を継続できる可能性がある」という意味であることが多いのです。
多くの契約では、2年・5年ごとの更新型が採用されており、そのたびにサブリース会社が「賃料見直し」や「契約条件の変更」を提案してきます。
オーナーが不満を述べると「更新しない」と告げられるケースもあります。
つまり、「30年続く」ことを保証しているわけではなく、実際はサブリース会社の判断次第で契約が打ち切られる可能性もあるのです。
契約前には、“保証期間”の意味と“契約更新条件”を具体的に確認しましょう。
サブリース新法(2020年施行)で何が変わった?|契約内容の確認ポイント
かつて、サブリース契約は「家賃保証」という言葉だけが独り歩きし、オーナーが不利な条件で契約してしまうトラブルが全国で多発していました。
「30年一括借り上げ」とうたいながら、わずか数年で家賃が減額されたり、解約時に多額の違約金を請求されたり——。
こうした被害を受け、国土交通省は2020年12月に「サブリース新法(賃貸住宅管理業法)」を施行。
この法律によって、サブリース事業者に対する規制が明確化され、オーナーが不利益を被らないよう
- 「説明義務」
- 「広告規制」
- 「登録制度」
が導入されました。
本章では、このサブリース新法の概要と目的、そして実際に何が変わったのかを、やさしく整理して解説します。
サブリース新法とは?背景・目的とオーナー保護の理由
サブリース新法(正式名称:賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律)は、オーナー保護と業界の健全化を目的として制定されました。
背景には、以下のような社会問題がありました。
- 家賃保証をうたいながら途中で賃料を減額する
- 「30年契約」と言いながら、数年ごとに更新条件を変更
- 契約前に重要なリスクを説明しない
- 高齢者や初心者オーナーを中心に誤解や被害が続出
これらを受けて、国土交通省は2020年6月に関連法を改正し、12月に正式施行しました。
この法律によって、サブリース事業を行う企業は国への登録が義務化され、違反した場合は行政処分や罰則の対象になります。
つまり、これまで“グレーゾーン”だったサブリース業界が、ようやく透明性を求められる仕組みになったのです。
義務化された「重要事項説明」と「誇大広告禁止」内容を確認
サブリース新法で最も重要な変更点が、
「重要事項説明義務」と「誇大広告の禁止」です。
まず「重要事項説明義務」とは、
サブリース会社が契約前にオーナーへリスクや条件を明確に説明する義務を負うというもの。
たとえば以下の内容が対象です。
| 説明義務のある主な項目 | 内容の例 | 
|---|---|
| 家賃減額の可能性 | 市場変動や契約更新時の減額リスク | 
| 契約解除条件 | 双方が契約を終了できるケースと費用 | 
| 修繕・原状回復負担 | どちらが費用を負担するか | 
| 更新方法・期間 | 契約更新のサイクルと再交渉の有無 | 
さらに「誇大広告禁止」により、
「30年家賃保証」「絶対に安心」といった誤解を招く表現が禁止されました。
これにより、契約前の情報非対称性が大幅に是正され、オーナーが正確な情報をもとに判断できる環境が整ったのです。
オーナーが守られるようになったポイントと注意すべき点
サブリース新法の施行によって、オーナーを守る制度がいくつも整備されました。
主な保護ポイントは次の3つです。
- サブリース事業者の登録制度
 → 登録業者でなければ事業を行えず、悪質な業者が排除されやすくなった。
- 違反業者への罰則規定
 → 虚偽説明や誇大広告を行った場合、行政処分・業務停止命令などが可能。
- オーナーへの説明・通知の義務化
 → 契約内容変更時には、事前にオーナーへ説明・書面通知が必要。
これらにより、これまで“業者任せ”だった契約が、オーナーと業者が対等な関係で契約を交わせる時代へと変わりました。
ただし、法律ができたからといってすべてのトラブルがなくなるわけではありません。
最終的に自分の資産を守るのは「契約書を読む力」と「判断力」です。
新法の内容を理解したうえで、信頼できる事業者を選ぶことが大切です。
一般管理契約との違いを比較表で解説|どちらが不動産投資に向いているか判断
サブリース契約は「空室保証付きで安心」という言葉が目を引きますが、実はもう一つの選択肢として、「一般管理契約」という方法もあります。
どちらも「不動産管理を委託する契約」であることは共通していますが、リスクとリターンのバランスがまったく異なるのが特徴です。
簡単に言えば、
- サブリース契約:リスクを抑えて“安定重視”
- 一般管理契約:手間を減らしつつも“収益性重視”
本章では、2つの契約の基本構造と、収益・契約期間・自由度などの違いをわかりやすく比較しながら解説します。
「どちらを選ぶべきか」で迷っている方は、ぜひこの章で整理してみてください。
サブリース契約と一般管理契約の基本的な違いを理解(自由度が制限・高い)
サブリース契約と一般管理契約の最大の違いは、「物件の借主が誰になるか」にあります。
| 項目 | サブリース契約 | 一般管理契約 | 
|---|---|---|
| 契約相手 | サブリース会社(借主) | 管理会社(管理委託先) | 
| 入居者との契約 | サブリース会社が実施 | オーナーが実施 | 
| 家賃収入の受取 | サブリース会社から一定額 | 入居者から直接(変動あり) | 
| 空室リスク | 会社が負担 | オーナーが負担 | 
| 管理業務 | 会社が包括的に代行 | 管理業務のみ代行 | 
| 契約の自由度 | 低い(解除制限あり) | 高い(オーナー主導) | 
サブリースは、オーナーが“貸主”ではなく「貸す相手がサブリース会社」になる点が特徴。
一方で一般管理契約は、あくまでオーナーが直接入居者に貸し出す仕組みのため、家賃設定や契約方針を自分で決められる自由があります。
その代わり、空室時の家賃ゼロや修繕対応などの責任もオーナー側に残ります。
管理・収益・契約期間など主要項目の比較一覧表
両者の違いをより具体的に把握するために、
管理方法・収益構造・契約期間の観点で比較してみましょう。
| 比較項目 | サブリース契約 | 一般管理契約 | 
|---|---|---|
| 管理方式 | 一括借上げ(転貸) | 管理代行 | 
| 収益構造 | 毎月固定(安定型) | 家賃変動(実績型) | 
| 手数料 | 家賃の10〜20%が差引き | 管理手数料5%前後 | 
| 契約期間 | 10〜30年(長期固定) | 1〜2年(更新型) | 
| 契約解除 | 困難(借主保護あり) | 比較的容易 | 
| 修繕費負担 | 原則オーナー | 原則オーナー(内容交渉可) | 
この表からも分かる通り、サブリース契約は**「安定性と引き換えに自由を手放す」構造。
一方で一般管理契約は、リスクを取りながらも「自分の判断で経営をコントロールできる」**スタイルです。
どちらが正解というわけではなく、「どんな経営をしたいか」「どこまで任せたいか」で選ぶことが大切です。
どちらを利用すべき?オーナー目線での判断ポイントと検討方法
最後に、あなたがどちらの契約に向いているかを判断するための目安を紹介します。
| タイプ | 向いている契約 | 
|---|---|
| 本業が忙しく、安定収入を重視したい | サブリース契約 | 
| 不動産経営を“自分の事業”として成長させたい | 一般管理契約 | 
| リスクよりも手間を省きたい | サブリース契約 | 
| 収益性を最大化したい | 一般管理契約 | 
サブリース契約は、「安定した収入を確保したい」という人におすすめ。
手間を最小限に抑え、確実に家賃を受け取る仕組みが整っています。
一方、一般管理契約は、**「自分でリスクを取りながら利益を伸ばしたい」**タイプに向いています。
入居者対応や賃料調整の裁量がある分、経営の腕次第で収益を伸ばすことが可能です。
契約は“どちらが良い”ではなく、あなたの投資スタイル・時間・リスク許容度によってベストな形が変わります。
迷ったときは、複数の管理会社から見積りを取り、「数字」と「条件」を見比べることが、後悔しない判断への第一歩です。
記事まとめ|サブリース契約を結ぶ前に確認すべき重要ポイント3つ
サブリース契約は、「空室でも家賃が入る」という言葉に惹かれやすい仕組みです。
しかし、本当に大切なのは“安心”ではなく“理解”。
仕組みやリスクを正しく知ったうえで契約することこそ、不動産経営を成功に導くための最初のステップです。
家賃保証や長期契約といった言葉だけを信じてしまうと、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。
だからこそ、契約前には必ず確認しておくべき3つのポイントがあります。
それは、
1️⃣ 家賃減額・契約解除の条件
2️⃣ 修繕・原状回復の費用負担範囲
3️⃣ 契約書と重要事項説明書の内容
この3点をしっかり押さえておくことで、サブリース契約を「怖い制度」ではなく「理解して使いこなす仕組み」へ変えられます。
1.家賃減額・契約解除条件を確認する理由
サブリース契約では、「30年家賃保証」といっても、途中で家賃が減額されるリスクがあることを忘れてはいけません。
契約書には「賃料の見直し」や「更新時再協議」といった文言が入っている場合が多く、これはサブリース会社が市場に合わせて家賃を下げられる権利を意味します。
さらに、オーナーからの一方的な契約解除が難しい点にも注意が必要です。
法律上、サブリース会社が「借主」となるため、
オーナーは“正当な理由”がない限り契約を打ち切ることができません。
契約前に確認すべきは、
- 家賃見直しの時期と方法
- 契約解除の条件と違約金の有無
- 更新時の再交渉ルール
この3点です。
「長期契約=安定」ではなく、条件の中身こそがリスク回避のカギになります。
2.修繕費・原状回復費の負担範囲を明確にする方法
サブリース契約で意外と見落とされがちなのが、修繕・原状回復費の負担範囲です。
「全部お任せできる」と思い込んでしまうと、後から高額請求に驚くことも。
実際には、多くの契約で「修繕費はオーナー負担」と明記されています。
具体的には以下のような項目が対象となることが多いです。
| 負担区分 | 主な例 | 
|---|---|
| オーナー負担 | 壁紙・床の張り替え、エアコン・給湯器交換、外壁補修など | 
| サブリース会社負担 | 入居者対応、小修繕、清掃など | 
契約書を読む際は、
「修繕」「原状回復」「共用部」「大規模修繕」といったキーワードを重点的に確認しましょう。
不明点はその場で質問し、書面で回答をもらうことが大切です。
費用の分担を曖昧にしたまま契約すると、後から「想定外の出費」で収支が崩れる可能性があります。
3.契約書・重要事項説明書の内容を専門家へ相談・確認
最後に、契約書と重要事項説明書を“読む”ことが最大の防御策です。
多くのトラブルは「説明を聞いたつもり」になっていたことで起きています。
2020年のサブリース新法によって、事業者には「重要事項説明書を交付する義務」が課せられました。
この書類には、家賃見直し・更新・解除・修繕・広告表現など、契約の根幹を左右する内容が明記されています。
ポイントは、書面をもらってから即決しないこと。
一晩置いて冷静に読み返す、他社の条件と比較する、そして必要であれば不動産専門の弁護士やFPに相談することも選択肢です。
契約書は、ただの手続き書類ではなく、“あなたの資産を守る最後の盾”。
理解してサインをすることで、初めて安心して不動産経営をスタートできます。
💬 サブリース契約は「安心」よりも「理解」が大切
サブリース契約は、正しく使えば安定収入を生み出す有効な手段です。
しかし、仕組みを知らないまま契約してしまうと、“安心”が“油断”に変わることもあります。
契約前に「リスクを知る」ことで、その後の選択肢や交渉の幅が確実に広がります。
不動産経営は「任せる」のではなく、「理解して選ぶ」ことから始まります。
この締め方により、読者は「怖いから避ける」ではなく、「理解して判断しよう」という前向きな気持ちで記事を読み終えられます。

 
  
  
  
  




元メガバンク融資課出身、バブル時代に不動産コンサルティングに従事し、2000年、会社設立後、底地ビジネス・事務所の立ち退き裁判等も経験した宅建士と共に立ち上げ、現在、不動産にまつわるサービスの紹介、口コミ・筆者の感想を加え紹介しています。